ハンコック

ハリウッドの新ヒーローは迷惑千万 !?
ウィル・スミス×シャーリーズ・セロン
はなやかな共演によるアクション大作の実力は?

  • 2008/08/29
  • イベント
  • シネマ
ハンコック

主演作でヒットをマークし続けているウィル・スミスと、オスカー女優シャーリーズ・セロン共演によるヒーローアクション大作。監督は俳優や脚本家としても活躍するピーター・バーグ、プロデューサーに脚本家としてオスカー受賞経験のあるアキヴァ・ゴールズマン、監督としても信頼されているマイケル・マン、そしてウィル・スミス自身も製作に参加。アメコミ原作じゃない “ハリウッド独自の型破りなヒーローを”というコンセプトで作られた本作。果たしてその内容は?

ロサンゼルスで事件や事故が起きると、スーパーヒーローがやってくる。その名はジョン・ハンコック。ロケットのように猛スピードで空を飛び、銃の弾丸を跳ね返し、怪力で犯罪者たちをなぎ倒す。が、常にバーボン片手に泥酔していて酒臭く、空を飛べばビルを損壊、事件の解決はひどく乱雑。公共施設や関係者にかえって被害が及び、事件や事故を解決してもメディアや人々からはいつも非難の的に。世間に背を向けてやり過ごしていたハンコックはある日、人のいいPRマンのレイを救済。レイはハンコックに、正義のヒーローとして尊重されるための教えを説き、ある計画を提案する。

ウィル・スミス

ウィル曰く、「サマームービーらしいパワフルなアクションと、秋に公開されるようなキャラクターを掘り下げたドラマ。その2つを合体させたもの」という本作。コンセプトそのものは興味深いが、どうも中途半端でどっちつかずの印象が否めない。充実のキャストと確かな実力を誇るスタッフという、より見応えのある作品になるはずのメンバーゆえに、期待しすぎていたのかもしれない。とはいえ興行収入の数字がとれる作品であることは間違いない。ウィルは独特の作りこんだしかめっ面でハンコックを熱演。観客を物語に引き込む彼ならではのチャーミングな魅力をあえておさえていることが、観る側に物足りなさを感じさせるひとつの原因か。レイ役は安定した演技で知られるジェイソン・ベイトマン、レイの妻メアリーに持ち前の演技力に加えてアクションもイケるセロン、夫婦の息子役を人気子役のジェイ・ヘッド。役柄によくハマるキャスティングで、それぞれが上手く演じている。

ウィル・スミス

バーグ監督の意向から、撮影はロケが中心に。劇中にはフリーウェイやサン・ペドロのパシフィック・ハーバー鉄道など、さまざまな名所が登場する。なかでもハリウッドの有名な大通り、ハリウッド・ブールバードを1週間封鎖して撮影したことは異例の計らいとのこと。ロサンゼルスの街やその周辺のさまざまな風景を映し出す映像にも注目したい。

ウィル・スミス

地上30mの高さから落下するなどウィルの体当たりのスタントをはじめ、ハリウッドらしい大掛かりなアクションあり、細部まで手をかけた特殊効果あり、夏休み向けの大作である本作。ウィルやセロンはヒューマンもので高く評価されていながら芸術性や物語性にこだわりすぎず、こうして娯楽作品にも出演。その度量の大きさは彼らが愛される所以のひとつだろう。ウィルの次回作は、『幸せのちから』のスタッフと再度タッグを組む『Seven Pounds』とのこと。こちらはアカデミー賞を視野に入れた、感動のヒューマンものの予感。大いに期待できそうだ。シリアスからコメディまで、今後もさまざまなタイプの作品に出演するだろうウィル・スミス。これからもいろいろな表情を見せ続けてくれることを、いち観客として楽しみにしている。

作品データ

ハンコック
公開 2008年8月30日公開
丸の内ピカデリー1ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2008年 アメリカ
上映時間 1:32
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督 ピーター・バーグ
製作 マイケル・マン
アキヴァ・ゴールズマン
ウィル・スミス
ジェームズ・ラシター
脚本 ヴィンセント・ノー
ヴィンス・ギリガン
出演 ウィル・スミス
シャーリーズ・セロン
ジェイソン・ベイトマン
ジェイ・ヘッド
エディ・マーサン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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