ボーン・アルティメイタム 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ボーン・アルティメイタム

ボーンが記憶を取り戻し、陰謀の全容が明らかに!?
組織との激しい攻防の果てに自分を見つけるドラマティックな
スパイシリーズの完結編。



 自分はなぜ超人的な暗殺者となったのか、組織から追われる理由、CIAによる極秘計画の全容とは。記憶を失くしたジェイソン・ボーンの自分探しの旅が遂に完結。出演は2007年7月にハリウッドのウォーク・オブ・フェイム(名声の歩道)に名前が刻まれたマット・デイモン、若手女優ジュリア・スタイルズ、知的なジョアン・アレン、ベテランのデヴィッド・ストラザーン、監督は前作『ボーン・スプレマシー』を手がけたポール・グリーングラス。迫力みなぎる斬新なアクションとシリアスな人間ドラマで惹きつける、スパイ・アクションシリーズの完結編である。


 自分がCIAの極秘計画“トレッドストーン”によって洗脳された暗殺者だったと知ったボーン。その過去を捨てて穏やかに暮らそうとした矢先、組織から送り込まれた暗殺者に襲われて恋人を亡くしたボーンは、組織との全面対決を決意。自らの記憶を取り戻し、極秘計画の全貌を暴くべく、行動を開始。自分とCIAに関わる記事を追う記者から、“ブラックブライアー”という新たな極秘計画が動き出したことを知る。
ボーン・アルティメイタム
 モスクワ、ロンドン、パリ、マドリッド、タンジール、そしてニューヨーク。組織から追われ、情報を追い、ボーンが辿るその足跡は現地で撮影したとのこと。本作でも、実際に旅をしているかのような感覚が楽しめる。今回の見どころのひとつは、モロッコのタンジールでのアクションシーン。ひしめき合う住宅の屋根から屋根へボーンが飛び移り、アパートの窓に直接飛び込むシーンでは、カメラもデイモンの後ろからジャンプして撮影。臨場感ある映像がスリルをより際立たせている。劇中ではゲリラ的に撮影されたシーンも多く、デイモンは「インディ系出身の監督ならでは。現地の方々が思わず振り返ったり、驚いたりしている反応は本物です」と笑顔でコメント。グリーングラス監督は、「このシリーズはスパイ映画というジャンルの基準を塗りかえ、スパイをより人間臭く、リアルに描けたと思う。ボーンのアクションをリングサイドで見ているような、映画の中にいるような感覚になれるはずだ」と語っている。


 「シリーズの中で一番大変でしたが、シリーズ最高の作品になった」と自負するデイモンは、今回も無口に闘う男を熱演。微かな表情や動きでボーンの複雑な心理を繊細に表現し、激しいアクションを体現。タフでハイレベルな暗殺者との殴り合い、執拗に追われてクラッシュするカーチェイス(セブンス・アベニューを全面封鎖して撮影)は、ファンの期待にしっかりと応える仕上がりだ。
ボーン・アルティメイタム
 ボーンの過去とは? 極秘計画の全容と黒幕とは? それが明かされるラストは意外とサラッと。そこに行き着くまでの経緯こそが面白い。アレンが演じるCIAの女性局長パメラの筋の通し方、ボーンが敵対する相手にかけるねぎらいや問いかけがとても好い。アクション作品でありながら、人としての情の部分も置き去りにしない。ボーンシリーズがこれで終わってしまうのは惜しい気もするが、シリーズ3作品をすべてハズレなしできっちり完結させ、有終の美を飾ったことに拍手。これからは代表的なスパイ映画のひとつとして、さまざまに語られていくに違いない 。
『ボーン・アルティメイタム』 2007年 アメリカ映画
データ
2007年11月更新

ボーン・アルティメイタム
2007年11月10日公開
日劇1ほかにて
全国ロードショー

■2007年 アメリカ映画
■上映時間 1:55
■東宝東和配給
■監督/ポール・グリーングラス
■脚本/トニー・ギルロイ
スコット・バーンズ
ジョージ・ノルフィ
■原作/ロバート・ラドラム
■出演/マット・デイモン
ジュリア・スタイルズ
ジョアン・アレン
デヴィッド・ストラザーン
スコット・グレン
アルバート・フィニー



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。