シービスケット 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
シービスケット

ハンデをものともせず果敢に挑み、成功した
3人の男たちと1頭の競争馬による実話
観る者に勇気や希望を与えるストレートな感動作



 これはアメリカで実際にあったほんとうの物語。436万部を超えるベストセラーとなったノンフィクション小説を映画化。その日暮らしをする草競馬ジョッキーの青年、事業に成功したものの愛息を亡くし、妻とも別れた大富豪、車社会に移りゆく世間で居場所をなくしたカウボーイ……3人の孤独な男たちが1頭の小さな競走馬に夢を賭け、新たな道を見出していく。男臭く、はなやかさに欠くものの、ストレートに胸を打つ真っ直ぐな感動作である。

シービスケット
 アメリカ大恐慌の1930年代。富豪のハワードは馬主になるべく、偏屈ながらも人一倍馬を愛するカウボーイのスミスを調教師に迎える。馬場でスミスは暴れ馬にして怠け癖のある小柄な馬、シービスケットに名馬の資質を見抜き、また数人を相手にやりあっていた騎手ジョニーに目を留める。調整や訓練の結果、ジョニー&シービスケットは各地の競馬レースで連戦連勝。小さな馬に大きな騎手、年寄りの調教師に素人同然の馬主……と、有利とはいえない状況で成功を収めた彼らはたちまち大評判となり、苦境にあえぐ民衆のヒーローとなった。
シービスケット
 「ケガしたからといって、命あるものを殺すことはない」。痛みを知るもの同士が新たな絆を結び、希望を見出して突き進んでゆく。生きていれば大なり小なり誰もが味わう挫折や失意。苦悩や模索を繰り返し、それを乗り越えてゆく男たちの姿はとてもすがすがしい。実話だけあって展開にウィットや遊びがあまりないため、エンタメ感を期待して観るとものたりなく感じる場合もあるかもしれない。けれど本作は、良質な素材で心をこめて作られた田舎料理のようなもの。明確な主張や驚きがある一流シェフの味ではなく、地味ながらも素朴で味わい深いおばあちゃんの手料理の味。それはゆっくりと染みてゆき、心を満たす糧となる。


 見どころは迫力のレース場面。全米各地から参加した優秀なジョッキーと競走馬によるレースは本物さながら!試写会場でもゴールの瞬間、客席から拍手と喜びの声が自然と沸きあがったほどだ。また、『スパイダーマン』で筋肉をつけた身体をワークアウトとダイエットで10キロ減量、体脂肪6%までしぼった主演のトビー・マグワイア、騎手アイスマン役で映画初出演を果たした殿堂入りジョッキー、ゲイリー・スティーブンスの好演は見逃せない。


 原作は女性の競馬ジャーナリスト、ローラ・ヒレンブランドが関係者に綿密な取材を重ねてとうとう出版した処女長編小説。映画では描かれていないエピソードもまだまだたくさんあるのだそう。映画と本の双方で、感動の世界をより深く追ってみるのも楽しいだろう。
『シービスケット』 2003年アメリカ映画
データ
2003年12月更新

シービスケット

2004年1月24日公開
日比谷スカラ座ほか全国東宝系にてロードショー

■2003年 アメリカ映画
■上映時間2:21
■UIP配給
■監督・製作・脚色/ゲイリー・ロス
■原作/ローラ・ヒレンブランド
■出演/トビー・マグワイア
ジェフ・ブリッジス
クリス・クーパー
エリザベス・バンクス



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。