設計者も知らない「建築のそれから/, and then」を
5つの短編映画で眺める上映会
豊かな発想力で建築の壁を越え空間に自由を与える、注目の建築家・中山英之。その建築の魅力がどこから生まれてくるのかを、建築模型や図面ではなく映像を中心に表現する、新しい試みの展覧会が開催。
建築は完成後、住まい手によってどのように使われ、どのような日常が繰り広げられているのか。中山氏は、建築家自身も知ることのできない「建築のそれから/, and then」が重要だと考えている。彼の研ぎ澄まされた感覚や思考、さらに作品がもつ魅力や質、完成後の時間の流れなど、空間の内と外、思考の内と外、取り巻く周囲の環境も含めて、短編映画を通じて紹介しようというのが本展の試みだ。
上映される5作品は、5人の監督が今回のために撮り下ろした、中山氏の代表的な5つの建築を映したもの。Film1は2017年竣工の「弦と弧」。2階建ての大きさに、かたちのばらばらな10層の平面が重なった住居兼仕事場で、上下するカメラがその場所での朝から晩までを記録する。Film2の「mitosaya 薬草園蒸留所」は、人の来なくなってしまった薬草園が蒸留所として生まれ変わり、動き始めたばかりのお酒造りを1人称カメラが見つめる。Film3は街かどに吊るされた高さ7.5メートルのカーテンが目をひく「O邸」。そこにある生活の断片を、静止画のように切り取る。Film4の道を挟んで並んだ同じ形の2軒の家「家と道」では、家と道のあいだで撮られた、ほんの短いある日の出来事を映像に収めている。そして、Film5は中山氏の処女作である住居「2004」。宙に浮いたように見える白い家を舞台に、アニメーションとスライドショーによる短編が展開する。
建築の展覧会というよりも、建築のそれから/, and thenを眺める小さな映画祭のような上映会。「映像には始まりと終わりがあるので、好きな時に行き、自分のペースで会場を回れる展覧会とは、ちょっぴり相性が良くないかもしれません。そんな意味でも展覧会には、できれば映画館に出かけるような気分で来てもらえたら嬉しいです」と中山氏。模型や図面からは伝わらない、建築家のユニークな視点と出会うことになるだろう。
展覧会名 | 中山英之展 , and then |
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会期 | 2019年5月23日(木) 〜 8月4日(日) |
休館日 | 月曜・祝日 |
時間 | 11:00〜18:00 |
会場 | TOTOギャラリー・間 港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F |
入館料 | 無料 |
公式サイト | https://jp.toto.com/gallerma |
問合せ | 03-3402-1010 |
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