戦場のアリア 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
戦場のアリア

第一次世界大戦下、1914年のクリスマス
最前線で敵対する兵士たちが結んだひとときの友好
知られざる史実を映画化したヒューマン・ドラマ



 1914〜1918年の4年に及ぶ第一次世界大戦下。最前線ノーマンズ・ランド(敵対する両軍の中間にある無人地帯)でにらみ合うフランスとスコットランド、ドイツの兵士たちの間に起こった、あるクリスマスの出来事。公式記録には残されていない事実に基づくヒューマン・ドラマである。監督・脚本はドイツ占領下だったフランス北部出身、本作が長篇2作目となるクリスチャン・カリオン。カンヌ映画祭で高い評価を受け、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた感動作である。


 1914年12月、熾烈を極めるフランス北部の最前線。フランス軍がスコットランド軍の援護を受けて、強力なドイツ軍と戦っている。仏軍では妊娠中の妻に思いをはせるオードベール中尉、スコットランド軍では兵士たちのために祈りを捧げる神父、独軍では軍人然としたホルストマイヤー中尉、軍に招集されて兵士となったテノール歌手ニコラウスらが日々の戦いを切り抜けていた。そしてクリスマス、ドイツ軍の陣営に10万本のツリーが飾られ、ニコラウスが聖歌を歌い上げたとき、その出来事は起こった――。
戦場のアリア

 敵対しているのは悪魔ではなく、音楽を愛し、クリスマスを祝い、家族や愛する人を恋しく思う血の通った同じ人間である、という事実。1914年のクリスマス、ドイツ兵の美しいアリアに導かれ、現場の中尉たちの判断によって聖夜に一時休戦を約束。彼らは敵味方なく神父のミサを受け、酒や食料を分かち合い、サッカーをし、家族の写真を見せ合って友好を深めたのである。
戦場のアリア
 出演は、戦争に疑問と恐怖を抱きながら指揮をとる仏軍中尉にギヨーム・カネ、厳格な独軍中尉にダニエル・ブリュール、テノール歌手ニコラウスにベンノ・フユルマン、夫に一目会いたいがために最前線を慰問するソプラノ歌手アナ役にダイアン・クルーガー、神父役にゲイリー・ルイス。フランス、ドイツ、イギリスから俳優たちが集結。また、アリアのパートはプロのオペラ歌手が担当。アナの透き通るような美しい歌声にフランス人ソプラノのナタリー・デッセー、包容力と深みのあるニコラウスのあたたかい歌声に旬のスター・テノール、メキシコ出身のロランド・ヴィラゾン。それぞれが心に染み入る美声を披露している。


 ひどい戦時下で確かに在ったひとときの友好。カリオン監督がイブ・ビュフトー著『フランドル地方とアルトアの戦い1914-1918年』の一章“1914年の驚くべきクリスマス”に夢中になり、映画化を熱望。苦しい資金繰りやノーマンズ・ランドの再現を軍から反対されるなどの困難を乗り越え、完成させたという本作。とにかく伝えたかった、という真摯な思いが伝わってくる佳作である。
『戦場のアリア』 2005年 フランス・ドイツ・イギリス合作映画
データ
2006年4月更新

戦場のアリア

2006年4月29日公開
シネスイッチ銀座、恵比寿ガーデンシネマほか全国ロードショー

■2005年 フランス・ドイツ・イギリス合作映画
■上映時間1:57
■角川ヘラルド・ピクチャーズ配給
■監督・脚本/クリスチャン・カリオン
■声の出演/ナタリー・デッセー
ロランド・ヴィラゾン
■出演/ギヨーム・カネ
ダニエル・ブリュール
ゲイリー・ルイス
ベンノ・フユルマン
ダイアン・クルーガー



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。