港区界隈の個性派 博物館
日本民藝館
普段使いで光る“用の美”を体現した民藝運動の本拠地 日本民藝館

駒場公園に隣接し、住宅街の中に建つ「日本民藝館」。思想家の柳宗悦(1889〜1961)らによって企画され、1936年に開館した民衆的工芸品(民藝)専門の美術館だ。収蔵品を展示する本館と、かつて柳宗悦の邸宅だった西館があり、西館は月に数日公開されている。

石塀に漆喰の建物と、外観から古き良き時代の雰囲気たっぷり。引き戸を開けて中に入ると、吹き抜けになっている2Fへの大階段が広がり、細部まで計算された空間と静寂さが一気に身を包む。外の忙しなさから切り離されたようで心地よい。
 初代館長でもある柳宗悦が、美術館とするべく建てた本館は、大谷石と木材を多用し、拭漆を塗った家具、木製展示ケース、窓の障子、和洋を組み合わせたインテリアなど、随所に工夫が凝らされている。美術館にありがちな無機質でシャープなイメージではないため、温もりある空間と作品が一体となった美しさが鑑賞できる。

常設展はなく、テーマ別の特別展4回と、現在の作り手の新作を展示・頒布する「新作工藝公募展」の年5回、企画展を開催。過去の企画展では、インドの刺繍と刺子展、朝鮮陶磁、イギリスの古陶、棟方志功、芹沢_介などが人気だったとか。
 館内は、1Fに4部屋、2Fに5部屋あり、順路はなく好きな所から見て回る。取材日は、企画展「柳宗悦・蒐集の軌跡」が開催中で、宗悦が生涯に集めた多種多様な作品を紹介。仏教美術の部屋では、正統派の仏画とともに、錫杖や円空仏、江戸時代のカラフルな絵馬などが登場。作品名と年代の表記はあるものの、詳しい解説がないので、背景や狙いなどのうんちくに流されることなく、ほぼ直観で見ていく。朝鮮の作品が並ぶ部屋では、羅漢や童子の和やかな顔に癒される。見せ方もユニークで、同じ部屋の中に鎌倉時代から江戸時代までの作品が順不同で並んでいたり、オランダの色絵陶芸と国内の陶芸が一緒に展示されるなど、一般的な美術館とは一線を画していて面白い。伊万里の湯呑も木製ケースに並べられていると、美術品というよりも家の棚に収まっている食器のような雰囲気だ。
 2Fの大展示室には、戦前から戦後の民藝品がズラリ。茶臼、まさかり、藁箒、七輪、刺子の足袋や半纏、富山の薬売りの柳行李、背負子、馬の鞍まであり、ジャンルの多様さにびっくりする。

来館者は40〜50代中心だが、プロダクトデザイナーの深澤直人氏が5代目館長に就任してから20〜30代や学生の来館者が増え、休日は多い時で1日300人ほどが訪れる。今の暮らしぶりにも応用できそうな民藝品と魅せる展示空間で、ゆったりしたひと時を過ごしてみたい。

    日本民藝館(駒場東大前)
  • 目黒区駒場4-3-33 [MAP]
  • 03-3467-4527
  • 料金(税込)
    大人1,100円、高大生600円、
    小中生200円
  • [本館]
    10:00〜17:00(最終入館は閉館30分前まで)
    休館日
    月曜(祝日の場合は翌日)、
    年末年始、展示替え期間
  • [西館(旧柳宗悦邸)]
    公開日
    会期中の第2水曜、第2土曜、
    第3水曜、第3土曜
    10:00〜16:30(最終入館は閉館30分前まで)
  • 京王井の頭線「駒場東大前駅」徒歩7分、
    小田急線「東北沢駅」徒歩15分
  • webサイト
大階段
大谷石の床
2F大展示室
回廊
大津絵
像
箱書き
外観
書斎

2016年9月取材/2016年11月更新