その場所・時代の鮮やかな空気を表現した
モダンで優美な絵画と洗練されたテキスタイル・デザイン
華やかで明るい色彩と軽妙な筆致の作品で「色彩の魔術師」と評され、現代でも多くの人々を惹きつけるフランス人画家ラウル・デュフィ(1877〜1953)。本展では、そのモダンで優美な絵画と、モードの帝王ポール・ポワレが使用した絹織物を含む、デュフィのテキスタイル・デザイン関連作品及び資料全152点が一堂に展示される。
画業の形成期は印象派やフォーヴィスム、セザンヌの影響を受け、時代の空気に反応した作品を制作しながら、表現の革新を続けたデュフィ。本展では、美術学校時代の優品《グラン・ブルヴァールのカーニヴァル》から晩年の《花束》まで、代表的な作例16点が出品。陽光があふれる穏やかな南仏の室内を描いた《ニースの窓辺》をはじめ、音楽や社交をテーマとした《黄色いコンソール》など、光と活気がみなぎる穏やかな海や、リズム感と一体感を感じるコンサートホール、着飾る個性的な人物など、人生の楽しみ、生きる喜びが明朗に歌い上げられたデュフィの画業の足跡を辿る。
テキスタイル・デザインもまた、デュフィの大きな魅力の一つだ。1910年に詩人のアポリネールの依頼により、『動物詩集またはオルフェウスの行列』への挿絵を木版画で制作。そこで見られるドラマチックな明暗表現とモダンで簡潔な構図はたいへん洗練されたものだった。その頃すでに知人であったファッション・デザイナーのポール・ポワレは、デュフィによるこうしたグラフィックの仕事を評価し布地の共同開発を始める。この活動により、テキスタイル・デザインの仕事に関心を高めていたデュフィは、リヨンの絹織物製造業ビアンキーニ=フェリエ社のために1912年から28年までテキスタイルのデザインを提供することになる。その鮮やかな色彩と大胆なモチーフの布地は、上流階級の女性たちを魅了し大評判となった。会場ではビアンキーニ=フェリエ社のアーカイヴを引き継いだデュフィ・ビアンキーニから出品されるデザイン原画や下絵、オリジナルテキスタイル、プリント生地の為の試し刷り、そして復刻生産されたテキスタイルによる衣装作品などを紹介する。
絵画とテキスタイル・デザインという、2つの表現媒体を軽やかに越境しながら生み出された作品群を展観し、画家が目指した表現の本質と、デュフィの作品に付随する装飾性の意義に迫る。
展覧会名 | ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン |
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会期 | 2019年10月5日(土)〜12月15日(日) |
休館日 | 水曜日 |
時間 | 10:00〜18:00(11月1日(金)、12月6日(金)は20:00まで開館) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | パナソニック汐留美術館 港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4F >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,000円、65歳以上 900円、大学生 700円、中高生 500円、小学生以下 無料 |
公式サイト | https://panasonic.co.jp/ls/museum/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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