ディボース・ショウ 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ディボース・ショウ

離婚成金志望のフェロモン美女V.S.
離婚訴訟のエキスパートがガチンコ対決!
コーエン兄弟が贈る個性派ラブ・コメディ



 ほかにない彼らならではの作品づくりで知られるジョエル&イーサンのコーエン兄弟が製作・監督・脚本、主演にジョージ・クルーニーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズというわかりやすい濃いめの美男美女俳優を配した話題作。離婚訴訟のエキスパートである弁護士と離婚成金志望のフェロモン美女とのだまし合いを描いた、シニカルでユーモラスなラブ・コメディである。  

ディボース・ショウ
 舞台はセレブたちの結婚・離婚・再婚が日常茶飯事のロサンゼルス。どんなに不利な裁判でも相手の弱点を探し当て、必ず依頼主の勝利を勝ち取る百戦錬磨の弁護士マイルズは今日も忙しい。ある日、毎度の離婚裁判の案件で出会った美女マリリンに惹かれるものの、彼女は依頼主に離婚と財産分与を申請中の妻だったため……。
ディボース・ショウ
 二転三転さらに四転……!? と、どこへ向かうか迷走する展開、マッドサイエンティストばりのボスやオレ流トークの私立探偵ほかクドい登場人物などなど、コーエン兄弟らしいアクの強さはやっぱり面白い。でも正直このノリなら、彼らがクルーニーと組んだ'00年の映画『オー・ブラザー!』の方が断然突き抜けている。本作では人物の背景や行動動機、思いがあまり語られていないのだ。「もしやお上の命令でエピソードがカットされまくり、こんな風になってしまったのでは」と勘ぐってしまったくらい。どうも感情移入しにくく、サラッと観てしまう。それにコーエン兄弟の場合、ゴージャスでスノッブな世界より、良くも悪くも素朴で普遍的な感覚をベースにした方が彼らの魅力が際立つのかも。彼らの出身地であるミネソタ州の実話をもとにした'96年の映画『ファーゴ』、ぐうたら男がひとクセある人々の騒動に巻き込まれていく'98年の『ビッグ・リボウスキ』、そして'30年代のアメリカ南部を舞台にした囚人3人組のロードムービー『オー・ブラザー!』では、その持ち味がいかんなく発揮されていた。……こうしてやや辛口になってしまうのも、コーエン兄弟の作風が好きで、彼らの実力はこんなものじゃない、と信じているから。周囲の雑音に影響されすぎず、自分たちなりのやり方で本来の個性をもっとストレートにどんどん表現していってほしい……と願いつつ、次回作を待つ。


 とはいえ、遊び心やセンスの良さは今回も冴えている。ラスベガスのシーンの導入にイメージぴったりのハイテンションな曲、トム・ジョーンズ「恋はメキメキ」を使ったり、女性判事の名前がさりげなく米国の過激なロックグループの名前と同じマリリン・マンソンだったり(字幕はM・マンソンだったので、聞き取りが正しければ)。そうして一発ギャグ的にスコーン! と当てるかまし方は楽しいし、ヴェルサーチやフェラガモなど王道メゾンをさらりと纏うゼタ=ジョーンズのファッションもはなやか。見どころいっぱいの楽しい娯楽作であることには間違いない。
『ディボース・ショウ』 2003年アメリカ映画
データ
2004年3月更新

ディボース・ショウ

2004年4月公開
シネスイッチ銀座、関内MGAほか
全国劇場にて順次ロードショー

■2003年 アメリカ映画
■上映時間1:42
■ギャガ・ヒューマックス共同配給
■監督・脚本/ジョエル・コーエン
■脚本・製作/イーサン・コーエン
■出演/ジョージ・クルーニー
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ 
ジェフリー・ラッシュ
ビリー・ボブ・ソーントン



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。