現世を享楽的に生きようとする“浮世の概念”がもたらした
江戸時代初期の活き活きとした風俗画・浮世絵を展観
江戸時代初期の風俗画や浮世絵に溢れる人々のエナジーを、静嘉堂秘蔵の名品で堪能する展覧会。
浮世絵の「浮世」は、もとは「憂世」と書き、中世までは憂いことの多い世の中を悲観する概念だった。しかし、江戸時代に入り、経済生活を確立しつつあった庶民のエナジーによって大きく変化し始め、こうした厭世的なものではなく、“はかないこの世を享楽的に生きよう”という“浮世の概念”が誕生する。絵画においても、日常生活が画題となり庶民も絵を買い求め、絵師たちは多彩な活動を始める。時代を写す鏡のような風俗画や浮世絵の誕生はその最たるものといえるだろう。
本展では、静嘉堂の誇る重要文化財《四条河原遊楽図屏風》をはじめ、庶民風俗を主題とした年中行事図や、彼らの遊び場を描いた歌舞伎図など、活き活きとした描写で、現世を享楽的に生きようとする様がちりばめられ近世初期風俗画を通して、等身大の人々の姿、そのエナジーを紹介。また、軽妙洒脱に江戸の風俗を描いた英一蝶の《朝暾曳馬図》は修復後初公開となる。
そして、静嘉堂の浮世絵といえば幕末の人気絵師・国貞の錦絵画帖だが、本展では秘蔵の浮世絵版画が、錦絵誕生以前から春信、そして黄金期の歌麿、北斎、近年人気の国芳まで通史的に展示される。これらは、平成4年の開館以来初公開となる。
くわえて、明治末期、海外向けに日本美術を紹介した豪華画集『浮世絵派画集』(審美書院)に掲載された、明治を代表する財界人・岩崎彌之助所蔵の肉筆浮世絵なども初めて展示される。浮世絵は「日本らしさ」を海外にアピールするツールであり、それこそ、日本文化を守るべく蒐集活動を行った彌之助が所持するにふさわしいジャンルの一つだったといえる。
“浮世の概念”がもたらした庶民のエナジーの爆発が、どのような風俗画や浮世絵を生み出していったのか。その活き活きとした作品を通して感じ取りたい。
展覧会名 | 江戸のエナジー 風俗画と浮世絵 |
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会期 | 2020年12月19日(土)〜2021年2月7日(日) ※会期中、展示替えあり 前期:12月19日(土)〜1月17日(日) 後期:1月19日(火)〜2月7日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし2021年1月11日は開館)、12月28日(月)〜2021年1月4日(月)、1月12日(火) |
時間 | 10:00〜16:30 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 静嘉堂文庫美術館 世田谷区岡本2-23-1 |
入館料 | 一般 1,000円、高大生 700円、中学生以下無料 |
公式サイト | http://www.seikado.or.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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