ツーリスト

アンジェリーナ・ジョリー×ジョニー・デップ初共演!
見知らぬ男女の逃亡劇と恋の駆け引きを描く
古きよき銀幕を思わせる、ゴージャスなサスペンス

  • 2011/02/28
  • イベント
  • シネマ
ツーリスト

アンジェリーナ・ジョリー×ジョニー・デップ、ハリウッドの2大スター共演によるゴージャスなサスペンスが日本公開。監督・脚色は2007年に映画『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞した、ドイツ人監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。パリとヴェネチアを舞台に、見知らぬ男女の奇妙でユニークな逃亡劇と、大人の恋の駆け引きを描く。古きよき“銀幕”を思わせる、リッチで痛快なサスペンスである。

フランス、パリ。エレガントなイギリス人女性エリーズは、国際指名手配中の金融犯罪者アレクサンダー・ピアースの恋人であり、彼の逮捕に執念を燃やすスコットランド・ヤードのアチソン警部の依頼により、パリ市警から監視されている。アレクサンダーの失踪から2年、カフェでくつろぐ彼女のもとに手紙が届き、その内容を一読するとすぐに燃やしてエリーズは駅へ。映像を介して一部始終を見ていたロンドンのアチソンは、手紙の燃えがらに化学処理を施させて内容を解読。アレクサンダーからの手紙と確信したアチソンは、上司からの捜査打ち切り通告を無視してエリーズを追う。一方エリーズはアレクサンダーのメッセージに従い、リヨン発ヴェネチア行きの列車に乗り、彼の体格に似ている男を探す。そしてアメリカ人旅行者のフランクに目をつけ、自らの美貌と機知で彼を魅了。エリーズに魅せられたフランクは促されるまま、ヴェネチアの高級ホテルに夫婦としてチェックインする。フランクはその翌日から、逃亡中のアレクサンダーと誤解され、捜査当局とギャングの双方から狙われる羽目になる。

ジョニー・デップ、アンジェリーナ・ジョリー

華麗な雰囲気と小気味よいテンポ。アンジー、ジョニー、ドナースマルク監督は3人とも自身のスタイルや考え方にブレがなく柔軟で、相性が良いことが伝わってくる仕上がりだ。

この豪華な顔合わせが実現したきっかけ、そもそもの本作の始まりは、ジョリーがこの企画に興味をもち、ドナースマルク監督に自ら電話をして、「あなたが監督することを考えてくれるなら出演したいプロジェクトがある」と伝えたことから始まったそう。ジョリーは語る。「『善き人のためのソナタ』を観て以来、彼と仕事をしたいとずっと思っていました。『ツーリスト』の企画を読んで、すごく面白いと思うと同時にヨーロッパ的なセンスがある作品だという印象を強くもちました。そのため、ヨーロッパ的な監督が必要だと思ったんです。現在活躍している監督の中でも最高の監督であるフロリアンが、この題材に関心をもってくれることを願っていました」。そしてオファーを快諾したドナースマルク監督は、ジョリーについて語る。「一ファンとして僕は、彼女がリタ・ヘイワースあるいはグレース・ケリーのような爆発的なパワーを持った稀有な女性だと昔から感じてきました。ただ彼女のフェミニンでエレガントな面を余すところなく見せる役に、まだめぐり合っていないとも感じていた。だから今回は彼女本来の華やかで輝かしい面を見せられるチャンスだと思いました」。そしてアカデミー賞受賞プロデューサーのグレアム・キングが長年来の友人であり、最近もいくつかのプロジェクトでチームを組んだジョニーに本作について説明し、監督と面談。アンジーとジョニーが初の対面を果たして2人の相性が良いことを確認し、出演が決まったという。

エキセントリックな役や、アクションやヒューマンもので知られるアンジーとジョニーは、それぞれがこれまでにない役に挑戦。アンジーはエリーズ役をエレガントで贅沢、おだやかな淑女として優雅に演じている。またジョニーが演じるフランクは、3年前に妻を亡くしてアメリカ郊外に暮らす数学教師で、良識があって無理をしない平々凡々とした人物。ヨーロッパの上流階級の美女に振り回され、オロオロする素朴なアメリカ人フランク=ジョニーというのも、新鮮な印象だ。またエリーズの恋人アレクサンダーを執念深く追跡し続けるロンドン警視庁のアチソン警部役にポール・ベタニー、その上司である主任警部ジョーンズ役にティモシー・ダルトン、アレクサンダーに23 億ドルを盗まれたギャングの親玉レジナルド・ショー役にスティーブン・バーコフと、脇も実力派俳優たちがいい味をだしている。

アンジェリーナ・ジョリー、ジョニー・デップ

舞台はフランスのパリから始まり、北イタリアのヴェネチアへ。エレガントなミステリーの舞台として、美しさと危険さを感じさせるヴェネチアを選んだとのこと。通常ならポイントとなるシーンのみを実際にヴェネチアで撮影し、あとはスタジオセットで、という流れがあるものの、今回はジョニーが『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』の撮影前で時間があまりなかったこともあり、限られた日数の短期集中で全面ヴェネチアのロケを敢行。それが功を奏し、運河にゆらめく陽光や伝統的な建物のあるロマンティックな街並が、ロマンスとサスペンスという本作の2大要素を効果的に演出している。また「これだからアメリカ人は!」という端役のセリフが数回あり、ハリウッド大作でありながらヨーロッパの目線でツッコミを入れているところも面白い。またアクションシーンも見どころのひとつ。屋根の上をパジャマ姿のフランクが逃げまどうユーモラスな逃走劇に、夜の運河を疾走するボートのチェイスも迫力だ。

ジョニー・デップ、アンジェリーナ・ジョリー

心地よいのは、登場人物たちの意思がとても明快で一貫しているところ。エリーズは愛に正直で、フランクは自分の思いを信じ、アチソンはアレクサンダー逮捕に燃えている。それぞれが自らの思いに突き動かされていくうちに、思いがけないラストへ――。そして最後の最後には、粋なはからいと歯切れのよい展開で爽快に。すっきりと晴れやかな幕引きも心憎い、優雅なサスペンス・ムービーである。

作品データ

ツーリスト
公開 2011年3月5日公開
TOHOシネマズ日劇3ほか全国ロードショー
制作年/制作国 2010年 アメリカ
上映時間 1:43
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題 The Tourist
監督・脚色 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
脚色 クリストファー・マッカリー
ジュリアン・フェロウズ
製作 グレアム・キングほか
出演 アンジェリーナ・ジョリー
ジョニー・デップ
ポール・ベタニー
ティモシー・ダルトン
スティーブン・バーコフ
ルーファス・シーウェル
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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