キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

これが実話なんて!
天才少年詐欺師のあざやかな手口と生き様

  • 2003/03/14
  • イベント
  • シネマ
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

16〜21歳の間に数百万ドルを荒稼ぎ。FBIの追っ手を逃れて26ヵ国を股にかけ、その飛行総距離はなんと320万キロ。にわかには信じがたい話だが、これは実際に1960年代のアメリカで起こった事件“天才少年詐欺師フランク・アバグネイル”の物語。「映画化は難しい」とされていたこの実話が、監督スティーブン・スピルバーグ、主演レオナルド・ディカプリオ、共演トム・ハンクスという豪華キャストで実現された。

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

ストーリーは、ルパン三世のような大胆不敵でノリのいい痛快さに、少年が成長していくヒューマン的な切なさが程よくブレンドされた、後味のいい仕上がり。'60年代のファッションや車なども華やかで、ヴィジュアル的にもセンス良し……と、ヒットの要素満載のエンタメ・ムービーの典型。本作は当然アカデミー賞狙いの野心作だったはずが、結局ノミネートされたのは作曲賞と助演男優賞(クリストファー・ウォーケン)のみ。ゴールデングローブ賞ほかアカデミー賞の前哨戦といわれる各賞でも、主な受賞はなかった。娯楽的要素は申し分ないながら、アーティスティックかつアカデミックな価値という点で評価が低かった模様。

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

さて、本作全編を通して一番“やられた!”と感じたのは、この物語の後日談。刑期を終えたフランクは、罪を悔い改めて神の道に……など当然入らない。彼はセキュリティのコンサルタント会社を起こして、見事大成功。54歳の今も健在で、良き妻や3人の息子に恵まれて幸せに暮らしている、という。世間を生き抜くしぶとくしたたかな賢さ、くじけることのない野心。それらがどうにもたまらなく格好良く、羨ましくさえ思えてしまった。

作品データ

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
公開 2003年3月21日公開
日劇1ほか全国ロードショー
制作年/制作国 2002年 アメリカ
上映時間 2:21
配給 UIP
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 レオナルド・ディカプリオ
トム・ハンクス
クリストファー・ウォーケン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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