ベッソンの『TAXi』がハリウッド版に!
コメディアンとラッパーとモデル
新鮮な顔合わせでカーチェイスもさらに痛快
リュック・ベッソンの製作・脚本により1998年にフランスで作られ、その後シリーズ化された『TAXi』第一作目をハリウッドがリメイク。本作でもベッソンがプロデュースと原案を担当し、舞台はNYへ。キャストは今回が映画初主演となる人気コメディアンのジミー・ファロン、ラッパーとして女優として評価の高いクイーン・ラティファ、モデルのジゼル・ブンチェンとゴージャスな面々。グルーヴィなブラックミュージックにのせて派手なカーチェイスで魅せる、ノリ一発の爽快ムービーである。
車とスピードを愛し、カーレーサーを夢見るベルはタクシー・ドライバー。フォードのボディにさまざまな機能を搭載した“007”ばりの改造タクシーで、NYの街を疾走している。ある日、彼女の車に乗り込んできたドジで運転の下手な刑事ウォッシュバーンに請われて、4人組の強盗を追走。カーチェイスの末に逃げられるが、好奇心が強く面倒見のいいベルは、ウォッシュバーンの捜査に協力することになる。
フランス版と大きく違う点は、タクシー・ドライバーも強盗も女性、というところ。頼りなげなマザコン刑事のウォッシュバーンは、姉御肌のベルにお尻をたたかれ励まされ、褐色の肌がセクシーなブラジル美人の強盗団に翻弄される。女性たちがストレートにタフでカッコいいのが痛快だ。本作で映画初出演となるモデルのジゼルは、セクシー&ビッチな強盗役を熱演。長い手足が美しいしなやかな肢体には、同性ながら思わず見とれた。そういえば、彼女とレオナルド・ディカプリオの交際はどうなっているのだろう。
人気コメディアンのファロンは、ハリウッドの熱いラブコールから選びに選び、オファー59作目の本作にようやく主演を決めたとのこと。だがタフな女たちの魅力が映える本作では、ファロンは彼女たちを引き立てる狂言回しとなっていて、存在感は今ひとつ。彼がホストを務めていたTV番組『サタデー・ナイト・ライブ』でファロンはアダム・サンドラーの物真似をしていたようだが、第二のサンドラーでも目指しているのだろうか。次回作に期待したい。
グッとくるのは、BGMの気持ちよさ! オープニングはビヨンセ「クレイジー・イン・ラヴ」でヒップに始まり、劇中ではアベレージ・ホワイト・バンドやバスタ・ライムズ、果てはナタリー・コールまで、新旧の良質なブラック系サウンドがシーンを盛り上げる。最後のオチとして往年の名歌手バリー・ホワイトの名があがるところも、音楽好きにはクスッと笑えるネタだ。ずいぶんとセンスのいい……、と思い資料を見ると、監督はアイス・キューブ主演の映画『バーバーショップ』(日本未公開)がアメリカでヒットし、本作が2作目となる新鋭ティム・ストーリー。アフリカ系アメリカ人スターが多数出演した『バーバー〜』でも、ヒップホップ系アーティストによる充実のサントラが話題になっていたことを思い出した。ストーリー監督は、ブラックミュージックの世界と深いつながりがあるのかもしれない。
そうそう。フランス版のプジョーV.S.メルセデスベンツの戦いは、ハリウッド版ではフォードV.S. BMWに。車好きには、こちらの改造ぶりや走りっぷりが、何よりもたまらないところだろう。NYの渋滞をすり抜けて、ありえない場所を疾走しまくる、冴えてる女たちのカーチェイス。スカッとしたいときにおすすめだ。
公開 | 2005年1月8日公開 ニュー東宝シネマほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2004年 アメリカ |
上映時間 | 1:37 |
配給 | 20世紀フォックス映画 |
監督 | ティム・ストーリー |
製作・オリジナル脚本 | リュック・ベッソン |
出演 | クイーン・ラティファ ジミー・ファロン ジゼル・ブンチェン アン・マーガレット |
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