明治の洋風事務所を建築から忠実に再現!内も外も価値ある美術館
三菱一号館美術館
堂々たる外観はインパクト大。小部屋をつなげて構成された館内は迷路のよう。内装も復元され、レトロ感満載。1Fには、かつて銀行営業室だった部屋を復元した「Cafe1894」があり、当時の雰囲気に浸りながら一服できる
1894(明治27)年、丸の内で最初に建造された洋風事務所を2010年に復元。近代専門の美術館として再生させたのが「三菱一号館美術館」だ。
三菱一号館の設計は、日本政府が招聘した英国人建築家ジョサイア・コンドルによるもの。復元の際は、当時の設計図、1968(昭和43)年解体時の実測図、写真などを基に、赤レンガ230万個は1つずつ型抜きし、木製建具は彫り、窓ガラスは旧・新丸ビルの古いガラスを再利用と、材質の色や質感まで忠実に再現。耐震も免震構造の基盤の上に当時と同様の構造を行う念の入れよう。このこだわりが、人をひきつける独特なクラシカル調に昇華している。復元の経緯や丸の内の歴史は、無料の歴史資料室で自由に閲覧できるのも魅力だ。
1800年代末期は、女性の社会進出や産業の工業化、ナショナリズムなど、社会が大きく変革した時代で、美術も表現の多様化が進んだ。建造の時代に合わせ、収蔵品は19世紀のグラフィック、版画、工芸品。特にトゥールーズ=ロートレックのポスターとリトグラフ200数十点は希少なコレクションだ。
常設展示は行わず、年3回実施される近代美術の企画展が中心。収蔵品は企画展内で出品される。アートと建築双方の魅力を堪能したい。
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オディロン・ルドン 《グラン・ブーケ(大きな花束)》 1901年 パステル/カンヴァス |
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》 1891年 リトグラフ/紙 |
ティファニー・スタジオ/ルイス・コンフォート・ティファニー 《朝顔形コンポート》 1880年 ガラス |
カミーユ・マルタン 『レスタンプ・オリジナル』 第2年次の表紙 1894年 リトグラフ/紙 |
三菱一号館美術館(丸の内)
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2013年3月取材/2015年5月更新
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