日本近代絵画史上に輝く天才画家。その絵画の道を年代順に追う大回顧展!
フランスを追随したとされる日本の近代美術史において、唯一初期から晩年に至るまで、自己の価値判断によって独創的な絵画の道を歩んだ画家・岸田劉生(1891〜1929)。その没後90年を記念して、岸田の絵画の道において道標となる作品150点以上を、制作年代順に展示する回顧展が開催。
キリスト教会の牧師を志す傍ら、独学で水彩画を制作していた岸田は、画家になることを勧められ、黒田清輝の主宰する白馬会葵橋洋画研究所で本格的に油彩画を学び始める。そして、雑誌『白樺』が紹介する「後期印象派」の画家たち(ゴッホ、ゴーギャン、マティスら)を知り、大きな衝撃を受けたという。1912年には、斎藤与里、高村光太郎、萬鐡五郎らとともにヒユウザン会を結成し、強烈な色彩と筆致による油彩画を発表。しかし、画家としての自己の道を探究するために、徹底した細密描写による写実表現を突きつめ、その先にミケランジェロやデューラーら西洋古典絵画を発見、独創的な画風を確立する。1915年には、木村荘八、椿貞雄らとともに草土社を結成、若い画家たちに圧倒的な影響を与えた。また、最愛の娘・麗子の誕生を契機に、自己のなかの究極の写実による油彩画を志す。その後は、素描や水彩画、日本画にも真剣に取り組み、再び油彩画に「新しい道」を探究しはじめた1929年、享年38歳でこの世を去った。
このように、一つの到達点にきたら画風を変え、また新たな作風へと展開させ続けた岸田劉生の作品や姿勢、活動は、同時代の若い画家の指標ともなり、強い影響を与えた。岸田のほとんどの作品は、画面に残されたサインや日記から制作年月日が分かっており、ほぼ制作年代順に展示される本展で、彼の画業の変遷を辿り、あの名作がどういう経緯で誕生したのかを理解することができるはずだ。
重要文化財《道路と土手と塀(切通之写生)》や、「この最初の(油彩の)五歳之像には父の気持ちにやはり何か特別なものがあった気がする」と麗子が記した《麗子肖像(麗子五歳之像)》、修復を終え描かれた当時に近い色や状態を取り戻した《B.L.の肖像(バーナード・リーチ像)》や《壺の上に林檎が載って在る》など、没後100年展まで恐らく実現しないであろう、名品揃いの大回顧展をお楽しみに。
展覧会名 | 没後90年記念 岸田劉生展 |
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会期 | 2019年8月31日(土) 〜 10月20日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし9月16日・23日、10月14日は開館)、9月17日(火)・24日(火) |
時間 | 10:00〜18:00(金曜は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 東京ステーションギャラリー 千代田区丸の内1-9-1 |
入館料 | 一般 1,100円、高大生 900円、中学生以下無料 |
公式サイト | http://www.ejrcf.or.jp/gallery/ |
問合せ | 03-3212-2485 |
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