ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション 試写会日記 毎週、あつた美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション

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軍用機の上に直に乗り、息づぎなしで6分間潜水
トム=イーサンが命がけのスタントを披露!
女性スパイも華やかなアクション・エンターテインメント

トム・クルーズが主演・製作、辣腕スパイのイーサン・ハントを演じる人気シリーズ第5弾。共演は映画『スター・トレック』シリーズのサイモン・ペッグ、映画『アベンジャーズ』シリーズのジェレミー・レナー、映画『アリスのままで』のアレック・ボールドウィン、そして映画『ヘラクレス』のスウェーデン出身の新進女優レベッカ・ファーガソンほか。監督・脚本は『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー賞脚本賞を受賞し、『アウトロー』で監督・脚本を手がけたクリストファー・マッカリー、製作は2015年12月に日本公開予定の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のJ.J.エイブラムスほか。
 謎の組織に陥れられ、イーサン・ハントの所属するCIAの特殊作戦部Impossible Mission Force(IMF)は再び解体の危機に。イーサンは独断で疑惑の組織を追うが……。キレ良く展開するストーリー、魅力的なキャラクターたちと大がかりなアクションとスタントで魅せる、アクション・エンターテインメントである。

IMFのエージェント、イーサンは謎の組織に陥れられ、独断で調査を開始。近年の大がかりなテロや事件に、多国籍のエージェントたちによる反社会的なスパイ組織「シンジケート」が関わっていることを突き止める。単独で秘密裏に追跡していたイーサンはシンジケートに拉致されるも、敵の一員であるはずの見知らぬ女性がスキをついてイーサンを脱出させる。IMFの解体をブラントから知らされたイーサンは「シンジケート」の殲滅を決意するが、イーサン自身が容疑者として国際手配の身となり……。

 何も考えずにカラッと楽しめる夏向きのアクション系娯楽作品。オープニングからいきなり話題のシーン、トム本人が命綱1本で、地上約5000フィート(1524m)の高さまで飛行する時速400kmの軍用飛行機A400に身ひとつではりつく、という驚愕のシーンが展開。
 また今回はほかのキャラクターたちがよりくっきりとそれぞれに描かれ、イーサンを取り巻く人々にわかりやすくバディふうの感覚がしっかりとあるところがまた楽しい。
 脚本家として知られるマッカリー監督は、今回の描き方について、「僕は本作でシリーズのベスト・メンバーを集めてドリーム・チームを結成し、IMFメンバー全員に大きな役割をもたせたいと思っていた」とコメント。そしてシリーズ全体と本作のテーマについてこのように語っている。「政府はいつも秩序を守ろうとするが、IMFは何が正しくて、何が間違っているかがすべてなんだ。本作はもちろん、すばらしいスペクタクルがいっぱいの夏のアクション超大作だ。しかしまた、正義と政府が時に対立することがあるという現実社会の真実も描いている」
 製作のJ.J.エイブラムスはシリーズの魅力について語る。「面白いのはもちろん、時間とともに進化する本シリーズには何か特別なものがある。登場人物たちは正義のために、もてる武器と能力のすべてを使う。僕たちは彼らの世界に加わって、絶叫マシーンに乗るようなものだ。そしてトムはいつも、イーサンのすばらしいユーモアで楽しませてくれる」

レベッカ・ファーガソン,トム・クルーズ

イーサン役のトムは激しいアクションやスタントに加えて、一匹狼的なスタンスからチームを率いることを自然とはじめる、キャラクターの成長を表現。敵か味方か、目的や狙いが不明の女性スパイ、イルサ・ファウスト役はレベッカ・ファーガソンがクールかつセクシーに。イーサンに拮抗する格闘技のパワーとスキル、強靭な肉体と高度な運転技術、エージェントとしての経験、そして女性としての魅力を悪びれずに利用するしたたかさをもつイルサ役は、同性から見てもとても魅力的なキャラクターとなっている。
 IMFメンバーは、CIAとMIFの間を行き来するウィリアム・ブラント役をジェレミー・レナーが冷静に見極める存在として、イーサンを信頼する古株ルーサー役はヴィング・レイムスがどっしりと、CIAの新たなボス役はアレック・ボールドウィンがどこか憎めない実利至上主義の上司として、シンジケートの黒幕ソロモン・レイン役はショーン・ハリスが静かで不気味な知能派のエージェントとしてそれぞれに演じている。
 なかでも今回イーサンの相棒として活躍しているのは、ベンジー・ダン役のサイモン・ペッグ。『M:IV』の内勤スタッフから前作『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』で現場エージェントになり、本作ではさらに重要な存在になっている。パソコンのプロとしてはイーサンの強力な味方であり、ドジで現場経験が浅いため彼の弱点にもなるようなポジションによくハマり、緊張感あるストーリーのそこかしこであたたかみのあるユーモアを歯切れよく表現している。もともと演技がしっかりしつつコメディセンスに長けているため、着ぐるみを着てよし、ヘンな方向に首が曲がってよし、イーサンにストレートに友情をぶつけて引かれてよし。ベンジーの間抜けさがイーサンをカッコよく引き立て、物語の面白さを倍増する役割をさりげなく担っているようにも。筆者が個人的にここ数年で一番大好きな俳優さんという欲目を抜きにしても、サイモン演じるベンジーは観客に愛されるキャラクターになっているのではないかな、と思う。
 サイモン曰く、「実生活でのトムと僕との関係は、イーサンとベンジーの関係にかなり似ていると思うよ」とのこと。「トムとの仕事は最高だよ。彼は驚くほどの集中力と比類ない熱意をもって仕事に臨む」と語っている。

 本作の大きな特徴はやはり大がかりなスタントとアクションだ。本作についてはトム自身、「僕が挑戦したスタントの中で最も危険なものだったよ」とコメントしている。トムのスタントのなかでも本作で特に目を引くのは、前述の飛行機の中ならぬ上に乗るシーンに加え、素潜りの潜水シーン、バイクのチェイスとカーチェイスだ。飛行機のシーンでは理想のショットを求めてこの撮影を8回繰り返したとのこと。相当な重力と風圧が体にじかにかかるため、さすがに「死ぬほど怖かった」そうで、「撮影中には本当に小さい石くずのようなものが飛んできて、僕の身体に当たった時は胸の骨が折れたかと思ったぐらい激痛が走ったよ」とのこと。
 また潜水シーンついては、「ずいぶん前からクリストファー・マッカリー監督とともにスリル満点の潜水シーンをノーカットで撮影したいと考えていたからとても面白かったよ。6分から6分半の間、息を止めてトレーニングをしたけど、とてもハードだった」とコメント。
 モロッコを車で走り抜けるカーチェイスも、尋常じゃない猛スピードのバイクで疾走するのももちろんトム本人が運転。カースタントを得意とするスタント・コーディネーターのウェイド・イーストウッドは、このようにトムを称賛している。「トムの運転のクオリティはとんでもなく高いよ。今回のチェイスシーンで、彼のかわりに使いたいと思うスタントマンは1人もいない。彼はだれにもひけをとらないくらい腕を磨いているし、ちゃんと役柄を演じたまま、スタントをするからね」
 トム本人は、アクションについてこんなふうに語っている。「毎回、どんなアクションを考えても、『全部もう見た』と思うんだ。それでも、まったく新しい挑戦をしなければならない。さらにアクションシーンだけじゃなく、ストーリーやキャラクターもさらに進化(深化)させなければならないんだ」。また「どうして僕はここまでやるのか、それは映画を楽しみにしてくれる観客のためだ」とも。
 エイブラムスは冗談交じりでこんなふうに語っている。「本シリーズで一番苦労するのは、命がけのスタントをトムが自分でやらないよう、彼を説得することだよ。いつだってぜんぶやってしまうからね」

トム・クルーズ,レベッカ・ファーガソン

またとても魅力的なのは、女性スパイ、イルサの実戦的で確実に相手を倒す感覚のアクションだ。レベッカ自身は本格アクションの経験はほとんどなく数週間しか練習時間がなかったとか、実は閉所恐怖症で高所恐怖症であるということをまったく感じさせない、堂々たる凄腕エージェントぶりを披露している。ウィーンのオペラハウスでイエロー系のシルクサテンふうドレスをひるがえし、銃をかまえ長身の男たちを倒すさまはほれぼれと見惚れるほど。レベッカは1日6時間、1週間のうち6日間、スタントのリハーサルを行うなかでイルサの戦い方をつかんだそうで、こんなふうに語っている。「イルサ独自の動き方や戦い方を模索していたの。彼女が人間に向かって爪を立てる猫のようだと考えるようになったわ。自分より大きな男たちを倒すのに、体の勢いを使うという、強靭で荒削りで動物的な戦闘スタイルをトレーニング中に発見したの。みんなが見たことのあるどんな男とも違って、本当にカッコいいのよ」

 特殊効果も視覚効果も使わずCGゼロ、デジタルではなくフィルム撮影で生身のスタントを撮影しているという本作。本作の出来栄えについて、トムはこのようにコメントしている。「アクションを改革していくことは大好きだけれど、アクションがすべてじゃない。陰謀とユーモアとの組み合わせが大事なんだ。観客のために、本来の映画らしさを大事にしながら、息もできないような特別な経験と、スケール感のあるすばらしい冒険を作りだす。僕たちはシリーズ最高傑作といえる出来の作品を完成させた」

撮影時の詳細テキストを通して読むと、肉体の限界への挑戦がすごすぎて、「トムが長生きできますように」と思わず合掌したい気分に。面白い映画を作るためでもファンの期待に応えるためでも自身の地位と名声と報酬のためでもスリル中毒であるからだったとしても、世界的な人気俳優がここまで体を張ってやる、ということは単純にすごいなと。トムがエンターテイナーとして何を仕掛けていくのか、これからも見続けていきたいなと思う。
 最後に、飛行機の上に乗ったトムのスタントについて、冗談を交えて率直に称えるサイモンのコメントをどうぞ。「トムのやっていることを見ていて、正気かよと思ったよ。まったく度肝を抜かれたね。とんでもないシーンだよ。あれを超えるために、彼は次にどんなことをするのか、僕には見当もつかないね。宇宙に行くのかもしれないな」

『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』
2015年 アメリカ映画

データ

2015年8月10日更新

トム・クルーズ
オフィシャルサイト
『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』

2015年8月7日より全国ロードショー


■2015年 アメリカ映画
■上映時間 2:12
■パラマウント ピクチャーズ ジャパン配給
■原題・英題/『MISSION:IMPOSSIBLE ROGUE NATION』
■脚本・監督/クリストファー・マッカリー
■ストーリー/ドリュー・ピアース
■製作総指揮/ジェイク・マイヤーズ
■製作/J.J.エイブラムスほか
■製作・出演/トム・クルーズ
■出演/ジェレミー・レナー
サイモン・ペッグ
レベッカ・ファーガソン
ヴィング・レイムス
ショーン・ハリス
アレック・ボールドウィン




プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。