あの日の指輪を待つきみへ

あの日に結んだすべての約束は果たされる。
アイルランドからアメリカへ50年を経て
還った指輪をめぐる、奥深いラブストーリー

  • 2008/07/11
  • イベント
  • シネマ
あの日の指輪を待つきみへ©Scion Films Premier (Third) Limited Partnership/UK Film
Council/Closing The Ring Limited/CTR Canada Limited

すべての約束、秘められた想い、それぞれの信念、つながっていく心。アメリカとアイルランドの2大陸に渡って描かれる感動作。出演は大御所のオスカー女優シャーリー・マクレーン、アメリカとカナダの演劇殿堂入りを果たしているベテランのクリストファー・プラマー、アメリカの人気TVシリーズ『The OC』でブレイクした若手女優ミーシャ・バートン。監督は’82年の『ガンジー』でアカデミー賞を受賞、英国王室より一代貴族の爵位を授けられたイギリス映画界の重鎮リチャード・アッテンボロー。50年という時を経て、固く閉ざされた想いが解き放たれて新たな絆が結ばれる、奥深いラブストーリーである。

’91年のアメリカ。長年連れ添った夫チャックの葬儀ミサでありながら、エセルは教会に入とうともしない。亡き父への悲しみや愛情を感じさせないエセルに一人娘のマリーが苛立ちをぶつけると、エセルは「私の人生は21歳で終わったのよ。今さら何を嘆くの?」と冷たく言い放つ。マリーは両親の親友ジャックに母エセルの過去を問いただすが、彼は何も語ろうとしない。そんな折、見ず知らずのアイルランドの青年ジミーからエセルの元へ「ベルファストの丘で、あなたの名前が刻まれた金の指輪を見つけた」という連絡が入る。

シャーリー・マクレーン

’41年にアイルランドで起きた米軍爆撃機の墜落現場の残骸を50年間ひたすら発掘し続ける偏屈者のクィンラン、好奇心旺盛で呑気な青年ジミー、派手で口うるさいジミーの祖母エレノア。ラストに向かってさまざまなエピソードが次々とつながり、まるでひとつの大きな輪のように結ばれる展開がとても鮮やか。ミステリーであり人間ドラマであり、ラブストーリーでもある層の厚さに惹きつけられる。クライマックスで深い感動へと一気に誘(いざな)う、力強い作品だ。

マクレーンは秘めた想いを抱えるエセルを繊細に表現。気難しく扱いにくい老婦人から、過去を受け入れて本来の生き生きとした姿を取り戻していくエセルを魅力的に演じている。プラマーはエセルを長く見守ってきたジャックを、バートンは若かりし頃のエセルを好演。またクィンランを演じたピート・ポスルスウェイトや、エレノア役のブレンダ・フリッカーなど脇にも演技派が顔を揃えている。

ミーシャ・バートン

イギリスの経済紙『エコノミスト』の2005年の調査にて、最も住みやすい国に選出されたというアイルランド。数年前まではイギリスによる北東部の統治に対し、全島の独立を掲げて対立するカトリック系の武装集団IRA(Irish Republic Armyアイルランド共和国軍)による激しいテロ活動が続いていた。本作の舞台のひとつである1991年のアイルランドでは、その背景もストーリーに関わっている。もともと“墜落死したアメリカ軍の航空兵の結婚指輪が、アイルランドのベルファストの丘で見つかった”という事実を基に作られたこの物語。アイルランドのシーンのほとんどは実際にベルファストで撮影され、海に臨む緑の丘の素晴らしい眺望は、ドラマティックな物語をより鮮明に引き立てている。

シャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマー

’04年のスマトラ島沖地震で娘と孫娘を亡くしたアッテンボロー監督。「この映画の主人公と同様に愛する人を失う辛さを経験しました」と語り、本作について「愛について、忠誠について、そして友情について語り、それらが現代社会においていかに大切なものであるかを示しています」とコメントしている。変わらない想い、新たに育まれていく絆。愛も憎しみも若さもエゴもすべてが昇華されていく、感動のラブストーリーである。

作品データ

あの日の指輪を待つきみへ
公開 2008年7月19日公開
テアトルタイムズスクエアほかにて全国順次ロードショー
制作年/制作国 2007年 イギリス・カナダ・アメリカ
上映時間 1:58
配給 松竹
監督 リチャード・アッテンボロー
脚本 ピーター・ウッドワード
出演 シャーリー・マクレーン
クリストファー・プラマー
ミーシャ・バートン
スティーヴン・アメル
ネーヴ・キャンベル
ピート・ポスルスウェイト
ブレンダ・フリッカー
グレゴリー・スミス
デヴィッド・アルペイ
マーティン・マッキャン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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