ルパン三世

コミックやアニメで人気の“ルパン”を実写で映画化!
日本、アメリカ、台湾、韓国、タイ、オーストラリアの俳優を迎え
北村龍平監督が魅せるアクション・エンターテインメント

  • 2014/08/29
  • イベント
  • シネマ
ルパン三世©2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会

モンキー・パンチのコミック原作、アニメーションで40年以上高い人気を誇り続ける『ルパン三世』を、多国籍なスタッフとキャストにより実写で映画化!出演は2012年の映画『宇宙兄弟』の小栗 旬、’14年9月29日から放送予定のNHK連続テレビ小説『マッサン』で主役を演じる玉山鉄二、'14年のTBS系ドラマ『S-最後の警官-』の綾野 剛、数々の映画やドラマ、舞台などで活躍する黒木メイサ、’14年の映画『私の男』で第36回モスクワ国際映画祭の最優秀男優賞を受賞した浅野忠信、そして台湾のグループ「F4」のメンバーで人気スターのジェリー・イェン、韓国の人気グループ・T-MAXのメンバーのキム・ジュンほか。監督は’03年の『あずみ』、’04年の『ゴジラ FINAL WARS』を手がけ、’08年よりハリウッドで活動してきた北村龍平。古代ローマから伝わる大粒のルビーと首飾りをめぐる、ルパン一味と銭形警部との出会い〜最初の大仕事を描く。字幕版では役者たちの台詞の多くは英語で、キレのあるアクションとテンポのいい展開、大がかりな美術セットや作り込まれたVFXなど、見どころが満載。「伝説的なアニメーションを実写で……?」と微妙な感覚で見守る、たくさんの観客に堂々と打ち出す、アクション・エンターテインメントである。

「その所有者は世界を統べる」といわれ、紀元前40年代の古代ローマから伝わる首飾りクリムゾンハート・オブ・クレオパトラ。盗まれて以来、所在がわからなかったそれは、大粒のルビーと首飾り部分が別々にわけられ、現在では東洋と西洋を代表する2人の大富豪、アジアの闇社会を牛耳るMr.プラムックと、かつてはアルセーヌ・ルパンの相棒だった老齢のもと大泥棒ドーソンがそれぞれを所有し、互いの秘宝を狙い合っていた。ある日、世界中の泥棒たちがドーソンの邸宅に集合するという情報を、インターポールの銭形警部が入手。ドーソンは自らが率いる一流の盗賊団「ザ・ワークス」の次期リーダーを決めるべく、ルパン三世を含む名うての盗賊たちを招集するも、メンバー内に裏切り者がいたことから騒動に。そしてドーソンが所有していた秘宝のルビーが奪われ、ルパンは次元大介、峰不二子、石川五ェ門、ピエールら仲間とともに協力し、首飾りの奪還計画を実行する。

スタッフもキャストも国際色豊かなメンバーで製作されたという本作。俳優陣は日本、アメリカ、台湾、韓国、タイ、オーストラリアから、撮影時のスタッフは約50人の日本人をはじめ、スペインの撮影監督、韓国のアクション監督とVFXチーム、そして各部署をサポートするタイのスタッフたち約150人が参加。その多国籍な雰囲気、日本語、英語、韓国語などがミックスしている勢いのある会話は、本作のユニークな妙味となっている。

玉山鉄二,小栗旬,黒木メイサ,綾野剛

ルパン三世役は、今回の撮影のために数ヶ月ものアクショントレーニングを積み、体重を8kgしぼったという小栗旬が好演。ルパンを翻弄するセクシーな峰不二子役は黒木メイサが挑発的に演じ、ルパンとのダンス・シーンは美しくもスリリングで楽しい。寡黙なガンマン次元大介役は玉山鉄二があご髭をたくわえてクールに、斬鉄剣の使い手・石川五ェ門役は綾野剛がマイペースな武士として、とっつあんことインターポールの銭形幸一警部役は浅野忠信が生真面目かつ武骨に表現。各キャラクターのアニメでおなじみの台詞やユーモラスな言い回しが、たまにミックスされているところはほほえましい。筆者も含め、子どもの頃からアニメ版『ルパン三世』を観ていた人の多くは、実写となると、メインキャラクターは誰が演じるにしても「大丈夫かな?」という心配はあると思う。が、本作はどのキャラクターもいい感じに魅せてくれる。日本語の吹き替え版もあるそうだが、個人的には日本のドラマで慣れ親しんだ俳優陣が、英語の台詞でより新鮮に感じられる字幕版をおすすめしたい。
 そしてルパンの宿敵マイケル・リー役はジェリー・イェンが影のある男として、ルパンの仲間でメカニック担当の青年ピエール役はキム・ジュンが初々しく、マイケルの用心棒ロイヤル役はタイ人俳優のタナーヨング・ウォンタクーンが冷徹に、ルパン三世が叔父貴と慕う老齢のもと盗賊ドーソン役は、『戦場にかける橋2 クワイ河からの生還』のニック・テイトが大物らしい存在感で、闇社会の黒幕プラムック役はタイの名優ニルット・シリチャンヤーが威圧的に、プラムックの秘書ミス・ヴィー役は、ヤー・ヤー・インというアーティスト名で活動するタイの歌姫ラター・ポーガームがボンド・ガール風に演じている。
 原作者のモンキー・パンチ氏はクランクインの日や、後日の撮影に訪れ、キャストやスタッフを激励したとのこと。ルパンたちが飛行機に乗っているシーンでは、麦わら帽子をかぶった乗客としてモンキー・パンチ氏がカメオ出演しているので注目だ。

主要キャストの撮影は日本で6日、タイで2ヶ月強の期間、大規模に行われたとのこと。タイでは撮影環境が万全で、撮影はスムーズに行われたとのこと。タイの首都バンコクでの撮影は’13年10月20日〜12月初旬、12月6日からはタイ北部にある“星の降る町”と呼ばれる山奥の街チェンダオで撮影され、その後バンコクに戻り、12月15日〜20日までスタジオの美術セットで撮影されたそうだ。タイは映画の撮影にあらゆる面で協力的だったそうで、銭形警部がタイの三輪タクシー、トゥクトゥクに乗って陸軍本部を訪れるシーンでは、首都バンコクにある本物の陸軍本部で撮影。軍人エキストラはすべて本物の軍人が出演しているというから驚きだ。さらに、不二子の部屋にルパンが呼び出されるシーンで登場する警官隊は、タイの本物の警官隊が衣装も銃も自前の装備のままでエキストラ出演しているとも。政情不安が続くタイでは、’13年11月から反政府デモが激化、2014年5月に軍事クーデターが起こったことは記憶に新しい。軍人や警察官は本物が出演、ということに複雑な感覚もあるものの、自国をより良い方向へ変えていきたいと切実に考えている多くのタイ国民の方々に、“ほほえみの国”に、たくさんのほほえみが早く取り戻せることを祈っている。

小栗旬,浅野忠信

2014年8月4日に行われたワールドプレミアにて、本作が製作されたきっかけについて、“水島力也”の筆名で本作の脚本も手がけている山本又一郎プロデューサーがこんなふうに話していた。「5年前になりますか、角川映画の池田宏之さんから『“ルパン三世”をやりましょうよ』と気楽な顔をして言われ、『できませんよ!』と言ったのが最初の返事でした」。そして「国民的な作品なので、実写映画化したらどれだけ多くの人たちを失望させるだろうと、大変な恐怖を感じました」とも。即答で断ったものの、池田氏と何度も話をするうちに、そして昨今のCG技術の発展を鑑みて、アニメーションの表現を実写の映画でもできるのでは、と思うようになったそうだ。それから、と山本氏は続けた。「僕にはもう一つ、この映画を作りたい大きな理由がありました。世界各地で領土問題というのが存在しますが、隣人と揉めているのはイヤだなという気持ちがあって、日本だけじゃなくアジアの映画として、アジアの仲間たちと作れないかと思いました。そうやって日本を飛び出していくなら、2本のハリウッド映画を作ってがんばっている北村龍平監督に帰ってきてもらおうじゃないかと。そして、1本の電話で彼は快諾してくれました」。この時、山本氏は北村監督に『ルパン三世』を作るとは言っていなかったそうで、帰国した監督に伝えた第一声は、「ええ、マジっすか!」だったそうだ。
 北村監督は同会場で、こんなふうに語っていた。「帰ってきてから『ルパン三世』をやると聞いて、今日いる方もたぶんそう思ったと思うんですが、『やめときゃいいのに。そんなのできる訳ないじゃないか』と思いました。でも、山本プロデューサー、そして何よりルパン三世として顔が出る小栗旬が覚悟を決めて『俺がルパンをやるんだ』という決意をしてくれていると聞いて、僕も一緒にその十字架を背負うと決めました」

玉山鉄二

本作はすでにアジアをはじめ、世界10数カ国で上映することが決定しているとのこと。メインキャストは20〜30代、とっつあん役の浅野忠信も40歳なので、シリーズ化しても同じキャストで息が長くやっていける、というのがよくわかる。前述のワールドプレミアで、北村監督はシリーズ化への意欲をこんなふうに語っていた。「まったく新しくて、そしてどこまでも『ルパン三世』、そんな映画を作りました。僕たち映画人としての自信と誇りをもって、今日、皆さんにお観せします。これはまだまだワンツーパンチのワンです。ジャブです。ここから、2、3、4、5と作っていきたいなと思っていますので、応援よろしくお願いします」

作品データ

ルパン三世
公開 2014年8月30日公開
全国東宝系にてロードショー
制作年/制作国 2014年 日本
上映時間 2:13
配給 東宝
プロデューサー 山本又一郎
原作 モンキー・パンチ
脚本 水島力也
監督 北村龍平
メインテーマ 布袋寅泰
出演 小栗旬
玉山鉄二
綾野剛
黒木メイサ
浅野忠信
ジェリー・イェン
キム・ジュン
タナーヨング・ウォンタクーン
ニルット・シリチャンヤー
ニック・テイト
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
XInstagram

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。