生誕250年記念 歌川豊国 ―写楽を超えた男

役者絵、美人画、版本挿絵、何でもござれ!
歌川派台頭の礎を築いた、超売れっ子絵師

歌川派の開祖豊春に入門し、役者絵、美人画、版本挿絵などさまざまなジャンルの第一線で作品を描き続けた絵師・初代歌川豊国(1769〜1825)。近年人気の高い歌川国芳や歌川国貞など、才能あふれる若い絵師たちの師匠として、幕末に歌川派が浮世絵の最大流派となる礎を築いた重要人物だが、これまでその画業全体を紹介する展覧会はほとんど行われてこなかった。本展は、その幅広い作品を紹介し魅力に迫る回顧展となる。

寛政時代(1789〜1801)に東洲斎写楽、勝川春英らと役者絵の分野で競った豊国。出世作となったのは「役者舞台之姿絵」というシリーズで、その透明感のある爽やかな筆致で描き出される歌舞伎役者の姿が大人気となり、スター絵師へと上り詰める。その勢いは、「あまりに真を描かんとて」と当時評された東洲斎写楽を退け、役者絵の世界を席巻した。
 また、豊国は歌舞伎役者だけでなく、美人を描く名手でもあった。彼がデビューした頃に美人画で人気のあった喜多川歌麿の描く艶やかな女性とは毛色の違う、健康的で柔らかな女性像を描き人気となった。武家の高貴な女性から小舟の上で仕事をする最下級の遊女「船饅頭」まで、ありとあらゆる当時の女性風俗を捉えられているのが特徴だ。
 そして、役者絵、美人画で人気となった豊国は、読本、合巻などの版本挿絵の分野では葛飾北斎と人気を競い合い、いくつもの版元の依頼を受けて締切に追われ、しばしばカンヅメとなる超売れっ子絵師に。しかし決して筆が早い方ではなかったため、版元を怒らせたり、一部を弟子の国貞が手伝って出版にこぎつけたりと、大物ぶりを感じさせるエピソードも。

国芳のルーツともいえる味わい深い戯画《猫の介科(みぶり)》や、役者絵と美人画を両方得意とした、豊国ならではのセンスあふれる《夜舟の宗十郎》など、注目の作品も出展される。

歌川豊国「夜舟の宗十郎」(太田記念美術館蔵)
歌川豊国「役者舞台之姿絵 まさつや」(太田記念美術館蔵)
歌川豊国「愛宕山夏景色」(太田記念美術館蔵)
歌川豊国「猫の介科(みぶり)」(個人蔵)
曲亭馬琴作/歌川豊国画『復讐奇譚稚枝鳩』巻之三(個人蔵)
開催概要
展覧会名 生誕250年記念 歌川豊国 ―写楽を超えた男
会期 2019年9月3日(火) 〜 9月29日(日)
※9月16日(月・祝)より一部展示替えあり
休館日 9月9日(月)、17日(火)、24日(火)
時間 10:30〜17:30 ※入館は閉館時間の30分前まで
会場 太田記念美術館
渋谷区神宮前1-10-10
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入館料 一般 1,000円、高大生 700円、中学生以下 無料
公式サイト http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
2019年8月更新