演技派から人気の若手までオールスターキャストで臨む
未来の戦争の原因をタイム・トラベルで除去できるのか!?
人々の心情を丁寧に伝え、激しいバトルを描くSFアクション
演技派から人気の若手までオールスターキャストが顔をそろえる「X-MEN」シリーズ最新作。出演はシリーズ全作に出演しているヒュー・ジャックマン、ともにオスカー女優であるハル・ベリーとジェニファー・ローレンス、舞台や映画で活躍するベテランのパトリック・スチュワート、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのイアン・マッケラン、2007年の映画『つぐない』のジェームズ・マカヴォイ、’07年の映画『JUNO/ジュノ』のエレン・ペイジ、’13年の映画『それでも夜は明ける』のマイケル・ファスベンダー、’12年の映画『最強のふたり』のオマール・シー、中国の人気女優ファン・ビンビンほか。監督は1995年の映画『ユージュアル・サスペクツ』の監督として知られ、『X-MEN』シリーズの1、2作目の監督を手がけたブラインアン・シンガー。西暦2023年、ロボット「センチネル」の暴走により、地球は壊滅状態に。特殊能力をもつX-MENのチームは死力を尽くして戦うなか、最後の手段として50年前の過去にさかのぼり、現在の戦争に至る原因を取り除くことに。強靭な魂と肉体をもつウルヴァリンがその役目を担うが……。近未来と1970年代、2つの時代における激しいバトルとアクションで引きつけ、登場人物たちの心情を丁寧に描きドラマとしても見ごたえのある仕上がりに。製作費250億円が投入され、映像のスケール感が大幅にアップ。実力派のスタッフとキャストが結集した話題作である。
2023年、バイオメカニカル・ロボット「センチネル」の暴走により壊滅状態となった地球で、ミュータントたちX-MENのチームのメンバーは抵抗を続け、死闘を繰り広げている。X-MENを率いるプロフェッサーXは、その旧知の友人で宿敵となったマグニートーとも手を組み、10人の強力なミュータントたちが力を合わせて戦っているものの限界にきていた。そこでこの戦争の発端を取り除くため、1973年にメンバーの魂を送りこむことを決意。50年の時をさかのぼることに耐えうる魂と肉体をもつ唯一のX-MEN、ウルヴァリンが役目を担い、1973年の自分の肉体に2023年の魂が移される。そこでウルヴァリンは若き日のメンバー、プロフェッサーXことチャールズ、マグニートーことエリック、ビーストことハンクに事情を伝えて説得を試み、未来の戦争の鍵を握るミスティークことレイブンの足取りを追う。
能力者たちがそれぞれの持ち味を生かして戦う激しいバトルをシンプルに楽しむもよし、登場人物たちの思いが交錯する人間ドラマとして楽しむもよし。シンガー監督は過去と未来を描く本作について、映画監督のジェームズ・キャメロンと会ってタイム・トラベルや多元宇宙についてアドバイスを受けたとも。個人的には、ウルヴァリンが師であるプロフェッサーことチャールズの若い時分を、学ぶ立場だった自分が逆に導くという入れ子構造、“負うた子に教えられ…”という感覚が面白く。肉弾戦が基本のウルヴァリンが人を気長に説得するという不向きな使命を帯び、とまどいながらも重責をまっとうしようと心をくだくところに惹かれた。またバイオメカニカル・ロボット「センチネル」が火を噴くシーンでは、宮崎駿監督の映画『風の谷のナウシカ』の巨神兵を思い出した。
ウルヴァリンことローガン役はジャックマンがいつもの鍛え上げた肉体と、繊細な表現力で心理描写も丁寧に。ジャックマンは’00年のシリーズ第1作の『X-MEN』から14年間でウルヴァリン役を7回演じていることについて、「めったにないすばらしい贈り物」とコメントしている。近未来のプロフェッサーXはスチュワートが威厳と包容力をもって、その若い頃であるチャールズ役はマカヴォイが失望と使命の狭間で苦悩するさまを表現。ストーリーのキモとなるシーンで、50年後の自身であるスチュワート演じるプロフェッサーXと対面する場面では、マカヴォイは「このキャラクターを14年間も演じてきた人を相手にするのはちょっと不安だった」と言いながらも、良い緊張感と対等に通じ合う感覚を体現。シンガーは撮影初日にこの難しい場面をさらりとやってのけたマカヴォイの力量を絶賛している。マグニートー役はマッケランが重厚に、その若い頃であるエリック役はファスベンダーが剛毅に、ストーム役のベリーは、台詞はほとんどないもののクールな存在感で、グラマラスな肢体と青い肌をもつレイブンことミスティーク役はローレンスが、仲間のミュータントたちを人体実験で失った怒りと悲しみで復讐に燃えるさまを、ミュータントの能力を恐れてロボット「センチネル」の開発を進めるボリバー・トラスク役はピーター・ディンクレイジが非情に演じている。またX-MENのミュータントとして、近未来の世界では他者の魂を過去へ移す能力をもつシャドウ・キャット役をペイジが、アイスマン役はショーン・アシュモア、コロッサス役はダニエル・クドモア、ビショップ役はシー、ブリンク役はビンビン、ウォーバス役はスチュワートが演じ、過去の時代ではビースト役をホルトが、クイックシルバー役はエヴァン・ピータースが、ハボック役はルーカス・ティルが、サンスポット役はアダム・カントが、トード役はエヴァン・ジョニクカイトが好演している。プレスシートのクレジットに表記のあるローグ役のアンナ・パキンは、唯一の出演シーンが編集でカットになったとのこと。DVD化の際にはそのシーンが復活する可能性があるという情報も。
シンガー監督は本作で、オリジナルのX-MEN3部作からジャックマン、スチュワート、マッケラン、ベリー、そしてシンガーが原案と製作を手がけた『ファースト・ジェネレーション』からローレンス、マカヴォイ、ファスベンダー、ホルトらの俳優たちと再び仕事をすることについて大いに喜んだそう。「オリジナルの『X-MEN』シリーズの時も『ファースト・ジェネレーション』の時も、この人たちを起用できてワクワクしたよ。あの当時は、大作に参加した経験がほとんどないかまったく初めてというキャストも数人いた。ヒューはミュージカル出身の俳優で、ジェニファーは『ウィンターズ・ボーン』のようなインディペンデント映画しか経験がなかった。その後何年も経つうちに、今の彼らは立派なキャリアを築き、勢いに乗って広く認められた存在になっている。オリジナルのファミリー・メンバーと新作メンバーを結集することができて、我々は皆、とても興奮しているよ」。今回の脚本をマシュー・ヴォーンとともに担当したのは、学生時代に執筆した‘05年の映画『Mr.&Mrs.スミス』の脚本が高く評価されて脚本家となったサイモン・キンバーグ。’06年の映画『X-MEN:ファイナル ディシジョン』で共同脚本を担当、’11年の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』で製作に名を連ねたキンバーグは、第1作の『X-MEN』でシンガー監督おさめた大きな成功のひとつについて、本物の演技力のある俳優を起用したことだと語っている。「ブライアン(監督)は単にジャンルにふさわしい役者やアクション・スターを起用せず、マッケランやスチュワート、ジャックマンのような舞台経験のある演技派の俳優を起用した。ローレンス、マカヴォイ、ファスベンダー、ホルトら若い世代についても同じことが言える。これほど幅の広い、経験豊富で受賞歴のある印象的なキャストが結集されたことは、今まで一度もなかったかもしれないね」。
映像として見どころの多い本作。冒頭では空間を自在に操りテレポーテーション用のゆがみを放つブリンクの能力も観ていて面白い。なかでも特に特に印象的なシーンは、ペンタゴンの強固な監獄から脱獄を図るシーンで警備兵たちに取り囲まれ、クイックシルバーが能力を発揮するところ。壁をつたって忍者のように走り、拳銃から発砲された弾道を動かし、警備兵たちが転んだり殴り合ったりするように手足を動かし、ピンチの状態をいたずら感覚でポップにあっさりと逆転するさまが痛快だ。このシーンは、ハイスピードのファントム・カメラとフォトソニック技術を使って撮影。クイックシルバーが壁を走るシーンは毎秒3000フレームで撮影され、この技術を使用するために約4万ワットの動力を使う巨大な照明をセットの上に設置したそう。シンガー監督は「こんな撮影を映画でやったのは今回が初めてだ」と語っている。個人的にはこのシーンで堤幸彦監督の『SPEC』シリーズに登場する一十一(にのまえ・じゅういち)のシーンを思い出した。自身が高速で動けるクイックシルバー対して、時間を止めて現場を動かすことのできるニノマエは能力自体が異なるものの、「この描き方は『SPEC』の。そもそもは『マトリックス』ありきかも」とか思いつつ、どちらも面白くて格好いいからそれでいいのでは、と。
シンガー監督はX-MENのストーリーを「現代の神話」と捉えているそうで、「この世界ではとても落ち着ける感じがする。私はこの世界に身を置いて、探求しながら楽しむのが大好きだ」と語る。また’13年12月には監督より、本作の続編でシリーズの次回作として、2016年公開予定の映画『X-Men: Apocalypse』の発表が。今回のスタッフとキャストを中心に新メンバーを迎えるそうで、引き続き注目したい。
公開 | 2014年5月30日公開 TOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 2:12 |
配給 | 20世紀フォックス映画 |
原題 | X-MEN: DAYS OF FUTURE PAST |
監督 | ブライアン・シンガー |
製作・脚本・ストーリー | サイモン・キンバーグ |
製作総指揮 | スタン・リーほか |
ストーリー | ジェーン・ゴールドマン マシュー・ヴォーン |
出演 | ヒュー・ジャックマン ジェームズ・マカヴォイ マイケル・ファスベンダー パトリック・スチュワート イアン・マッケラン ハル・ベリー ジェニファー・ローレンス ニコラス・ホルト エレン・ペイジ ショーン・アシュモア ダニエル・クドモア エヴァン・ピータース ピーター・ディンクレッジ オマール・シー ファン・ビンビン |
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