ピュリスム、キュビスムから紐解く、
ル・コルビュジエの造形思考の原点
世界中の建築界に多大な影響を与え、絵画、彫刻制作などアーティストとしての一面も知られる、20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエ(1887〜1965)。その造形思考の原点に迫る企画展が、2016年にユネスコ世界文化遺産に登録されたル・コルビュジエ建築「国立西洋美術館」にて開催されます。
スイス出身のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエの本名)は、故郷の美術学校で学んだ後、ウィーン、パリ、ベルリンなどの諸都市で建築と美術の新しい動向に触れ、1920年から「ル・コルビュジエ」の名で著述活動をスタート。『建築をめざして』をはじめとする数々の著作と建築作品により、今日では、アメリカのフランク・ロイド・ライト、ドイツ出身のミース・ファン・デル・ローエと並び、「近代建築の三大巨匠」のひとりに数えられています。
本展は、若きシャルル=エドゥアール・ジャンヌレが、第一次大戦が終わったばかりのパリで、画家アメデ・オザンファンと共に「ピュリスム(純粋主義)」の運動を推進した時代に焦点をあて、絵画、建築、都市計画、出版、インテリア・デザインなど多方面にわたった約10年間の活動を振り返ります。彼らは、芸術にも普遍的な規則がなくてはならないと主張し、比例と幾何学によって明快な構成を作りあげるピュリスム絵画を二人三脚で追求しました。これらの理念が、建築家ル・コルビュジエ誕生の原点となったのです。
一方、その頃のパリの美術界では、1910年代初めに注目を浴びた「キュビスム(立体派)」が第二の隆盛期を迎えていました。ジャンヌレとオザンファンは当初、「(大戦前の)混乱した時代の混乱した芸術」と批判しましたが、後にその業績を認め、ピュリスムの先駆者に位置づけるようになります。本展では、第一次大戦後のキュビスムを代表するパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックらの絵画と、ジャック・リプシッツ、アンリ・ローランスの彫刻により、ル・コルビュジエが多大な刺激を受けた1920年代パリの前衛美術界を再現。また、同時代の優れた芸術家やデザイナーとの協働による、彼自身の広範な業績を紹介します。
近代美術の巨匠たちの絵画・彫刻と、ル・コルビュジエの建築空間との融合という、本展だけの貴重な体験をお見逃しなく。
展覧会名 | 国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代 |
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会期 | 2019年2月19日(火) 〜 5月19日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし3月25日、4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火) |
時間 | 9:30〜17:30(金・土曜日は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 国立西洋美術館 台東区上野公園7-7 |
観覧料 | 一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 800円 |
公式サイト | https://www.nmwa.go.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
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