ナイト&デイ 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ナイト&デイ

© 2010 TWENTIETH CENTURY FOX
トム・クルーズ×キャメロン・ディアスが再共演
スパイの逃亡劇に巻き込まれた女性の運命は?
ラブコメにしてアクション・エンターテインメント



 トム・クルーズとキャメロン・ディアスが2001年の映画『バニラ・スカイ』以来、9年ぶりに再共演。監督は1999年の映画『17歳のカルテ』、’05年の『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のジェームズ・マンゴールド。 ひとりの平凡な女性がイケメンスパイの逃亡に巻き込まれ……、というロマンティック・コメディにしてアクション・エンターテインメント。シンプルながら二転三転するストーリーに世界をめぐるロケ地、スター俳優の共演をポップコーン片手に気軽に楽しめる、ハリウッドらしい娯楽作品である。


 アメリカ、カンザス州ウィチタ。妹の結婚祝いの用意を終えたジューンがボストンの自宅に帰ろうと飛行機に乗り込むと、妙に乗客が少なく、近くの席には笑顔のさわやかな男性ロイが。世間話をすこし交わした後に化粧室にいったジューンは、ロイのとの出会いに心躍らせながら念入りにメイク直しをして席に戻る。するとロイはさわやかな笑顔のまま、「この飛行機のパイロットは死んだ。僕が殺したんだ」と言った。


 クルーズが辣腕スパイを演じる“ミッション:インポッシブル”シリーズとはうって変わって、コメディ仕立てのスパイ映画。ロイがジューンの敵か味方かあやふやなまま物語が進むため、クルーズ本人のトレードマークである“さわやかな笑顔”がとても胡散臭く見えてくるところが面白い。車に飛び乗る派手なカーアクションといい、スパイである主人公が正義か悪か観客に明かされずに逃亡し続ける展開といい、クルーズが降板してアンジェリーナ・ジョリーが主演となった映画『ソルト』と展開がやや似ている。
キャメロン・ディアス、トム・クルーズ
 ロイ役のクルーズは期待通り、格闘シーンありカースタントありの激しいアクションを披露。なかでもカーアクションではきわどい動きを、サーカスの曲芸師さながらの軽妙なノリでユーモラスに表現。車にしがみついたままジューンと会話するやりとりが可笑しい。ディアスはいつもどおりのコメディエンヌぶりに、“チャーリーズ・エンジェル”シリーズの勇姿を彷彿とさせるアクションも少々。今回のディアスのビキニ姿は女性らしいグラマーな曲線美というより、バストから腹筋あたりが筋肉ムキムキになっているところは男性ファンにはちょっと残念かもしれないが、38歳の今も手を抜かずに鍛錬しているという意味で女性ファンには共感できる部分もありそうだ。また追手のCIAエージェント、フィッツジェラルド役は『17歳の肖像』のピーター・サースガード、CIAの女性長官ジョージ役は『ダウト 〜あるカトリック学校で〜』のヴィオラ・デイヴィス、ロイとつながりのある青年サイモン役は『リトル・ミス・サンシャイン』のポール・ダノが演じ、実力派俳優たちがストーリーを支えている。


 そして後半の見どころは、スペイン市街を追っ手からバイクで逃げるシーン。2人乗りで銃撃戦を繰り広げながら、細い道を走りぬけ路面電車をすり抜け闘牛場に突っ込み、としっかり見せてくれる。またボストン、ニューヨーク、アルプス、オーストリア、スペイン、大西洋のアゾレス諸島まで、くるくると変わる景色も見物。個人的には、スパイもののパターンで“拉致から逃れて転々と逃避行し……”という一連の流れをさくっとショートカットして見せる場面がちょっとツボだったりも。


 実のところ、本国アメリカではあまりヒットしていない本作。アメリカでは興行収入を引き上げるべく公開日を数回変更して今年の6月23日に公開したものの、初日の興行成績は予想より100万ドル以上下回り、初登場でランキング3位、5週目以降は11位以下に。クルーズのアクション作品の中で最低の集客数とも。個人的にはコメディに大層なものを期待していないこともあり、娯楽作品として最低最悪というほどヒドくはないように思えるが、はてさて。
キャメロン・ディアス、トム・クルーズ
 ’08年の映画『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』のカメオ出演では、ハゲ頭にたるんだ体格のパワハラおやじ、映画プロデューサーのレス・グロスマン役を演じて話題となったクルーズ。グロスマンが主役の映画が製作されることになったという情報も。こういう企画は低予算のアイディア勝負こそが面白いので、予算をかけすぎずに個性派でミのつまった作品にしてほしいところだ。ちなみにクルーズはグロスマンのキャラクターで「MTV Video music award 2010」の授賞式に登場し、ジェニファー・ロペスと一緒にダンスパフォーマンスもしたりして。グロスマンの放送禁止用語連発でピー音入りまくりの演説は、MTVの公式HPで視聴可能だ。


 クルーズのアメリカ国内の人気がやや低迷、と言われている今。スター俳優としてのブランド力や、ダイナミックな映像や派手な仕掛けのハリウッド映画を好む海外ファンに向けたアピールをより強化してゆく気配も。そして日本には、本作のプロモーションで9月下旬にクルーズとディアスが来日予定とのこと。もともと日本びいきでファンを大事にするクルーズのファンサービスにも注目だ。まずは“トムから日本のファンへプレゼント”という形で、日本記念日協会に認定された10月6日の“トムの日”に先行上映も決定。日本のファンの反応やいかに。約1ヵ月後の公開が楽しみである。
『ナイト&デイ』
2010年 アメリカ映画
データ
2010年9月更新

トム・クルーズ、キャメロン・ディアス
オフィシャルサイト
『ナイト&デイ』


2010年10月9日公開
TOHOシネマズ 日劇ほか
全国ロードショー

■2010年 アメリカ映画
■上映時間1:49
■20世紀フォックス映画配給 
■監督・脚本/ジェームズ・マンゴールド
■脚本/スコット・フランク
■出演/トム・クルーズ
キャメロン・ディアス
ピーター・サースガード
ヴィオラ・デイヴィス
オリヴィエ・マルティネス
ポール・ダノ



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。