江口洋介×大沢たかお×紀里谷和明監督
オリエンタルな映像美と迫力の視覚効果
豪華キャストによるアクション大作
『CASSHERN』から5年、紀里谷和明監督の新作が完成。安土桃山時代に実在した伝説的な盗賊、石川五右衛門の逸話をベースにオリジナルの時代感で描く活劇。出演は江口洋介、大沢たかお、広末涼子、ゴリ(ガレッジセール)、要潤、中村橋之助、奥田瑛二、平幹二朗。五右衛門が盗み出した小箱によってある謀略が明らかに……。オリエンタルで豪華な衣裳と美術、細部まで作りこまれたCG、迫力のVFX。最新技術を駆使した映像で惹きつけるアクション映画である。
1582年、明智光秀によって織田信長が暗殺され、信長の家臣・豊臣秀吉が光秀を討伐。豊臣政権の樹立によって天下統一が成され戦乱は一時収まったものの、貧富の格差が開き、庶民の多くは貧しいままに。そんななか泥棒の石川五右衛門は金持ちから財宝を盗んでは民衆に分け与え、熱狂的に支持されていた。ある日、何とはなしに南蛮渡来の小箱を盗んだ五右衛門は、石田三成が放った忍者の霧隠才蔵と、徳川家康の手の者である服部半蔵、2人の辣腕から追われる羽目に。その箱には、ある謀略の証拠が隠されていた。
まるで作りこまれたアニメーションの、人物のみ俳優に差し替えたかのような作品。ドラマは軽妙なノリからどんどんヘヴィにシリアスに展開。腕が切り落とされたり戦場で斬り合ったり、闘うシーンがとても血生臭く描写されているのは、人を殺傷することはシュミレーションゲームのような軽いことではなく、実際はこれだけ残虐である、ということを示すためだろうか。それが苦手な人には少し厳しい。五右衛門の釜茹での刑をはじめ、歴史的に知られていることを物語として意外な見せ方をしていたり、架空の人物である霧隠才蔵や架空か実在か不明の猿飛佐助など歴史小説の人気キャラたちをバンバン登場させていたりするところが興味深い。
見どころは衣裳、美術、CG、VFXなどのヴィジュアル全般。衣裳デザインは、マドンナのPVや日本のアーティストの衣裳などを手がけるオーストラリア出身のデザイナー兼スタイリストのヴォーン・アレキサンダーと、『007 ダイ・アナザー・デイ』のイブニングドレスや『オーストラリア』のテイラーなどを手がけたティナ・カリバスが担当。美術監督はベテランの林田裕至が監督と話し合いながら確立し、日本建築の構造ではなく、空間の縦と横の黄金律を尊重している点もユニークだ。時代考証はほぼ度外視し、モダンでオリエンタルな世界観を表現している。撮影はグリーンバック+セットでロケはなく、CGやVFXで作り込んだことについて紀里谷監督は語る。「いつもデジタルの申し子のように言われますが、CGを使わなくていいのなら使いません。作りたいものを決められた予算内で具現化するために、今はまだデジタルが必要である、ただ、それだけです。使えるものは何でも使って、夢を実現させようとしているだけです」
五右衛門役の江口洋介は食事制限をしながらムダのない身体を作り、しなやかな動きを鍛錬したとのこと。霧隠才蔵役の大沢たかおはブルーアイで影のある一流の忍びをクールに演じ、五右衛門との対決シーンでも大いに魅せてくれる。猿飛佐助役のゴリがいい間合いで人情味を、石田三成役の要潤が迷いのない野心を、役人の又八を演じた玉山鉄二が庶民を踏みにじる権勢を表現。「人間五十年〜」の歌と舞いで威光を感じさせる信長に中村橋之助、野望むき出しの秀吉に奥田瑛二という配役は意外とハマっている。男だらけのドラマの中、信長の姪・茶々役の広末涼子が希望の象徴として映えている。服部半蔵に寺島進、千利休に平幹二朗、徳川家康に伊武雅刀と演技派が脇を固める贅沢な顔合わせに注目だ。
セット数100、CGカット数2000、エキストラ1000人。総スタッフ300人が3年がかりで作り上げたアクション大作。「当時の歴史上のオールスターキャストで映画を作りたいという思いが強かった。戦国時代、安土桃山時代は、日本人にとってシェイクスピア劇のようなものです」と語る紀里谷監督。すでに決定している世界配給では、観客が日本の歴史背景や人物を知らないことが大前提の中、どこまで評価されるか。こちらも楽しみである。
公開 | 2009年5月1日公開 丸の内ピカデリーほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2009年 日本 |
上映時間 | 2:08 |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
監督・脚本・編集・プロデューサー・ 原案・撮影監督 |
紀里谷和明 |
脚本 | 瀧田哲郎 |
出演 | 江口洋介 大沢たかお 広末涼子 ゴリ(ガレッジセール) 要潤 玉山鉄二 チェ・ホンマン 中村橋之助 寺島進 平幹二朗 伊武雅刀 奥田瑛二 |
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