独特な作陶スタイルから生まれる多彩な作品群が魅力「中里 隆 陶の旅人」

菊池寛実記念 智美術館(虎ノ門4-1-35)

  • 2021/8/20(金)
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独特な作陶スタイルから生まれる多彩な作品群が魅力「中里 隆 陶の旅人」

 佐賀県の唐津焼をルーツとしながら、多彩でユニークなスタイルで作陶を続ける中里隆(なかざとたかし)の個展が、8月21日よりスタート。鉢や壺などの大型作品から食卓を彩る食器まで、新旧合わせ100点余りの作品によりその幅広い仕事を紹介する、日本の美術館で初の個展となる(会期中展示替えあり)。

 唐津の名門陶家、中里太郎右衛門窯の12代目当主の五男として生まれた中里は、1日に何百もの同じ型の器を轆轤で造り続けるなど、徹底して作陶の基礎を修得した後、1971年には種子島に渡り島の土による種子島焼を手がける。帰郷後は、自身の「隆太窯」を築窯し、そこを拠点としつつも、世界中を旅しながら現地に滞在し、その土地の素材を活かして制作するという、独特な仕事のスタイルを確立。特に、1990年代のデンマークのロイヤルコペンハーゲン窯や、1996年以降現在まで続くアメリカのアンダーソンランチ窯での仕事は、いくつになっても型にはまらず柔軟に作陶する作家の姿勢をよく表す作品群と言える。
 また、本展で印象的なのは、作品の紹介だけではなく、中里の人となりも伝えるような工夫がなされているところ。展示室で流れる映像や図録などに見る、作家の人懐こい笑顔や隆太窯での生活の様子から、作品を取り巻く温かい空気感やストーリーまで伝わってくる。

【期間】8月21 日(土)〜11月28日(日)
【休館日】月曜(ただし9月20日は開館)、9月21日(火)
【時間】11:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)

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