阿修羅のごとく 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
女神が家にやってきた

往年の人気コメディ俳優S・マーティンと
ラッパーにして女優のQ・ラティファが対決!?
人種も年齢も超えて笑えるファンキー・コメディ



 往年の人気コメディ俳優スティーブ・マーティンとグラミー賞ラッパーにしてアカデミー賞ノミネート女優のクイーン・ラティファ共演によるハートウォーミング・コメディ。日本ではさらっと公開されるだけで終わりそうなこの作品。実はアメリカでは、全米公開時に3週連続興収1位、またDVD/ビデオの米国レンタル集計でも3週連続1位を獲得した人気作なのである。


 マジメ一徹で仕事一筋、バツイチの堅物弁護士ピーター。彼は出会い系サイトが縁で女脱獄囚シャーリーンに押しかけられ、彼女の無実を立証する手伝いをする羽目に。静かな生活をブチ壊しにされ、あわてふためいて怒ったり狼狽したりしながらも、別れた妻との復縁や別居している子供たちとの交流について、パワフルで自然体のシャーリーンから徐々に影響を受けてゆく。
 黒人女性を見るとメイド扱いする白人女性、「黒人と付き合ったら白人女には戻らないわ」という台詞。明るくユーモラスに人種差別をストーリーに盛り込み、最後にはその垣根や偏見をとっぱらってみんなハッピー!という直球のオチ。アメリカ人受けするテーマと俳優たちの憎めないキャラクターで、幅広い人種や年齢層をカラッと笑わせるコメディぶりが、全米でヒットした理由だろう。内容には親と子の交流、離婚した妻との関係修復という家族ドラマ、女脱獄囚の無実の真偽にせまるサスペンス、弁護士ピーターは大口の顧客との契約成立なるか、という仕事ネタ……と、日常的なエピソードをふんだんに織り交ぜて、大勢の観客が共感できる仕上がり。さまざまな側面をすべてきちんと展開させてキレイに締めたのは、'01年のジェニファー・ロペス主演映画『ウェディング・プランナー』で監督デビューを果たしたアダム・シャンクマン。以前は振付師としてジャネット・ジャクソンやホイットニー・ヒューストンなどのアーティスト、『ブギーナイツ』といった映画の振付などを手がけていたとのこと。せっかくだから、彼の演出でラティファの歌と踊りをカッコよくみせる独壇場のシーンが1回くらい観たかった……と思うのは欲ばりだろうか。ラティファがマーティンに踊りを教えながら、2人で盛り上がるダンスシーンもなかなか可愛いかったから、いいのですけどね。


 登場人物それぞれが古い殻を壊して脱ぎ捨て、新たな暮らしや自分を手に入れるこの映画。ちょっと疑問な点は、この邦題だ。もともと『Bringing down the house』“劇場(house)を崩壊させるほどの拍手・喝采を受ける”という語源をもつ、物語にリンクするなかなか冴えたタイトルだったはずが……。このせいで不発とならないよう、祈るばかりである。
『女神が家にやってきた』 2003年アメリカ映画
データ
2003年10月更新

2003年10月18日公開
銀座シネパトスほかにてロードショー

■2003年 アメリカ映画
■上映時間1:45
■東宝配給
■監督/アダム・シャンクマン
■製作総指揮/ジェーン・バーテルミ
クイーン・ラティファ
■出演/スティーブ・マーティン
クイーン・ラティファ
ユージン・レヴィ



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。