郊外の湖岸の家、シカゴの新旧の建造物……
ノスタルジックな美しい景色が物語へと誘う
ハートフルな王道ラブ・ストーリー
『スピード』以来12年ぶり、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックがまったく違うタイプのドラマで再び共演。本作はファンタジーの手法を巧く取り入れた、ロマンティックでハートフルなラブ・ストーリー。チョン・ジヒョン(『猟奇的な彼女』)主演による2000年の韓国映画『イルマーレ』のハリウッド・リメイク版である。
イリノイ州郊外にある湖岸の美しい家で暮らす医師のケイトは、勤務先のシカゴへ引っ越すことに。郵便受けに「私宛ての郵便物が紛れたら転送してください」というメモを次の住人宛てに残し、彼女はシカゴへ。湖岸の家に引っ越してきた建築家のアレックスはメモを受け取り、メッセージの中に不可思議な内容があることに気づく。
湖岸の家の郵便受けを通じてつながったのは、2004年を生きるアレックスと2006年に在るケイト。最初は互いに疑っていたが徐々に打ち解け、文通を重ねるうちにゆっくりと恋に落ちていく。多少の仕掛けはあれど、ほぼ予想通りにコトが運ばれていく予定調和の心地よさ。エンディング曲であるポール・マッカートニーの「ディス・ネヴァー・ハプンド・ビフォア」も物語のイメージにぴったりで、観終わった後にやさしい余韻を残す。
飛行機に携帯電話に電子メール、会うにも連絡をとるにもしようと思えばいつでもできる現代。だが2年という時を隔て、湖岸の家の郵便受けだけでつながっている2人の唯一の交流は、手紙のやりとりだけ。都市に暮らす今の私たちに、ありったけの思いを込めて手紙をしたためることがあるだろうか? 古典的なすれ違いや祈るような気持ちで思いを綴るシーンなど、現代にはあまりない純粋なもどかしさが胸を打つ。アレックスと父との親子の葛藤と絆、ケイトの過去に起こった出来事の意味など少しずつ事実が明かされていく中、“人は運命を変えることができるのか?”というクライマックスを迎える。
リーブスは素朴な青年アレックスをほんの少しあご肉のついたゆるい風貌で好演。タフなイメージの強いブロックも、物語にハマってなかなかかわいらしい。「励みになる最高の話し相手(リーブス)」「言葉にならない信頼と友情がある(ブロック)」と互いに語り、常に連絡を取り合っているという友人同士の2人。2人が来日する9月2日はリーブスの42歳のバースデイとのこと。大騒ぎになりそうだ。
韓国ではオリジナル版に、“この映画を一緒に観にいった2人は必ず結ばれる”というジンクスがあるというほどスウィートな本作。1時間38分、その世界に浸ってしまえばそれでよし。秋風が吹き始める9月、ピュアなラブ・ストーリーで胸をホカッと温めてみてはいかがだろう。
公開 | 2006年9月23日公開予定 丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー |
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制作年/制作国 | 2006年 アメリカ |
上映時間 | 1:39 |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
監督 | アレハンドロ・アグレスティ |
脚本 | デイビッド・オーバーン |
出演 | キアヌ・リーブス サンドラ・ブロック ディラン・ウォルシュ クリストファー・プラマー |
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