各国の料理店が立ち並ぶ赤坂でも、“エチオピア料理”となれば流石にレア。ハーブとスパイスがベースのあっさり味は日本人にもウケがよく、物珍しさで来店して常連に、というケースも少なくないとか。リピーターを生み出す名物メニューが“ドロワット”。夜一人で訪れ、これだけ食べて帰る客がいるほどヤミツキ度は高い。

目に鮮やかな朱色のシチューは、じっくり炒めた玉ねぎの甘味と、赤唐辛子など10種以上のスパイスを合わせた“バレバレ”の辛さ＆コクが織り成す奥深〜い味わい。舌から喉を駆け抜けていく“疾走する辛さ”はまさに未体験。一口ごとに運動後のような爽快な汗が流れる。食後に訪れる、満腹なのに全身スッキリ、という不思議な感覚は驚きの一言。

本来は祭りや結婚式のために作られる“ハレの日”の料理。玉ねぎのみじん切りを弱火で炒め、野菜から出た水分のみでチキンとバレバレを6時間煮込むという。
「手間がかかるから、エチオピアのお母さんもたまにしか作りたくない」と店主のワンダサン氏は笑う。特別なエチオピア料理が手頃な価格で味わえるとは何たる幸せ。ランチスポットの切り札として覚えておきたい一軒だ。

1. コーヒー発祥の地として知られるエチオピアだけに、コーヒーは絶品!!挽きたてのエチオピア産の豆を水とともに沸騰させる伝統の淹れ方でサーブされる。ハーブを入れて飲むのも本国流
2. ワニ、カンガルー、ダチョウと珍しい肉のメニューも豊富。写真の「ダチョウのたたき（税抜800円）」は、あっさりした肉に濃厚なローズマリー風味のゴマだれがよく合う。エチオピアでポピュラーな甘いハニーワインとの相性も抜群！
3. 陽気で温かな人柄の店主ワンダサン氏。1999年、エチオピアからシェフとして来日。「日本ではあまり知られていないエチオピアの文化を伝えたい」と2008年に店をオープンさせた