キル・ビル 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
キル・ビル

超個性派タランティーノ監督、6年ぶりの新作!
鼻血顔も板についたユマ・サーマンを迎えて贈る
映画マニア必見の濃厚バイオレンス・ショウ!



 まず。バイオレンスや大量出血、残酷なシーンは大の苦手、という方。本作はパスしましょう。この記事を読むのも、ここでやめた方がいいかもしれません。日本刀でバッサリ斬られて、首が飛ぶ腕が飛ぶ足が飛ぶ。この映画は、『パルプ・フィクション』でブレイクした個性派監督、クエンティン・タランティーノの最新作。映画マニアとしても有名な彼がこよなく愛する日本のヤクザ映画、マカロニ・ウェスタン、スパイやギャングやカンフーものなど新旧の作品すべてにオマージュを捧げまくった、自身の「集大成」(本人談)。これはもう、彼ならではのキワドいセンスに触れたい方、バトル系映画のフリーク、アクションおたく……そんな方々のための、失笑あり爆笑あり、前衛的バイオレンス・ムービーなのである。

キル・ビル
 結婚式の途中で銃撃され、幸せな未来もお腹のベビーも失った悲劇の花嫁“ザ・ブライド”(ユマ・サーマン)。暗殺者集団のエージェントだった彼女は、仲間たちの手によって惨殺されたのだ。が、奇跡的に一命をとりとめた彼女は4年間の昏睡状態から蘇り、幸せを奪った者たちへ復讐を開始。まずはエージェントたち、そして暗殺者集団のボス、ビルを目指して――。
キル・ビル
 とにかく先鋭と悪趣味、紙一重の濃厚なユーモアが満載。バトルシーンでは次々と残虐に殺されていくため「おえ〜 グロ〜」と思いながらも、設定のキテレツさやこっけいな雰囲気にぷっと吹き出してしまうことも多々。また武術指導が『マトリックス』を手がけたユエン・ウーピンのため、アクションは斬新でキレがいい。つじつまが合わない点などはたくさんある。でもきっと、それは気にしても詮無いこと。本作は膨大な象徴的イメージの結晶を集めてつくりあげた、万華鏡のようなものなのだから。


 今回はメインの敵キャラが日本の裏社会を牛耳る女親分(ルーシー・リュー)のため、沖縄と東京が舞台として登場。ユマもルーシーも日本語の台詞がけっこうあるのだが、これがほんっとに可笑しい。特にルーシーの日本語はアヒル声というか、妙に高いトーンのファニーな声になってしまうのだ。いつものクールな語り口からいきなりそうなるからもう爆笑。どれが狙いでどれがハズしか、本気なのか冗談なのか。名刀をつくる伝説の刀師がいて、日本刀による一対一の対決も日常茶飯事……みたいな海外で誤解されている間違ったニッポン感覚には、失笑しきり。全米の人々に現代の日本があのとおりだと本気で受け取られてしまったらどうしよう。ちょっと心配である……。
『キル・ビル』 2003年アメリカ映画
データ
2003年10月更新

キル・ビル

2003年10月25日公開
丸の内ピカデリー他全国松竹・東急系にてロードショー

■2003年 アメリカ映画
■上映時間1:48
■ギャガ・ヒューマックス共同配給
■監督・脚本/クエンティン・タランティーノ
■製作/ローレンス・ベンダー
■出演/ユマ・サーマン
ルーシー・リュー
千葉真一
栗山千明
■武術指導/ユエン・ウーピン



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。