愛宕神社の参道中腹にある、1986年創業の「フェルミエ愛宕店」。レストランへの卸を主体に輸入ナチュラルチーズの多様性を、一般に認知させてきた立役者だ。

取り扱うチーズの種類はなんと約200種にも。ヨーロッパ各地から毎週空輸で入荷している。割合はフランスが一番多く、特にハード系チーズの「コンテ」は栗のような風味と深いコクで人気No.1。イタリアのチーズ「パルミジャーノレッジャーノ」もおつまみから料理まで活用の幅が広く需要が多い。
 春は、桜葉で包んだ「ラ・ロッサ」、コルシカ島の羊のチーズ「ブロッチュ」など限定ものが、秋冬は、スパイス入りの白ワインで外皮を拭きながら熟成させる「アッペンツェラー」、この時季限定で生産される「モンドール」など味の濃いものが好評。四季折々の商品が並ぶ店頭を見ると、白カビ、青カビ、山羊、ハードというタイプごとの種類の多さだけではなく、時節ならではのチーズの多彩さにも驚く。

好みの種類を制覇したい、パンやお酒と合わせるため、料理に使うため、ギフトにと、訪れる客の目的もさまざま。「ご要望をお聞きし、提案することも多いですね」と、植村理恵店長。相談や試食をしながら“今日のチーズ”を選んでいく過程も楽しい。試しやすく、日々の食生活にも取り入れやすいよう、ほとんどのチーズは100gから購入できる。プロが見定めた旬のチーズで新しい食の楽しみが生まれるかも!?

1. 多様なチーズがショーケースに並び、ワクワクしてくる店内。奥にはイベントスペースがある。チーズ用のナイフ、カッティングボード、盛り付け時に使うスレート、ラクレットオーブンといった器具類、合わせて食べたい蜂蜜やオリーブなども販売
2. チーズを一口サイズにカットして美しく盛り付けたプラトーを作るケータリングも行う。前日までの予約で5,000円からと意外とリーズナブル。レセプション、オープニングや周年パーティ、歓送迎会など、ビジネス需要も多い
3. 店内に入って左手に広がる熟成庫。8カ月程度から通が好む24カ月の長期タイプまでそろうコンテ専用室と、パルミジャーノレッジャーノなどハード系チーズを保管するハード庫がある。直径約60cmのコンテが棚にズラリと並ぶ姿は一見の価値あり！