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ミリアム・カーン「美しすぎることへの不安」

ミリアム・カーン「美しすぎることへの不安」
WAKO WORKS OF ART(六本木6-6-9 ピラミデ3F)

2019/8/22(木)
 スイスを代表する画家ミリアム・カーンの、WAKO WORKS OF ARTでは4度目となる個展。

 70年代に興ったフェミニズムやパフォーマンス・アート、反核運動などの社会的な動向に影響を受けたカーンは、ドローイング作品の制作からアーティスト活動を開始し、水彩、写真、彫刻とさまざまな表現を続けてきた。今回展示されるのは、94年から描くようになった油彩画の近作と初期作で、一般的な油彩画のイメージであるどっしりとした重厚感とは違う、勢いのある筆致と独特のあざやかな色彩が特徴だ。
 カーンの作品はどれも、一見すると美しく穏やかな雰囲気だが、描かれているものからは深い闇を感じずにはいられない。悲しそうに顔をゆがめる子ども、顔面に一撃を食らわされる男性、淀んだ背景を背負ってこちらを見つめる人――それらは、彼女が常に向き合う暴力や社会問題、権力に対するアンチテーゼで、それを相反する要素の中に同居させることで、この時代の不確かさを浮き彫りにしている。
 瞬間的な感情の起伏を感じさせる筆致はもちろん、指で描いた作品や、ラフなキャンバスの張り方など、身体性を重視した生の表現はぜひギャラリーで体感してほしい。

 また、現在開催中の「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」にも参加しているので、併せて鑑賞したい。

【会期】7月27日(土)〜9月14日(土) 【休廊日】日月祝 【時間】11:00〜19:00