ファム・ファタール

魔性の女が巻き起こすスタイリッシュで
官能的なサスペンス・ワールド
近年ヒット作のない名匠デ・パルマ監督の新作の評価は?

  • 2003/07/21
  • イベント
  • シネマ
ファム・ファタール

『キャリー』『アンタッチャブル』などを手がけたアメリカの名匠ブライアン・デ・パルマ監督の最新作。主演はモデルから女優に転身したレベッカ・ローミン=ステイモスと、人気のスペイン人俳優アントニオ・バンデラス。格好いい俳優、セクシャルなムード、「ボレロ」を思わせる坂本龍一のサウンドがストーリーを導いていく官能サスペンス。1996年『ミッション:インポッシブル』以降ヒット作のないデ・パルマ監督だが、本作の評価は果たして……?

フランス、カンヌ映画祭のオープニングに登場する1000万ドル相当の宝飾品を強奪すべく仲間と一計を企てた美女ロールは、獲物を首尾よく奪うと仲間を出し抜いて逃走。戦利品とともに姿をくらまし、別人としてアメリカへ。7年後、米国大使夫人としてパリに戻った彼女は素顔を隠していたが、カメラマンのニコラスに暴露写真を撮られたことを機に、昔の強盗仲間に追われる羽目に。ロールは次第に悪女の本性をむき出しにして、ニコラスを巻き込みつつ過去の清算にのりだす――。

毎年行われているワースト映画を選ぶ企画“Stinkers Bad Movie Awards2002”にて、実はノミネートや受賞をしてしまった本作。心がまえとしては、ラスト近くに大きな展開を迎えたときが山場。帰りたくなったり暴れたりしたくなっても、ちょっと待って。動揺に身を任せず、まずは最後まで鑑賞を。とはいえ、最後まで観たらなおダメだった、という場合もありそうなので、小さな声で……ある意味、幻想的に最後の最後でキレイに伏線をつなぐ演出はそこまで悪くはないなぁ、と。

エロティックに翻弄されることがキライじゃなく、物語よりも雰囲気重視、デ・パルマ監督を応援する暖かい気持ちのある方に……と長〜い条件付きでおすすめの本作。正統派のサスペンス好き、“デ・パルマ監督の最新作”として期待している方は要注意。まずは過大な期待を抱かず、寛容な気持ちで鑑賞してみるとよさそうだ。

作品データ

ファム・ファタール
公開 2003年8月23日公開
日比谷みゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
制作年/制作国 2002年 アメリカ
上映時間 1:55
配給 日本ヘラルド映画
監督・脚本 ブライアン・デ・パルマ
出演 レベッカ・ローミン=ステイモス
アントニオ・バンデラス
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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