300人の独軍精鋭部隊に5人の米兵が立ち向かう
元軍人であるデヴィッド・エアー監督の脚本・監督・製作
ブラッド・ピット主演・製作総指揮による戦争映画
主演・製作総指揮はブラッド・ピット、共演は映画『トランスフォーマー』シリーズのシャイア・ラブーフ、8歳で子役としてデビューし映画『ノア 約束の舟』などに出演しているローガン・ラーマン、映画『アメリカン・ハッスル』のマイケル・ペーニャ、映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のジョン・バーンサルほか。第二次世界大戦の終戦間近、ヨーロッパ戦線に赴いたアメリカ軍兵士5人の決断を描く。脚本・監督・製作はもと軍人という異色の経歴をもつデヴィッド・エアー。決死の抵抗を続けるドイツ軍に立ち向かう、5人のアメリカ軍兵士たちの1日を追う。戦争の善悪を問うよりも、戦場の最前線における葛藤と生き延びる術(すべ)、兵士たちのつながりを描く作品である。
1945年4月、第二次世界大戦下、ヨーロッパ戦線の終結4週間前。“フューリー(激しい怒りの意)”と命名されたM4シャーマン中戦車の乗員ウォーダディーのチームに、戦闘経験の一切ない新兵ノーマンが配属される。内勤のはずが現場に兵士として派遣され戦争に抵抗を覚えるノーマンは、戦場の凄惨な現実に衝撃を受けるも、戦車の副操縦手として役割を果たすことをウォーダディーから叩き込まれる。そして5輌からなるアメリカ軍の戦車小隊は進軍する先々でドイツ軍の奇襲に応戦し、生き残りは乗員5名の“フューリー”1台となったとき、敵の精鋭部隊300人が向かってきたことに気づく。
第二次世界大戦を経験した退役軍人へのインタビューやリサーチに基づいて物語を構成、撮影には本物の戦車3輌を使用し、リアリティにこだわった作品。主演と製作総指揮をつとめるピットは2014年11月15日に行われたジャパンプレミア上映会の舞台挨拶にて、本作が高い評価を受けていることについて、このように語っている。「非常に生々しく臨場感たっぷりの映像、兵士たちの目を通して戦場を観ているような気持ちになる作品です。その信憑性を持たせるために、かなり詳細にこだわって作品をつくりました。それと同時にこの中には友情、5人の男たちが家族のように絆を深めて行くという感動的な面もあります。そういったところをみなさんが評価してくれたのではないかな、と思います」
M4シャーマン中戦車の車長であり、小隊軍曹となるウォーダディーことドン・コリアー役はピットがベテランの軍人として。戦場で敵に対する冷徹さはあれど、気の荒い仲間たちをまとめ、新兵ノーマンを気づかい、無骨でもぬくもりのある父親のようなキャラクターを演じている。新兵ノーマン役は22歳のラーマンが等身大で表現。ラーマンはユダヤ人であり、一家はナチスの迫害から逃れるためにドイツのベルリンからアメリカに移住してきた、という背景が。その彼がドイツ軍に立ち向かうアメリカ兵を演じているという事実も。また、砲手であり聖書の引用を好むバイブルことボイド・スワン役はラブーフがおだやかに、ゴルドことトリニ・ガルシア役はペーニャが酒浸りでも優秀な操縦手として、装填手であるクーンアスことグレイディ・トラビス役はバーンサルが荒くれとして、それぞれに演じている。
メインキャストである5人のメンバーは、撮影前に戦場を疑似体験する、今回のために特別にプログラムされた過酷なブートキャンプに全員で参加したとのこと。軍事アドバイザー曰く「軍服、武器、食事は規範に忠実に従い、当時の様子を再現した。雨、泥、強風などあらゆる悪条件の中で演習させたし寝不足の状態でも戦わせた」そうで、精神的にも肉体的にもギリギリまで追い込まれる内容だったそうだ。
この特別訓練について、11月15日に日本で行われた来日記者会見で、ピットは冗談交じりにコメントしている。「5人の俳優から1週間に渡って、カプチーノも携帯電話も取り上げたのです。これはエリートの軍人が作りあげたプログラムで、ハッキリ言って最低でした。ここまでやらされるのかと。1週間終えるとつくづく普段の生活のありがたみがわかるというか(苦笑)。皆さんも是非、1年に1回試したら良いと思います。自分の仕事がよりよく出来るようになりますし、人間としても成長できると思います」
本作の脚本・監督・製作を手がけたデヴィッド・エアーは、18歳でアメリカ海軍に入隊し、潜水艦の乗組員として勤務した後に、潜水艦を舞台にした2000年の映画『U-571』の脚本チームの1人として脚本家デビューした人物。映画『トレーニング デイ』『S.W.A.T.』などの脚本を手がけ、’05年にクリスチャン・ベール主演の犯罪映画『バッドタイム』で監督デビューを果たした。エアー監督は本作についてこのように語っている。「物語は第二次世界大戦末期のドイツ。戦争終結の間際であり、ナチス政権が今にも滅びようとしている時だ。これは、アメリカ軍が参戦した有名なバトルを讃える今までのありふれた戦争映画とは違う。数年に渡り戦い抜いてきたアメリカ軍は当時、人員も底を尽きてきており、兵士たちも疲弊しきっていた。第二次大戦は勝つか死ぬまで戦うか、さもなければ重傷を負って帰されるかの戦争だった。全てのシーンがリサーチに基づいており、徹底したリアリティをもって描くことで真実を伝えたかった」
見どころは、“アメリカ産業の奇跡”というシャーマン戦車と、世界最強と謳われたドイツ製のティーガー戦車との死闘だろう。撮影では本物の戦車3輌が使われ、貴重な映像となっている。フューリーは、イギリスのボービントン戦車博物館より提供された、76mm砲を搭載した戦争後期のM4中戦車シャーマン。劇中でウォーダディーたちが死闘を繰り広げる、ドイツ製のティーガー戦車は同戦車博物館より提供された、世界で唯一走行可能であるティーガーT、131号車。今回が映画史上初、現存する本物のティーガー戦車が使われたそうだ。
メインキャスト5人は、撮影前に過酷なキャンプ、撮影中に本物の戦車に乗ってともに過ごすうちに、仲間としての感覚が深まっていったそう。ピットは5人の関係について、ジャパンプレミア上映会の舞台挨拶でこのように語っている。「劇中、ローガンが演じるノーマンというキャラクターが新米として部隊にやって来ます。純真無垢な彼を戦争の恐怖にさらすことになるわけです。ウォーダディーは戦争のルールと自然のルールは全く違うという事を、彼に叩き込まなければならないのです。作品については5人でかなり話し合い、家族のような親しい関係になりました」。
個人的には、新兵ノーマンがドイツ娘と過ごすほんのひとときが、女性として戦争映画を観るなかでささやかなよりどころとなった。ラスト近く、ドイツ軍のいち兵士の判断もまた。
「Ideals are peaceful, history is violent(理想は平和だが、歴史は残酷だ)」。ウォーダディーが劇中につぶやくこの言葉。撮影中にピットがアドリブで入れたというこの言葉は、撮影前に行われた退役軍人へのインタビューなかにあった言葉なのだそう。この言葉について、記者会見でピットは「とても重要」と話し、この映画が伝えることも含めて、このように語った。「この映画が主張しているのは、家の中でのルールは戦場では通用しないということです。新兵のノーマンは人間の慈愛や正義感をもっていますが、それは戦場では通用しません。殺すか殺されるかの世界では冷血な人間にならなければならない。これだけ人間が進化しているにも関わらず世界中で争いは絶えない。そんな戦争の愚かしさ、矛盾をあらわしているのがこのセリフなのです。私たちが大事にしているものや理想としているものは、戦場では一旦忘れなければ生き延びることができないのです」
公開 | 2014年11月28日公開 TOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 2:15 |
配給 | KADOKAWA |
原題 | FURY |
監督・脚本・製作 | デヴィッド・エアー |
製作総指揮 | ブラッド・ピットほか |
出演 | ブラッド・ピット シャイア・ラブーフ ローガン・ラーマン マイケル・ペーニャ ジョン・バーンサル |
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