めぐりあう時間たち

ニコール・キッドマン主演女優賞受賞作!
3つの時代、3人の女たちにみる進化していくひとの心の可能性

  • 2003/04/14
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めぐりあう時間たち

世界的なベストセラー小説を『リトル・ダンサー』のスティーヴン・ダルドリー監督が映画化。実在した英国人女流作家ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)と、彼女の作品『ダロウェイ夫人』の主人公さながらに別の時代を生きる2人の女性たちのある1日。3つの時代を生きる3人の女性たちがそれぞれに抱える問題から、普遍的な苦悩と救いを繊細に描いた人間ドラマである。

めぐりあう時間たち

本作は経験豊富な大人のための上質な作品。まだまだ精神的にいたらない私などは、台詞やシーンの奥にこめられた深遠な意味やニュアンスすべては理解しきれなかった。それをふまえた上で感じたことは……どんな人間にもゆるされる瞬間がある、誰もが“本当の自分の居場所”を探し続けていくのではないだろうか、ということだ。

1923年/精神的病状の療養のためロンドン郊外に暮らすヴァージニア、1951年/第二子を妊娠中の恵まれた家庭の主婦ローラ(ジュリアン・ムーア)、2001年/エイズで死にゆく詩人である元恋人を見守る編集者クラリッサ(メリル・ストリープ)。彼女たちは自分が抱える問題に対して、それぞれに判断を下している。それは時がたつにつれ、最悪の選択をしなくてもすむようになってゆく。長い時間が流れていく間には、ある時代では解決できなかった問題も少しずつ良くなっていく可能性をはらんでいる。そんな“希望”のようなものが、水中に差し込む光のようなくすんだ明るさ、鈍くやわらかいトーンで映し出されていた……。

めぐりあう時間たち

付け鼻に低い声、地味なメイクでヴァージニアを熱演したキッドマンは、アカデミー主演女優賞を受賞。熟練のストリープ、実力派ムーアの存在も作品そのものの質を高め、この受賞の支えとなったのだろう。

この映画は2回観た。初見で理解しきれなかったためもう一度観たのだが、やはり同じあたりがどうもわからない。・・・・・それについては、「10年〜20年後、またこの映画を観るときの楽しみにしよう」と心に決めた。

作品データ

めぐりあう時間たち
公開 2003年5月17日公開
丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー
制作年/制作国 2002年 アメリカ
上映時間 1:55
配給 アスミック・エースエンタテインメント
監督 スティーヴン・ダルドリー
原作 マイケル・カニングハム
出演 ニコール・キッドマン
ジュリアン・ムーア
メリル・ストリープ
ジョン・C・ライリー
エド・ハリス
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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