The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project

対立の地から共生の大地へ。非武装地帯に創る「自然国家」のアイディア

  • 2019/04/11
  • イベント
  • アート

韓国人アーティスト崔在銀チェジェウンが2014 年に立ち上げた「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」の構想を可視化する展覧会が、本人の発案・構成により実現。崔の展覧会は2010年の日本初個展「アショカの森」以来、原美術館での2回目の開催となる。

韓国ソウルに生まれ、1976年より東京に住み活動する崔。日本の伝統芸術である華道に魅せられ、80〜90年代には、生け花の表層だけでなくその空間概念や宇宙観をも取り入れたインスタレーション作品を手掛ける。また、ヴェネチアビエンナーレなど多数の国際展への参加、映画監督としての活躍など、自身の豊かな感性と共鳴させながら“生命”について深く考える視点の作品を数多く制作してきた。

Korean War 休戦後、北緯38度線から南北2kmずつの非武装地帯(DMZ / Demilitarized Zone)に、65年余りの歳月を経て生まれた豊かな生態系を守り、生きとし生けるもの全ての共生を願って崔が2014 年に立ち上げたのが「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」の構想だった。300万個とも言われる数の地雷が敷設され、現在でも南北間の緊迫した状況が続く中、長きに亘って人が立ち入ることのなかったDMZには、現在101種もの絶滅危惧種を含む5057種の生物が育まれている。皮肉にも人間の対立によって生まれたこの豊かな生態系を、いかにして後世に手渡してゆくか――その問いに彼女が出した結論は、人間ではなく自然が治める国「自然国家」の“法律”(=詩)の“創作”だった。本展では、その構想に賛同したアーティストや建築家、思想家をはじめ、崔が信頼する人々が自然について思索し、共生のための法律(=詩)を作り、具体的方法を提案する。
 渡り鳥が羽を休める空の庭園や、人を地雷から守り自然を人間から守ることのできる散策路、そして絶滅が危惧される植物の種を保存するシードバンクなど、アートを介した自然国家の“創作”。実現には多くの困難が予想されるが、一歩一歩前進する共生のアイディアが共感を呼ぶだろう。

  1. 崔在銀 hatred melts like snow, 2019 ©Kim Taedong
    崔在銀
    hatred melts like snow, 2019
    ©Kim Taedong
  2. 崔在銀 Recurring Tree
    崔在銀
    Recurring Tree
  3. Lee Bul, Study for DMZ Jung-ja Project 1, 2017, pencil, watercolor ink, acrylic paint on paper
    Lee Bul,
    Study for DMZ Jung-ja Project 1, 2017,
    pencil, watercolor ink, acrylic paint on paper
  4. Studio Other Spaces: Olafur Eliasson and Sebastian Behmann, Condensation pavilion
    Studio Other Spaces: Olafur Eliasson and Sebastian Behmann, Condensation pavilion
  5. 川俣正 Nest on the Cliff
    川俣正
    Nest on the Cliff
  6. ※すべて参考画像 Courtesy of the artist.

開催概要

展覧会名 The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project
会期 2019年4月13日(土) 〜 7月28日(日)
休館日 月曜(ただし4月29日、5月6日、7月15日は開館)、
5月7日(火)、7月16日(火)
時間 11:00〜17:00(祝日を除く水曜は20:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 原美術館
品川区北品川4-7-25
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 一般 1,100円、高大生 700円、小中生 500円
※原美術館メンバーは無料
※学期中の土曜日は小中高生の入館無料
公式サイト https://www.haramuseum.or.jp
問合せ 03-3445-0651

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