マーティン・スコセッシ×レオナルド・ディカプリオ 5度目のタッグ
株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの栄光と転落を描く
株式操作に資金洗浄、すべてを貪る狂乱の世界へようこそ
マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオ主演による5度目のタッグは、1980〜1990年代に悪質な手法で荒稼ぎして豪遊し続けた実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの栄光と転落を描く。出演は本作のプロデューサーもつとめるディカプリオ、人気コメディ俳優であり、映画『マネーボール』で演技派としての実力を知らしめたジョナ・ヒル、『ダラス・バイヤーズクラブ』のマシュー・マコノヒー、TVシリーズ『PANAM/パンナム』にてアメリカでデビューしたオーストラリア人女優マーゴット・ロビー、映画『アーティスト』のジャン・デュジャルダン、『ミザリー』ほか数々の作品を手がけた映画監督であり、この10年で長編映画は久しぶりの出演となるロブ・ライナー、監督や脚本家としても活動するジョン・ファヴロー、『アルゴ』のカイル・チャンドラーほか演技派が顔をそろえる。貯金ゼロのスタートから26歳で証券会社を設立し、非合法な手段で年収4900万ドル(49億円)を稼ぎ出した男の顛末を赤裸々に映し出す。仕事では株式操作にマネーロンダリング、プライベートでは金、女、ドラッグの中毒で、命を投げ出すかのような狂気の様相でむさぼりつくす。本人の回顧録『ザ・ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』をもとに脚色した狂乱のドラマである。
学歴もコネも経験もなく、ウォール街の投資銀行L. F.ロスチャイルドへ飛び込んだジョーダン・ベルフォート。正規のブローカーの資格をとったジョーダンは初仕事の1987年の10月19日、株価大暴落のブラック・マンデーを迎える。勤め先が破たんして無職となったジョーダンは、業績の不安定な企業の株を取り扱い50%の手数料をとるペニー株のブローカーとなり、人につけこむ話術で次々と大量の株を売りつけ、周囲を圧倒してゆく。26歳で近隣に住むドニ―をビジネス・パートナーに、証券会社ストラットン・オークモントを設立。近所のならず者を中心に12人で始めた会社は急成長し、社員700人の大規模な組織に成長。その間、元モデルのゴージャスなナオミと出会ったジョーダンは、貧しいときを支えた妻テレサと離婚してナオミと再婚。会社では株式操作にマネーロンダリング、非合法な手段で荒稼ぎし、強力なドラッグや鎮痛剤を常に1日中やり続け、社内に娼婦を呼びつけてやりたい放題。3つの政府機関に目をつけられ、FBI捜査官のデナムはジョーダンをマーク。そして36歳のときに……。
週給1億円まであと少し、260万円のディナーに、独身最後のパーティには娼婦100名を呼んでの乱痴気騒ぎで費用2億円也。常軌を逸脱した数字が飛び交うジョーダン・ベルフォートのダーティな舞台裏が、息つく間もなく畳みかけるかのように展開。1月12日(アメリカ、ロサンゼルスの現地時間)に行われた第71回ゴールデン・グローブ賞の授賞式ではミュージカル・コメディ部門にて、最優秀主演男優賞をディカプリオが本作で受賞したことも納得だ。
ジョーダン役のディカプリオは、人々から証券詐欺で大金を巻き上げ、色と金に溺れドラッグを常習する並はずれて貪欲な姿を表現。特にドニ―とともに“レモン”を服用した後の惨状は、まさにコメディと言える。欲望に忠実で悪びれないドニ―役は、ジョナ・ヒルが笑いとシリアスさの絶妙なバランスで好演。スコセッシ作品に初出演のヒルについて監督は、「信じられないほどすごかった」と絶賛している。ジョーダンの2番目の妻ナオミ役は、ロビーが扇情的に。ロビーを含め、劇中では女も男も全裸やありえないショットが満載で、アメリカではこれでボカシがなかったのだろうか……とか思ったり。ジョーダンの父で会社の最高財務責任者(CFO)をつとめるマックス役は、ロブ・ライナーが貫録と迫力で、堅物のFBI捜査官デナム役はチャンドラーがゆるがない良識と信念をもって、スイスの銀行家ジャン=ジャック役はデュジャルダンが腹に一物という様子で、投資銀行L. F.ロスチャイルドの辣腕の株式仲買人マーク役は、マコノヒーがほんの数シーンの出演ながら印象深く、それぞれがアクの強いキャラクターを打ち出している。スコセッシ監督が「ずっとファンだった」と語る、俳優であり、『スタンド・バイ・ミー』『ミザリー』を手がけた映画監督であるロブ・ライナーは、本作の内容について語る。「たやすく手に入った金が、人にどんな影響を与えるかについての物語だ。財政破たんを引き起こした過剰経済から、私たちがやっと抜け出した今、制約や規制がなく、人が自由奔放に振る舞うとどうなるか見るのは、非常に興味深い」。またスコセッシ監督について、「マーティンは、致命的な欠陥をもったキャラクターを書き留める偉大な記録者だ。ジョーダンは人としてのひどい欠陥によって、人生を台無しにした規格はずれの豪傑たちの中のひとりだ」とも。
本作の脚本を執筆した脚本家テレンス・ウィンターは、エミー賞を受賞したTVドラマ『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア』や、スコセッシ監督が製作総指揮を務めたTVシリーズ『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』で知られ、’80年代に投資銀行のメリル・リンチで働いていた経験があるとのこと。金融業界の内情と新興リッチ層の世界を知る彼は、ジョーダン本人とも何度か会い、話を直接聞いたうえで脚本をまとめ上げたそうだ。そして’08年の金融崩壊以降、世界情勢により興味をもつようになったというディカプリオは、ジョーダンの存在を知ると彼のことが頭から離れなくなったとのこと。ディカプリオは映画化の経緯について語る。「これまで2作品どうしても映画化しなければと情熱を傾けた作品が2本あった。『アビエイター』と『ウルフ・オブ・ウォールストリート』だ。どちらもスコセッシ監督だね。彼はキャラクターを丁寧に描いてくれる。この作品(ウルフ〜)を撮れるのはスコセッシ監督だけ。彼がこの仕事を受けてくれるまで長いこと待ったよ」。ディカプリオからの熱心なオファーを受け入れる形で、長い時間をかけてようやく本作の監督を引き受けたスコセッシは語る。「ジョーダンは模範的とは言えない人生を歩んだ人物で、それはかなり恥ずべき類のものだ。彼は誰かを傷つけたかったわけではない。自分を取り巻く環境からそれを学んだんだ。それこそが、私が常に惹きつけられてきたことだ。私にとって興味深いのは、ジョーダンや、『レイジング・ブル』の主人公ジェイク・ラモッタや、『グッドフェローズ』に登場するトミーという人物だ。人はこうしたキャラクターは自分とはまったく違う世界に住む人間だと思い、距離を置こうとする。でも実際には、決して関係のない他人ではないと私は思う。彼らはあなたであり、私たち自身なのだ。私たちが異なった状況に生まれていれば、たぶん同じ間違い、同じ選択、同じ行動をとるに違いない。私が興味をもつのは、こうしたキャラクターの一部が、我々すべての人間に共通にあり、私たちはそれに向き合わなければならないと認めることなのだ」
構想から完成まで8年、渾身の企画を最高の布陣で実現したディカプリオは、本作のプロモーションが終わり次第、休暇に入ると発表。2013年12月17日(ニューヨークの現地時間)にジーグフェルド・シアターで行われたニューヨークプレミアにて、“休業宣言”についてディカプリオは語った。「これまで商業的に成功するような作品を作ってきたが、この作品はこれまでとはちょっと違う。僕が本当にやりたいと願った作品なんだ。(ウルフ撮了後)すでに10ヶ月休んでいる。この映画は、作品に関わった皆が、アドレナリン全開で、毎日テンションを上げていかなければならない作品だった。この映画をどれだけ長い時間をかけて作ったかという現実からすると、休みが必要だったんだ。次に出る作品はまだ決まっていないからそれまでは休むけれど、もしかしたら、それは明日見つかるかもしれないしね」。また2014年3月に授賞式が行われる第86回アカデミー賞にて、作品賞や監督賞、主演男優賞を含む5部門のノミネートについて、スタッフとキャスト全員で喜んでいるとも。『アビエイター』然り、『ジャンゴ 繋がれざる者』『華麗なるギャツビー』、そして本作で極めた、カリスマ性のある破滅型キャラクターがハマりすぎのディカプリオ。15歳からハリウッドを突っ走り続けているスター俳優レオ様もひと休み、まずはゆるりと休むことで、俳優としてひとりの男として内面を充実させ、次のステージへ向かうことだろう。休暇から戻ったディカプリオがどんな表現をみせてくれるか、たくさんのファンとともに楽しみにしている。
公開 | 2014年1月31日公開 TOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2013年 アメリカ |
上映時間 | 2:59 |
配給 | パラマウント ピクチャーズ ジャパン |
原題 | THE WOLF OF WALL STREET |
監督・製作 | マーティン・スコセッシ |
原作 | ジョーダン・ベルフォート |
出演・製作 | レオナルド・ディカプリオ |
出演 | ジョナ・ヒル マシュー・マコノヒー マーゴット・ロビー ジャン・デュジャルダン ロブ・ライナー ジョン・ファヴロー カイル・チャンドラー |
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