幸せになるための27のドレス

“万年花嫁付添い人”もいつかきっと幸せに?
不器用な女性が幸せを掴むために必要なこととは。
ハーレクイン・ロマンス的、王道ラブ・ストーリー

  • 2008/05/30
  • イベント
  • シネマ
幸せになるための27のドレス©2008 TWENTIETH CENTURY FOX AND SPYGLASS ENTERTAINMENT FUNDING, LLC.

脚本は『プラダを着た悪魔』のアライン・ブロッシュ・マッケンナ、主演にABCの人気TVドラマ『グレイズ・アナトミー』でブレイクしたキャサリン・ハイグル。仕事では秘書、プライベートでは花嫁付添い人。常に人を補佐する立場にいながら、いつかヒロインになることを夢見る不器用な女性ジェーンの恋の行方を描く。アメリカの新進女性監督アン・フレッチャーによる、わかりやすくてシンプルな王道ラブ・ストーリーである。

ジェームズ・マーズデン

マンハッタンのアウトドア・ブランドの社長秘書ジェーンは、花嫁付添い人として今日も忙しい。上司のジョージに片思いをしながら恋人もなく、公私とも人のために奔走する日々。ある日、ジェーンは友達の結婚パーティで結婚を皮肉にとらえているケビンと知り合い、彼から熱心な誘いを受けるように。新聞記者であるケビンは、“万年花嫁付添い人”であるジェーンに興味をもち、記事を書こうと目論んでいた。

一代で地位を築いた爽やかな社長に憧れ、片思いの大好きな彼を美人で身勝手な妹にあっさりと奪われ、結婚に懐疑的なケビンと対立しながらも互いの意見を受け入れ合い、紆余曲折を経て生真面目な女性が自分の殻を破ってガッチリと幸せを掴むまで。現代のハーレクイン・ロマンスの要素をふんだんに盛り込んだシンプルな仕上がりだ。花嫁付添い人をした記念にジェーンがクローゼットにしまいこんだ27着ものビミョーなデザインのドレスなど、衣裳は映画『キル・ビル』を手がけたキャサリン・マリー・トーマスが担当。ジェーンが27着のドレスを次々と着てポーズをとるシーンはちょっとイタくて、個人的に観ていてむなしい気分にもなったが、いわゆる見どころのひとつなのだろう。

キャサリン・ハイグル、ジェームズ・マーズデン

ジェーンを演じたハイグルはTVでの活躍が認められ、'07年のエミー賞で助演女優賞を受賞。雑誌では「マキシム」の“2007年のホットな100人”で14位、「エンターテインメント・ウィークリー」の“2007年のトップ・スター25人”に選ばれるなどいま注目の女優のひとり。本作でも親しみやすい個性を生かし、恋に不器用なキャリアウーマンのジェーン役を好演している。また彼女は実生活では'07年12月にミュージシャンのジョシュ・ケリーと結婚。婚約期間に撮影された本作で、その充実ぶりがストレートに感じられる。独自の視点からジェーンにズバッと意見をぶつけていく記者のケビンを演じたのは、『X-メン』のサイクロップス役でメジャーになったジェームズ・マーズデン。また憧れの上司ジョージ役は監督や脚本家としても活躍しているエドワード・バーンズが、わがままな妹テスはモデル出身のマリン・アッカーマンが演じ、混線していく恋愛模様をコミカルに表現している。

キャサリン・ハイグル

メレンゲの甘い焼き菓子のようにあっという間にふわっと溶けて何も残らない、後味の軽やかな本作。ジェーンの仕事ぶりや姉妹の愛憎にはさら~っとうわべをなでるくらいで、人間関係の背景や心理描写に物足りなさも感じるが、本作はそれが求められる作品ではないのだろう。脳への負荷は一切ナシ、世の女性が女子力を強化するためのイメージトレーニング用の映画。ハーレクイン・ロマンス的、大多数のワーキング・ウーマンたちの恋愛アンケートに答えるかのような、わかりやすいラブ・ストーリーである。

作品データ

幸せになるための27のドレス
公開 2008年5月31日公開
日比谷みゆき座ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2008年 アメリカ
上映時間 1:50
配給 20世紀フォックス映画
監督 アン・フレッチャー
脚本 アライン・ブロッシュ・マッケンナ
出演 キャサリン・ハイグル
ジェームズ・マーズデン
エドワード・バーンズ
マリン・アッカーマン
ジュディ・グリア
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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