生誕30周年のCIA局員ジャック・ライアンが現代にリブート!
世界経済の情報分析官からエージェントに突如抜擢、という
オリジナル・ストーリーで誕生秘話を描くスパイ・アクション
1990年の映画『レッド・オクトーバーを追え!』、‘92年の『パトリオット・ゲーム』、’94年の『今そこにある危機』、‘02年の『トータル・フィアーズ』と、これまでに4作品が映画化されてきたトム・クランシーのベストセラー<ジャック・ライアン>シリーズを、舞台を現代に設定したオリジナル・ストーリーで映画化。ハリソン・フォード、アレック・ボールドウィン、ベン・アフレックに続いて4代目ジャック・ライアンとなるのは、’09年の映画『スター・トレック』のクリス・パイン、共演は『プライドと偏見』のキーラ・ナイトレイ、ベテランのケヴィン・コスナーほか。監督はシェイクスピア俳優としても知られ、自身の監督作品に出演するのは13年ぶりとなるケネス・ブラナー。<ジャック・ライアン>シリーズが発表された1984年から今年で30周年を迎え、国際情勢や社会環境が以前とは大きく変わっている今、舞台を現代に設定し、経済アナリストの青年がCIA(アメリカ合衆国中央情報局)のエージェントとなる“ジャック・ライアン誕生秘話”でリブートする。頭脳派の未熟な青年エージェントが世界の危機に対峙しながらも、恋人との関係など等身大のことで悩み、危険なミッションを経て成長してゆくさまを描くスパイ・アクションである。
米軍海兵隊員のジャックはアフガニスタンで乗っていたヘリが墜落し、背骨を折る重傷を負う。厳しいリハビリを経て歩けるようになった頃、経済学の博士号をもつジャックはその並はずれた分析能力を上官のロバート・ハーパーから見込まれ、CIA情報分析官としてリクルートされる。それから数年後、表向きはウォール街の投資銀行に勤務しながら、経済界の不審な資金の流れを探り、経済テロを未然に防ぐCIA局員としてジャックは秘密裏に活動していた。自分がCIA情報分析官であることを、同居している婚約者キャサリンにも隠さなければならないことは悩みのひとつだ。そんな折、ジャックはロシアの投資会社チェレヴィン・グループの不穏な動きを察知し、ハーパーに報告。いつもならその情報をもとに秘密工作員“エージェント”を現地に派遣するはずが、今回はハーパーが強行に、現場経験のまったくない分析官のジャックをモスクワに派遣する。
CIAの頭脳としてニューヨークのウォール街で情報アナリストをしていた青年が、わけのわからないまま突然モスクワの現場に派遣され、「君は今からエージェントだ」と告げられる展開。物語はゲームやコミックの定番、現代になじみの流れでスタートする。スパイものといっても、007シリーズのような万能スパイのゴージャスな王道ものとは異なるイメージで、すぐれた経済アナリストでもと海兵隊員である青年がその突出した能力を見込まれて、本人の意思はさておき新人エージェントとして現場にもまれて成長してゆく、という若々しい始まりのイメージを押し出している。
ジャック・ライアン役はパインが熱意ある優秀で実直な好青年として。パインは役作りのために、退役軍人の方と会ってじっくり話す機会を得て、ロンドン大学経済学部で銀行業務、株取引や金融派生商品を学び、金融機関のコンプライアンス管理者とも話をしたそうだ。ジャックに目をつけるベテランのエージェント、ハーパー役は、コスナーが現場主義の人物として。劇中でエージェントとして新人とベテラン、というジャックとハーパーの関係は、実際にパインとコスナーの俳優としての関係ともリンクし、そのままいい意味での緊張感や演技の駆け引きにつながったとも。ジャックの婚約者キャサリン役は、ナイトレイが知的かつ勇気のある女性として。切れ者スパイのパートナーというと、守られる存在になる場合が多いものの、キャサリンのキャラクターをいかにも現代女性のイメージで、攻めの姿勢で描いていることもなかなか。モスクワの投資会社チェレヴィン・グループを率いるロシアの大物実業家チェレヴィン役は、本作の監督をつとめるブラナーが冷酷に表現。役作りでロシアの歴史や詩、言葉遣いを探究したそうで、ロシア語の台詞も多々あり、重厚な威圧感を醸している。
撮影はアメリカのニューヨーク、ロシアのモスクワ、イギリスのロンドンにて。現在、ロシアのソチにて2014年2月7日〜23日の日程で第22回冬季オリンピックが開催中ということもあり、注目を集めているロシア。オリンピック開催前には開催中止の要求や爆破テロが起こり、映画で描かれている不穏な情勢はただのフィクションとは言い切れないリアルさが。現在のモスクワには豊かな天然資源を背景に経済発展を遂げているロシアの今が反映されているそうで、チェレヴィンのオフィスは実際にモスクワで現在建設中の国際ビジネスセンターの中心に建つ、架空の80階建てビル、という設定にしたそうだ。
原作者は2013年10月1日(アメリカの現地時間)に享年66歳で逝去したアメリカの人気作家トム・クランシー。その著作の発行部数は全世界で累計約1億冊にも及ぶという。彼は1984年に保険代理業を営む傍ら、9年かけて執筆した<ジャック・ライアン>シリーズ第1作『レッド・オクトーバーを追え!』でベストセラー作家に。豊かな知識と想像力、調査と取材に基づいて、時代における国際的な戦いの様相をリアルに描き、ハイテク軍事スリラーの元祖となったとも。2013年12月に刊行された遺作『Command Authority』が、<ジャック・ライアン>シリーズ最後の作品となった。<ジャック・ライアン>シリーズはこれまでに冒頭で紹介した4作品が映画化され、本作はジャックを主人公とする5作目の映画でありながら、原作のテーマを継ぎつつ現代版として新たに生まれ変わったリブート作品となっている。そしてこの映画の字幕監修は、「トム・クランシーの愛読者であり、ジャック・ライアンのファン」というジャーナリストの池上彰氏が担当。字幕を通して、劇中でリアルに語られる世界の情勢や経済の動きをわかりやすく正しく伝わるように、整えられていることも注目だ。池上氏はシリーズの魅力について語る。「『レッド・オクトーバーを追え!』でトム・クランシーが衝撃的なデビューを飾ったのは、1984年のこと。世はまだ東西冷戦の最中。ソ連の最新鋭の原子力潜水艦を、ソ連に悟られずに入手するストーリーは、最新技術の情報が満載で、CIAが情報漏洩を疑ってクランシーから事情聴取をしたほどだ。この作品にCIAの分析官として登場したジャック・ライアンは、その後の作品の中で次々に出世。トム・クランシーの作品は、最新情勢を盛り込みながら、ジャック・ライアンの成長も楽しめるものだ。トム・クランシーは昨年急死したが、ジャック・ライアンは、今後も映画の中で活躍を続けるだろう」
原作のジャックはシリーズを通じて出世し続け、8作目の『合衆国崩壊』では大統領になったというからすごい。12作目の『国際テロ』で退任し、その後はジャックの息子ジュニアがメインに描かれているとのこと。このごろはCIAというと、CIAとNSA (国家安全保障局)のもと局員だったエドワード・スノーデン氏が告発した個人情報の収集問題、そして世界の指導者たちの電話や通信を傍受していたとされる問題を思い出す人も多いだろう。そういえばスノーデン氏はロシアに期間限定で亡命中だったなとか、映画製作の企画が始まって完成し公開する頃になって、こんな問題がCIAに起きるとは思っていなかっただろうなとか、CIAの情報アナリスト(そういえばスノーデン氏の前職に近い?)であるジャックの活躍で、実社会でのCIAのイメージアップとプロパガンダに多少はなったりするのだろうか、とか。さて、新生ジャック・ライアンは映画として、ハリウッドの新たな人気シリーズとなるかどうか。はたしていかに。
公開 | 2014年2月14日先行公開・2月15日より全国公開 新宿シネマカリテほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 1:46 |
配給 | パラマウント ピクチャーズ ジャパン |
原題 | JACK RYAN:SHADOW RECRUIT |
監督 | ケネス・ブラナー |
キャラクター原案 | トム・クランシー |
脚本 | アダム・コザド デヴィッド・コープ |
出演 | クリス・パイン ケヴィン・コスナー キーラ・ナイトレイ ケネス・ブラナー |
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