日本の現代アートシーンから、日本の“いま”を紐解く定点観測展
日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として、森美術館が3年に一度開催してきたシリーズ展「六本木クロッシング」。第6回目となる今回は、シリーズ初の試みとして、森美術館の3人のキュレーターのみで共同キュレーションを行い、1970〜80年代生まれを中心とした日本人アーティスト25組が参加します。
2019年のテーマは「つないでみる」。情報通信技術など、さまざまなテクノロジーが加速度的に進化し、価値観の多様性が認められるようになった一方で、オープンであるはずのインターネットが、意見や認識の同調や共感を助長し、逆説的に閉鎖的なコミュニティを生み出してしまう問題、偏った政治観によって引き起こされる軋轢や拡がり続ける経済格差など、さまざまな「分断」が顕在化している現代。こうした中で、対極のものを接続すること、異質なものを融合すること、本来備わっている繋がりを可視化することなど、アーティストたちが作品を通じてさまざまな「つながり」を提示しようと試みます。
本展をより深く紐解くために、次の3つのポイントに注目して鑑賞してみましょう。
まずは、「テクノロジーをつかってみる」。人の体温でも形状が変化する、低沸点液体を使った新しい服のあり方を提案するファッションブランド・アンリアレイジの作品など、最新の技術や理論を独自の方法で使い、これまでにない実験的な作品や表現が来場者を驚かせます。
次に「社会を観察してみる」。東京オリンピックに沸く現代日本を普段とは違う視点から捉えた竹川宣彰の《猫オリンピック:開会式》、マイケル・ジャクソンが来日した時のエピソードに着想を得た田村友一郎の《MJ》など、社会学的な視点から世の中や身の回りで起こっていることを観察することで、そこに潜む事実やまったく新しい発見を導き出すアーティストの視線にも注目します。
さらに「ふたつをつないでみる」も興味深いカギとなります。不法投棄されたゴミなどを組み合わせて、神々しいオブジェを作る万代洋輔、古く使えなくなった車や家具など様々なものを組み合わせて、新しい生命力を秘めるような彫刻作品を作る青野文昭など、思いもよらないものを繋げてみることで、これまでにない価値が作り出されます。
日本人アーティストによる、日本の「いま」を映し出した現代アート展を通して、現代社会の分断と向き合うヒントを得られるかもしれません。
展覧会名 | 六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 六本木クロッシング2019展:つないでみる |
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会期 | 2019年2月9日(土) 〜 5月26日(日) |
休館日 | 会期中無休 |
時間 | 10:00〜22:00(4月30日をのぞく火曜日は17:00まで) ※「六本木アートナイト2019」開催に伴い、5月25日(土)は翌朝6:00まで ※入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | 森美術館 港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,800円、高大学生 1,200円、4歳〜中学生 600円、65歳以上 1,500円 |
公式サイト | www.mori.art.museum |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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