ディファイアンス 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ディファイアンス

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ナチスから人々を救ったユダヤ人兄弟の実話とは?
悲惨な史実を生き抜いた人々の葛藤や絆
人間の生命力と底力を今に伝える人間ドラマ



  第二次世界大戦下、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害から人々を救出し、1200人を率いた3兄弟の知られざる実話を映画化。出演は6代目007のダニエル・クレイグ、すっかり成長して若手俳優となった『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベル、舞台俳優としても活躍するリーヴ・シュレイバー、監督・脚本・製作は『ラスト・サムライ』のエドワード・ズウィック。逃亡、戦い、共同体の存続。人間らしく生きるため、ドイツ軍壊滅まで3年間続けた抵抗(ディファイアンス)活動、兄弟や人々の葛藤や絆を伝えるヒューマンドラマである。


 1941年。ナチス・ドイツは各地に進軍し、東ヨーロッパのベラルーシ共和国でもナチス親衛隊と地元警察による残虐なユダヤ人狩りが始まる。両親を殺害されたユダヤ人のトゥヴィア、ズシュ、アザエルのビエルスキ3兄弟は幼い頃から親しんできたリピクザンスカの森に逃げ込と、追手から森へと逃れたユダヤ人たちがどんどん合流。食べ物も武器も具体的なプランもないまま人数が増えていく状況に兄弟たちは困惑するが、トゥヴィアは皆で助け合って生き延びることを決意。数十人の共同体となった頃、足手まといだとイラつくズシュと折り合いながら、皆で家を建てて暮らし始める。彼らは民衆による非正規軍としてビエルスキ・パルチザンと名乗り、武装してドイツ軍に抵抗してゆく。
ダニエル・クレイグ
 ドイツ軍と戦い、ソ連赤軍と提携し、生き延びてゆくまで。彼らはドイツ軍との戦いを主目的とせず、ユダヤ人の命を救うことを第一義に活動したことから、数あるパルチザン(民衆の非正規軍)のなかで最も有名だったとのこと。とはいえ3兄弟は聖人君子というわけではなく、トゥヴィアも最初は復讐心に支配されて両親を殺した警官を襲い、ズシュは農民を襲って食べ物を奪い、末弟のアザエルはトゥヴィアの指導力を疑ったことも。ズウィック監督は彼らが犯した罪や暴力、厳しい環境よる切迫した不毛な状況をも隠さずに描き、人々の意識が次第に高まり、兄弟たちもリーダーとして成長していく姿を描いている。


 戦争史上最も成功したユダヤ人抵抗運動の指揮者といわれ、人々を救い導いた人物でありながら、オスカー・シンドラーや杉原千畝 らと比べて無名のビエルスキ兄弟。本人たちが多くを語らないまま年月は流れ、トゥヴィアが’87年に他界した直後から、この功績を伝えていこうという動きが始まったとのこと。そして’93年、コネチカット大学の社会学の専門家ネハマ・テク博士が兄弟とともに戦った人々へのインタビューをまとめた著書『ディファイアンス ヒトラーと戦った三兄弟』を発表。アメリカで話題となり、映画化が実現したのだそう。
ダニエル・クレイグ、アレクサ・ダヴァロス
 クレイグはトゥヴィアの苦悩と献身をしっかりと表現。彼本来のストイックな資質が役柄によくハマっている。シュレイバーは兄と対立しながらも現実主義者として頼もしいズシュをシビアに表現。ベルは頼りなげな少年から徐々に男らしい青年へと成長していくアザエルを好演。アザエルが惹かれる愛らしい少女ハイア役には、’10年にティム・バートン監督作『不思議の国のアリス』で主役を務めるミア・ワシコウスカが出演している。


 劇中にはロマンスもあり、「戦時下であっても愛を求める心は決して消えない」と語るズウィック監督。森に潜伏し続けたビエルスキ・パルチザンは最終的に約1200人となり、病院や学校などもある立派な共同体となっていたとのこと。ホロコーストという悲惨な出来事に直面しながら、ドイツ軍の襲撃も極寒の冬も力を合わせて乗り越えた人々がいた、という力強い事実を伝える本作。人間の生命力と底力で最後まで観る側を引きつける、たくましい作品である。
『ディファイアンス』 2008年 アメリカ映画
データ
2009年2月更新

ダニエル・クレイグ、ジェイミー・ベル、ミア・ワシコウスカ
2009年2月14日公開
TOHOシネマズ シャンテほかにて
全国ロードショー



■2008年 アメリカ映画
■上映時間2:16
■東宝東和配給
■監督・脚本・製作/エドワード・ズウィック
■共同脚本/クレイトン・フローマン
■原作/ナハマ・テカ
■出演/ダニエル・クレイグ
リーヴ・シュレイバー
ジェイミー・ベル
アレクサ・ダヴァロス
アラン・コーデュナー
ミア・ワシコウスカ



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。