メン・イン・ブラック3

10年ぶりに前2作のスタッフとキャストが再結集
笑いありアクションあり、K&Jコンビの逸話も描く
MIBシリーズ初の3Dで贈るSFエンターテインメント

  • 2012/05/18
  • イベント
  • シネマ
メン・イン・ブラック3Photo by WILSON WEBB -©2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.

前2作のスタッフとキャストが10年ぶりに再結集し、地球の平和をクールに守るMIBが復活。出演はもちろんスター俳優のウィル・スミス、演技派のオスカー俳優トミー・リー・ジョーンズ、そして本作より参加するのは、イギリス出身のオスカー女優で『ハリー・ポッター』シリーズのシビル先生役で知られるエマ・トンプソン、’07年の映画『ノーカントリー』のジョシュ・ブローリンほか。主要スタッフもMIB1〜3すべてを手がけるメンバーで、監督はバリー・ソネンフェルド、製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ。エージェントKが以前に捕らえた重犯罪エイリアンが脱獄。Kと地球を守るべく、エージェントJは1969年にタイプスリップする。お約束のジョークにアクションに宇宙人、そしてKとJのつながりを描くエピソード1でもある。MIBシリーズ初の3Dで贈る、SFエンターテインメントである。

地球外生命体の入星管理、彼らの違法行為や犯罪を取り締まる超極秘機関MIBのエージェントJとK。日々の対応に追われる中、Kは脱獄した重犯罪エイリアン、ボグダイト星人アニマル・ボリスの事件を単独で追い始める。不審に思ったJはKを問い詰めるもかわされ、翌日オフィスにいくと、Kの姿がどこにも見当たらない。周囲に聞いても誰もKを知らず、上司Oに聞くと、「Kは40年前に亡くなった」と告げられる。そしてその時、以前にKが防御したはずのボグダイト星人による地球侵略が始まる。混乱と危機の最中、Jは謎を解き明かしKと地球を守るべく、ボリスの足跡を追って1969年へとタイムスリップする。

メン・イン・ブラック3

’97年の第1作でKにスカウトされ新米エージェントとなったJも、今やすっかり中堅に。とはいえベテランの相棒Kが突然かき消え、Jはその奇怪な状況の謎と地球存亡の危機の両方に臨むことに。ジョーンズ扮するKの渋く重厚なスタイルや、元祖J&Kの掛け合いがあまり映らないことは少し物足りないものの、裏ストーリーとしてJとKの逸話が明かされる、というドラマ性があるところは面白い。

J役のスミスとK役のジョーンズは、ともに再びMIBのエージェントになることをとても楽しんだとのこと。スミスは「あれほど強烈に一発でイメージが浮かぶものはないからね。ブラック・スーツにサングラスをかけた途端、僕の内面にいる7歳の子どもが我が物顔になるような感じだ」と話し、ジョーンズは「ウィルと仕事をするのはいつでも楽しいし、ソネンフェルド監督が一緒だとなおさら楽しいんだ」とコメントしている。’69年のヤング・エージェントK役は、ブローリンが奮闘。彼はこの役を嬉々として演じたそうで、ジョーンズ演じるKらしさを身につけるべく、役作りのために第1作を45〜50回は観たとのこと。そしてジョーンズ=Kの話し方やしぐさや雰囲気、何よりJとの軽妙なやりとりが自然にできるまでになったそうだ。ブローリンのなりきりぶりについてスミスも、「寸分の狂いもない間のとり方をしていた。ほとんどぴったりの呼吸なんだ。それはなかなかできるもんじゃないよ」とコメントしている。MIBの上司エージェントO役はトンプソンがクール&ファニーに、’69年のO役は映画『スター・トレック』続編への出演が決定しているアリス・イヴが美人エージェントとして演じている。重犯罪エイリアンのボリス役はジェイミー・クレメントが凶暴に、アンディ・ウォーホル役はビル・ハーダーがウィッグでそれらしく表現。個人的にとても興味深いのは、マイケル・スタールバーグが演じる宇宙人グリフィンの存在。時間や空間などを超越し、見下すことも見上げることもなくフラットにあらゆる流れを見渡す感覚は、高次元の視点の象徴であるかのよう。スピリチュアルの世界で、“アセンション(次元上昇)の年”と言われる2012年を象徴するかのようなキャラクターを、今年公開の作品に登場させているところがユニークだ。またMIBおなじみの有名人のカメオ出演としては、レディー・ガガやジャスティン・ビーバーら人気スター、最新作『ダーク・シャドウ』がもうすぐ日本公開となり、’96年の映画『マーズ・アタック!』で火星人襲来を描いたティム・バートン監督も。ソネンフェルド監督は「ほかにもいろんなスターが出ているから、よーく目を凝らして本編を見てほしいね!」とも。

メン・イン・ブラック3

ガジェットとしては、ピカッと光って記憶を消去するニューラライザー、コンパクトな宇宙銃ノイジークリケットなど定番のものから、’69年の世界ではKの愛車としてフォードのギャラクシー、一輪バイクのジャイロスコープなどが登場。MIB2に登場した情報屋フランク(パグ)の特大ポートレートがJの寝室に飾ってあるという仕込みも。場外ネタとしては、トミー・リー・ジョーンズが“宇宙人ジョーンズ”として’06年から出演しているサントリーの缶コーヒーBOSSと、MIB3のタイアップ企画があるという情報も。

メン・イン・ブラック3

今回はMIBシリーズ初の3D仕様であり、ブラック・スーツにサングラスの彼らを観るのに、観客席でも全員そろって3Dメガネをビシッとキメる、その一連のヴィジュアルもユーモラスな本作。監督とキャストの来日プロモーションでは、ソネンフェルド監督が「ソウル(韓国)の記者会見の時、ウィルが僕に『MIB4のアイデアが浮かんだ』とささやいたんだ。3も2もウィルのアイデアがきっかけだったから可能性はあるかもね!」と話し、続編に前向きな様子も。ハリウッドのネタ切れということだけじゃなく、バディもののSFエンタメ・ムービーとしての個性や世界観、ある種の安心感のあるMIBシリーズなら、家族で楽しめる娯楽作品として淡々と続いていくのも悪くないような。いち視聴者としては、次回はジョーンズ=Kのさらなる活躍を期待したい。

作品データ

メン・イン・ブラック3
公開 2012年5月25日公開
TOHOシネマズ 日劇ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2012年 アメリカ
上映時間 1:48
配給 東宝東和
原題 MEN in BLACKIII(in3D)
監督 バリー・ソネンフェルド
原作 ローウェル・カニンガム
脚本 イータン・コーエン
デヴィッド・コープ
製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ
出演 ウィル・スミス
トミー・リー・ジョーンズ
ジョシュ・ブローリン
エマ・トンプソン
アリス・イヴ
ジェイミー・クレメント
マイケル・スタールバーグ
ビル・ハーダー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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