るろうに剣心

名作コミックを充実のスタッフ&キャストで実写映画化
幕末〜明治の激動の日本を舞台に、人としての葛藤や在り方、
友情や恋情を描く、和製アクション・エンターテインメント

  • 2012/07/27
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るろうに剣心© 和月伸宏/集英社 © 2012「るろうに剣心」製作委員会

シリーズ累計5700万部突破、世界23カ国に翻訳されている和月伸宏のベストセラーコミックを実写映画化。出演は「剣心は彼しかいない」と満場一致で指名された佐藤 健、ヒロインは話題作への出演が続く武井 咲、そして蒼井 優、吉川晃司、江口洋介、香川照之ほか人気・実力ともにそなえたキャストが集結。監督・脚本はNHKのディレクター時代に2年間のLA留学によりハリウッドの現場でも研鑽を積み、ドラマ『ハゲタカ』『白洲次郎』『龍馬伝』などの演出を手がけた大友啓史。幕末に暗殺者“人斬り抜刀斎(ひときりばっとうさい)”として暗躍したのち、“不殺(ころさず)の誓い”を自ら立てた男は、明治の訪れとともに流浪の旅へ。その最中、“抜刀斎”の名をかたる偽者が残忍な殺戮を繰り返していることを知る。幕末〜明治の激動の日本を舞台に、人としての葛藤や在り方、友情や恋情を描く、キレのいいアクション・エンターテインメントである。

明治になって10年。討幕派の暗殺者として恐れられた男は緋村剣心と名を変え、刃が逆さに細工してあり普通には斬れない刀“逆刃刀(さかばとう)”を携えて、人助けをする流浪の旅を続けている。そんな折、剣心は東京で“人斬り抜刀斎”を名乗り無情な殺人を続ける輩がいると知り、その男に立ち向かう少女、神谷薫と出会う。そして成り行きで、薫が亡き父から継いだ神谷活心流の道場に居候することに。その界隈では裏稼業で荒稼ぎしている実業家、武田観柳が幅をきかせていた。

原作から引き継いだテーマ“贖罪と救済”を軸に、斬新なアクションやモダンな雰囲気を生かしながら、時代劇とヒーローものの王道である予定調和の爽快感をスカッとセンスよく打ち出した作品。アニメ化されTV版も劇場版もヒット、関連のゲーム製品などもあり、原作コミックの連載終了から13年を経た2012年に実写版が映画に。あえて今、という一番の理由について、「剣心を演じられる役者として、佐藤健が現れたから」とプロデューサーや製作スタッフ、大友監督、原作者の和月氏も含む全員が一致しているとのこと。個人的には物語のテーマが、今の時流によくあうことも大きいように思える。これまでの価値観がゆらぎ、健全な新しい変化が求められる時代に、それぞれが葛藤や信念と向き合い、時には互いに影響を与え、時には支え合いながら生きてゆく。この真摯な内容がアクション・エンターテインメントの軸にしっかりとあり、ドラマ性が高いことが実写版でも活かされている。

武井咲、佐藤健

出演は製作側からの熱望を受け、自身もとても乗り気で剣心役を演じた佐藤。「すでに大きな支持を受けている作品なので、どうせやるなら原作を超えるくらいのものを作りたい、そういう思いで挑みました」と語っている。17歳で亡き父から流派と道場を受け継いだ神谷薫役は、武井がういういしくフレッシュな印象で、金と権力と暴力で新政府にとってかわることを目論む実業家の武田観柳役は香川が怪演し、明治政府の警官でもと新撰組の斎藤一役は江口が鋭く重厚なイメージで、観柳のもとでアヘン製造にかかわる女医の高荷恵役は、蒼井が世慣れた大人の女として、喧嘩屋の相楽左之助役は青木崇高がカラッと明るく痛快に、神谷道場にほぼ居候している孤児となった士族の少年、明神弥彦役は田中偉登が素朴に、それぞれのキャラクターを個性的に演じている。また明治政府の陸軍卿である山県有朋役で奥田瑛二、観柳の護衛として外印役に綾野剛、戌亥番神役でもと格闘家であり現在は俳優、監督、本の執筆、ダンスユニット「WORLD ORDER」としても活動している須藤元気の出演も。

見どころは勢いとスピード感、テンポのエッジが効いている迫力のアクション。それでいてCGも早回しも使わず、生身のアクションで構成されているところに注目だ。アクション監督に指名された谷垣健治氏は、香港のドニー・イェンのもとで数多くの作品を経験し、現在は香港映画をはじめ、国内外でアクション監督やスタントコーディネーターとして活躍している人物。ジャッキー・チェンが会長を務めるスタントマン協会「香港動作特技演員公會(HongKong Stuntman Association)」で唯一の日本人会員であり、日本では「日俳連アクション部会」副委員長でもあるとのこと。本作のアクションについて、大友監督は語る。「殺陣やアクションの中に登場人物の人間性やドラマ性をきっちり描きこむというのが、今回の目標でした。だから健くんをはじめ主要キャストは、ほぼすべてのアクションシーンを本人が演じています。僕はいつもワンシーンを通して芝居を撮るんですが、今回はアクションに関しても基本的には同じ方法で臨みました。そうするとアクションも芝居と同じで、後半になると感情が積み重なって、どんどんよくなっていく。結果として空間や心の機微を生かした新鮮なアクションシーンが生まれたと思います」。

武井咲、田中偉登、蒼井優、佐藤健

今回の実写映画版は、『るろうに剣心−明治剣客浪漫譚−』をもとに製作。原作者の和月伸宏氏もとても気に入っているとのこと。和月氏は語る。「当たり前のことですが、映画というのは、監督やスタッフ、俳優さんたちのもので、原作者のものではありません。そういう意味では不安も大きかったのですが、完成した映画を観てこれならいけると思いました。この映画はしっかり原作をとらえています。特にキャラクターとアクションは、間違いなく太鼓判をおしますので、ぜひ楽しんで観てください。」

佐藤健、青木崇高

本作の監督を引き受けたこと、物語のテーマについて、大友監督は語る。「『るろうに剣心』は時代が変化する中で生きづらさを感じ、新しい生き方を探して必死でもがいている人たちの物語でもある。そういうテーマ、不器用なアウトローたちの物語であることが僕の嗜好にぴったりはまる気がしたんです」。斬れない刀“逆刃刀”で、“不殺の誓い”をたがえず、大切な人たちを守ることは本当にできるのか。心のドラマを楽しむもよし、シンプルにアクションを楽しむもよし。これから展開するだろう世界配給にも期待が高まる。「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」(武士の在り方を説く『葉隠』の有名な一節)ならぬ、人も己も生かすための剣術、侍の道とは? 現代に通じる新しい時代を生きるためのサムライ・スピリットを映す、和製アクション・エンターテインメントである。

作品データ

るろうに剣心
公開 2012年8月25日公開
新宿ピカデリーほか全国ロードショー
制作年/制作国 2012年 日本
上映時間 2:14
配給 ワーナー・ブラザース映画
原題 RUROU NI KENSHIN
監督・脚本 大友啓史
脚本 藤井清美
原作 和月伸宏
出演 佐藤健
武井咲
吉川晃司
蒼井優
青木崇高
綾野剛
須藤元気
田中偉登
奥田瑛二
江口洋介
香川照之
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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