テッド2 試写会日記 毎週、あつた美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
テッド2

Tippett Studio/Universal Pictures and Media Rights Capital

おっさんテディベアのテッド&親友ジョンが再び!
結婚し父になる決意をしたテッドは人権を得るべく提訴する
奇天烈な中年コンビのその後を描くバディ・コメディ

かわいいテディベアなのに中身はアル中の中年オヤジ、テッド再臨。出演は2012年の前作『テッド』のマーク・ウォールバーグ、’12年の映画『レ・ミゼラブル』のアマンダ・セイフライド、オスカー俳優のモーガン・フリーマンほか。監督・脚本・製作、そしてテッドの声の出演は、前作『テッド』で長編映画監督デビューを果たし、すっかり人気者となったセス・マクファーレン、共同脚本・製作総指揮も『テッド』のアレック・サルキン、ウェルズリー・ワイルドが担当する。
 中年テディベアのテッドと親友のジョンはボストンで相変わらずの毎日を送っていたが、テッドがバイト先のスーパーで知り合ったガールフレンドとまさかの結婚。夫婦となり……。少年ジョンの天への願いが叶い、魂が宿ったテディベアのテッドと、それから27年が経ちモラトリアム中年となったジョン。奇天烈なコンビのドラマを描くバディ・コメディである。

あれから数年、ジョンが半年前にローリーと離婚しドン底気分のなか、テッドはガールフレンドのタミ=リンと結婚。夫婦で暮らし始めるも、ともにスーパーのバイト勤務であるテッド夫妻の生活は貧しく、お金の使い道の言い合いから大ゲンカとなり、早くも別れの危機に。テッドは危機を乗り切ろうと妻に子どもを作ろうと提案。精子提供による妊娠や養子縁組の相談を専門機関にするも、州政府より「テッドは人間ではなく“モノ”である」と通達され、子どもをもつことはできず、タミ=リンとの結婚も無効と判断されてしまう。親友をモノ扱いされて怒り心頭のジョンは、州政府を相手にテッドの“人権”を勝ち取るための訴訟を決意する。

マーク・ウォールバーグ

Tippett Studio/Universal Pictures and Media Rights Capital

テッド&ジョンのダメダメライフと恋愛を描き、予想をはるかに超える大ヒットから3年。続編はプライベートなテーマから社会的なテーマに? 前作の下品ネタを繰り出す軽いノリはそのままに、精子提供による妊娠・出産、養子縁組、人権をめぐる裁判など、意外と真面目なテーマも含む本作。おバカギャグとちぐはぐな感覚もややあるものの、大勢がリラックスして観るコメディ作品にこうしたテーマを入れ込むのは挑戦だし、素敵なことだ。それにキャラクターのファンならストーリーうんぬんは気にせずにシンプルに楽しめるのではないだろうか。 マクファーレン監督は、19世紀のアメリカで実際に起こった訴訟問題「ドレッド・スコット事件」に関する本を読み(もともとは私有財産だったアフリカ系の奴隷が自由州に移動したため自由を訴えるも、アメリカの連邦最高裁判所に退けられ、その判決が非難された事件)、「テッドは生きたぬいぐるみだけど、自分が市民ではないと知ったらどうなる? 人間ではなく、財産と判断されたら?」という本作のアイデアを思いついたとのこと。監督は語る。「テーマを検討していくうちに、いずれテッドの法的地位の問題が浮上するだろうと気づいたんだ。人間は本質的に群れる傾向があり、グループにしゃべるクマが入ることに抵抗を感じる人もいるだろう。それは同性愛者やかつては黒人を認めることへの抵抗と似た感情だ。アマンダのセリフに『人権問題をめぐる対立ではいつも、事実が起きて何年も経って、やっと公正な見解をもてるようになる』というのがある。僕たちは問題が起こっている時には気づかないんだ」

アル中でマリファナ中毒のテッドはマクファーレン監督が前作同様に言いたい放題やりたい放題で、モラトリアム中年ジョン役はマークが今回もテッドと一緒に悪ノリをしている。新米弁護士サマンサ役はセイフライドがテッド&ジョンと同じ趣味の仲間として意気投合し、テッドの妻タミ=リン役は女優でコメディアンのジェシカ・バースが明るく軽く、テッドに執着するストーカー(?)のドニー役はジョヴァンニ・リビシがしつこく、ジョンとテッドの幼少期のヒーロー、フラッシュ・ゴードンを演じた俳優としてサム・ジョーンズがスター然として、そして人権問題を扱う伝説の弁護士ミーアン役はフリーマンが穏やかに演じている。
 カメオ出演も充実。NFLの人気チーム、ニューイングランド・ペイトリオッツのクォーターバック、トム・ブレイディはテッドの精子提供者候補として本人役で、TVシリーズ『24 TWENTY FOUR』のデニス・ヘイスバートは不妊治療専門医として登場する。

ローラ・ダーン

Iloura/Universal Pictures and Media Rights Capital

撮影はボストンの街を中心に、アメリカ最古の都市公園ボストンコモン、1834年に建設され現在はホテルとして使用されている「マリオット・カスタム・ハウス」など、実在するさまざまな場所で行ったとのこと。テッドとタミ=リンの結婚式は、サウス・ボストンにあるアフリカ系アメリカ人のための教会「ユニオン・ユナイテッド・メソジスト・チャーチ」、結婚パーティーのシーンはマサチューセッツ州ミルトンの「ミルトン・フーシック・クラブ」にて、ジョンとテッドの行きつけのバーは『ボストン・マガジン』誌で“2014年度ベスト・カジュアル・バー”に選出された「ザ・イーグル」で撮影したそうだ。テッドたちとは対照的に、伝統と落ち着きのあるボストンの街の風景や雰囲気を垣間見るのも楽しい。

テッドがオープニングで大勢のダンサーたちとともに踊る、クラシックなミュージカル仕立ての映像も魅力だったりする本作。テッドはジョンの所有物ではなく、ひとりのおっさんとして“人権”と、妻との婚姻が認められるか? 
 ところで本作の全米公開日2015年6月26日は、アメリカの連邦最高裁判所が同性婚を認めると判断し、事実上、全米で同性婚が合法化した記念すべき日で。偶然の一致とはいえ、全米でレインボーフラッグが掲げられ、マイノリティの権利を高らかに謳った日に、そこに通じるテーマがある続編の公開とは、テッドの引きの強さを感じたりも。次回作があるかどうかはまだ不明なものの、あるとしたらテッド&ジョンの子育て奮闘記だろうか?

『テッド2』
2015年 アメリカ映画

データ

2015年8月28日更新

トーマス・サドスキー,リース・ウィザースプーン

Iloura/Universal Pictures and Media Rights Capital

オフィシャルサイト
『テッド2』

2015年8月28日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー


■2015年 アメリカ映画
■上映時間 1:56
■東宝東和配給
■映倫区分/R15+
■原題/『ted2』
■監督・脚本・製作/セス・マクファーレン
■脚本・製作総指揮/アレック・サルキン
ウェルズリー・ワイルド
■出演/マーク・ウォールバーグ
セス・マクファーレン
アマンダ・セイフライド
ジョヴァンニ・リビシ
ジョン・スラッテリー
ジェシカ・バース
モーガン・フリーマン
パトリック・スチュワート
サム・ジョーンズ
トム・ブレイディ




プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。