ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ウォーク・ザ・ライン/君につづく道

© 2005 TWENTIETH CENTURY FOX
トラウマや中毒症状を超えて本物の愛を手に入れた
伝説的ミュージシャン ジョニー・キャッシュと
彼を支えたジューンとの強い絆を描いた感動作



 エルヴィス・プレスリーらとともにロカビリーの黄金時代を創成し、カントリー音楽殿堂、ロックン・ロール殿堂、作詞作曲家殿堂とすべての殿堂入りを果たした伝説的アーティスト、ジョニー・キャッシュ。彼と2番目の妻である最愛の女性ジューン・カーターとの強い結びつきを描いた事実に基づくドラマである。主演は個性派のホアキン・フェニックスとロマコメの女王リーズ・ウィザースプーン。男と女という以上に、人間同士の信頼や愛を築き上げていく2人の姿がとても感動的な作品である。


 1950年代のアメリカ。妻ヴィヴィアンと暮らすため、向いていない訪問セールスをするジョニーは、幼い頃から好きだった音楽の道へ進むことを決意。スタジオのオーディションに合格し、シンガーソングライターとして実力や人気を着実にあげていく。ある日、幼い頃から憧れていたカントリー音楽の一家カーター・ファミリーの次女ジューンと同じ舞台に立ったことをきっかけに、ジョニーはジューンに惹きつけられていく。
ウォーク・ザ・ライン/君につづく道

 どうしようもなく惹かれ合いながらも、さまざまな状況やタイミングによって結ばれるまでに長い道のりをたどる2人。離婚が罪悪と攻め立てられる時代に2度の離婚歴をもつシングルマザーのジューン、妻子がありながらジューンに恋をし、受け入れてもらえないつらさや幼少期に刻まれたトラウマに耐えきれず、ドラッグやアルコールに溺れていくジョニー。強いモラルと信念にもとづくジューンの凛とした姿勢にも、才能ともろさ、敬虔さと不敵さが同居するジョニーの混沌とした内面にも共感できるのは、人間の強さも弱さもごまかすことなく描かれているためだろう。少年時代からジョニーを敬愛し、生前のジューン&ジョニー夫妻と親交を深めつつ本作を作り上げた監督ジェームズ・マンゴールドの真摯な思いが伝わってくる仕上がりだ。
 アカデミー主演男優賞、主演女優賞にノミネートされているフェニックスとウィザースプーンは、役柄と共通する点がいくつかある。フェニックスはスター俳優だった愛する兄リバーを亡くし、自らが俳優として知られるようになると繊細な心ゆえアル中となって入院を経験。キュートなコメディエンヌを演じることの多いウィザースプーンは、プライベートでは家庭を大切にする二児のよき母である。こうした彼らの背景は、スクリーンのジューン&ジョニーの姿に大きな説得力を与えているに違いない。


 注目は吹き替えナシの2人の歌声。音楽担当のT・ボーン・バーネットが合宿で磨き上げたという歌と楽器演奏は聴きごたえ充分。特に刑務所のコンサートシーンでは、本物のライヴ演奏ばりの爆発的なエネルギーが芯にガツンと響いてくる。  艱難辛苦を経て、運命の相手との幸福を手に入れた2人のノンフィクションの軌跡。愛や人、運命をもう一度信じたくなる感動作である。
『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』 2005年アメリカ映画
データ
2006年2月更新

ウォーク・ザ・ライン/君につづく道

2006年2月18日公開
テアトルタイムズスクエアほかにて
全国ロードショー

■2005年 アメリカ映画
■上映時間2:16
■20世紀フォックス映画配給
■監督/ジェームズ・マンゴールド
■脚本/ギル・デニス
ジェームズ・マンゴールド
■製作総指揮/ジョン・カーター・キャッシュ
アラン・C・ブロムクウィスト
■音楽/T・ボーン・バーネット
■出演/ホアキン・フェニックス
リーズ・ウィザースプーン
ジニファー・グッドウィン
ロバート・パトリック
シェルビー・リン
ダラス・ロバーツ



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。