マイ・インターン 試写会日記 毎週、あつた美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
マイ・インターン

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アン・ハサウェイ、ロバート・デ・ニーロ共演!
シニア・インターンと女性社長、そして若い社員たち
これからの働き方や世代を超えた友情と交流を温かく描く

アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロ、オスカー俳優2人の共演による、世代を超えた友情とパートナーシップを描くハート・ウォーミングなドラマ。共演は映画『マイティ・ソー』のベテラン女優レネ・ルッソ、映画『GIRLS/ガールズ』のアンドリュー・ラネルズ、映画『ピッチ・パーフェクト』のアダム・ディバイン、TVドラマ『The Inbetweeners』のザック・パールマン、TVドラマ『CSI:ニューヨーク9 ザ・ファイナル』のクリスティーナ・シェラー、新人のジェイソン・オーリーほか。脚本・監督は映画『恋愛適齢期』『ホリデイ』のナンシー・マイヤーズ。
 ファッション業界で起業し成功、優しい夫とかわいい娘との家庭はハッピーと、現代女性の夢や理想を実現しているジュールズ。そんな彼女の部下として70歳のシニア・インターン、ベンがやってくる。引退後の生き方を模索するシニア世代、ストレスにさらされながらも疾走する働く世代、仕事に不慣れな若い世代、という異なる年代の人たちの友情と交流、パートナーシップをあたたかく描く。これからの働き方や世代を超えた交流についての可能性をポジティブに映す作品である。

ファッションサイトの運営をするATF社の女性社長ジュールズは順調に業績を伸ばし大勢の社員を束ね、家では優しい夫の妻にしてかわいい娘の母親として、公私ともに忙しくとも幸せな日々を送っている。そんな折、彼女のアシスタントを、会社の福祉事業の一環で雇用した40歳年上のシニア・インターンのベンがつとめることに。 “シニア”を大学4年生と勘違いしていたジュールズは驚き、とりあえずベンのことを放置する。しかしベンがさりげないサポートやフォローに長け、雑事もそつなく対応し思いやりのある会話ができると気づいたジュールズは、アシスタントとしてベンに積極的に仕事に関わってほしいと告げる。ベンが若い世代の同僚とも自然にうちとけて充実してゆくなか、ジュールズは仕事と家庭の両方で問題が起きて…。

パソコンの電源の入れ方も知らないシニア男性が、ウェブサイトを運営する若い女性社長のもとで働く。どちらにとっても現実では「ありえない!」という話であるものの、映画ですから、と楽しめる作品。もと電話帳会社の重役というアナログな紙の世界出身のベンが、ほとんどペーパーレス化されているウェブサイトの会社という最新のデジタルな世界に足を踏み入れてカルチャー・ショックを受ける、という浦島太郎的な感じも面白い。
 個人的に素敵だなと思うのは、シニアと青年たちがそれぞれにいい影響を与え合う流れや仕組みがシンプルに描かれているところ。たとえばベンが紳士たるもの、というエレガントな姿勢を自然に体現していることで、彼のスタンス、話し方、装い、持ち物に青年たちが興味をもち、自分たちなりに取り入れていこうとするさまがほほえましい。マイヤーズ監督は今の時代の女性と男性についてこのように語る。「女の子は大人の女性へと成熟したのに、男は逆に大人の男から男の子になった。女の子たちは、やってみれば何でも達成できると言われたのに、私が思うに男性陣は、時代の変遷のなかでちょっと道を見失ってしまい、今でも出口を模索しているんじゃないかしら」

アン・ハサウェイ

仕事に家庭に充実しているジュールズ役はハサウェイが明るく華やかに。『プラダを着た悪魔』のアンドレアのその後を連想させるようなキャラクターを生き生きと演じている。妻に先立たれ、一度は引退しながらも新たなやりがいと居場所を模索するベン役は、デ・ニーロが味わい深く表現。強面のマフィアのみならず、品のいい思いやりのある紳士という、本来の彼自身に近いだろう姿もとても魅力的だ。俳優として2人の相性はとてもよかったようで、「こういうコメディには、ある種の的確さが必要」「アンはまさに最高のパートナーだった」(デ・ニーロ)、「パワーがものすごく強烈で明確、でも彼はとても謙虚で肩の力が抜けていて気さくなの」「ボブ(デ・ニーロ)が一緒でほんとうに幸運だったわ」(ハサウェイ)と互いを称えている。
 ATF社のCOO(最高執行責任者)であるキャメロン役はアンドリュー・ラネルズがソフトな雰囲気で、インターン担当の社員ジェイソン役はアダム・ディバインがカジュアルな様子で、ジュールズの秘書ベッキー役はクリスティーナ・シェラーがいつもテンパり気味に、ベンのインターン仲間でオタクっぽい青年デイビス役はザック・パールマンが陽気に演じている。そしてATFの専属マッサージ師フィオナ役は、監督がレネ・ルッソをイメージしてあてがきしたそう。ユニークなのは、ハイテクに精通したインターン、ルイス役を演じ本作で俳優デビューをした新人のジェイソン・オーリー。彼はマイヤーズ監督の映画『恋するベーカリー』の撮影現場で実際に監督のインターンを務めた青年で、今回は監督の指名によりオーディションを受けて無事に勝ち残り、俳優デビューとなったそうだ。

本作の撮影中、若手俳優たちはデ・ニーロをとても慕っていたそうで、撮影現場にはストーリーと似た雰囲気があったとのこと。マイヤーズ監督は当時の彼らの様子をこのように語っている。「ザック、アダム、ジェイソンはいつもボブのそばにいたがったものよ。それこそ、インターンたちのベンに対する気持ちと同じなので、私はその様子を見るのがとてもうれしかった。もちろん、ボブは彼らにとてもよくしていたわ」
 デ・ニーロもまたこのようにコメントしている。「彼らはみな、すばらしい若者だった。ユーモア抜群だしね。彼らといるとすごく楽しかったよ」

アン・ハサウェイ

家庭と仕事の両立について心を砕くジュールズの危機感や選択、救いも描かれている本作。保守的で支配的な母親がいくつになっても干渉してくるあたりも、妙にリアルな嫌悪感と可笑しみがあって。現在65歳である女性監督マイヤーズも本作の設定に思い入れがあるようで、このように語っている。「私自身、ずっと仕事をしてきた女であり、2児の母でもあるので、仕事をしっかりやって、なおかつ、夕食までには必ず帰宅しようとすることがどんなに大変だったか、鮮明に覚えているの。だから、2015年の新しい世代の家族が、仕事とのバランスをどうとっているのかを検証するのは興味深かったわね」

エルメスのニットにルブタンの靴、セリーヌやシャネルバッグにカルティエの時計などなど、ハサウェイがさらりと着こなす大人の女性のスタイリングも楽しい本作。このストーリーが映画になったということは、件の続編『プラダを着た悪魔 リベンジ!(原題:Revenge Wears Prada: The Devil Returns)』の映画化はナシということかな……とか思ったり。以前に2013年に出版された続編の小説を読んでみたら、主役v.s.悪役という対立がくっきりとしたストーリーで、映画『プラダを着た悪魔』の小気味いいラストや後味のさわやかさからは遠のくような感覚も確かにあったなと。善玉対悪玉の割り切ったバトルもそれはそれでいいものの、『マイ・インターン』には物語の本筋に関わるキャラクターにそこまでの悪い奴はいない、というところも観ていてホッとする。

「愛と仕事、仕事と愛。人生は結局、そういうことだ」
映画の冒頭でフロイト(オーストリアの精神分析学者)の言葉を引用したマイヤーズ監督は語る。「人生で目標をもつことと、評価されることは、愛し愛されることと同じぐらい基本的に必要なことだと思う」
 そしてこの映画のメッセージについて、監督はこのように語っている。「ベンはATFに応募するとき、『ミュージシャンは自分の中に音楽がある限りは辞めないものだ』とつぶやく。私は、誰にでもその人なりの音楽があり、それに対する情熱がある限り、続けられると思うの。この『マイ・インターン』を観て、声を出して笑ってほしいけれど、それと同時に、何か愛することがあるなら、それに対する情熱を失ってはいけないということを思い出すきっかけになってくれたらとうれしい。それが何であれ、できる限り長く、できる限りうまく、続けることを願っているわ」

『マイ・インターン』
2015年 アメリカ映画

データ

2015年9月28日更新

ロバート・デ・ニーロ,アン・ハサウェイ width=
オフィシャルサイト
『マイ・インターン』

2015年10月10日より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー


■2015年 アメリカ映画
■上映時間2:01
■ワーナー・ブラザース映画配給
■原題/『The Intern』
■監督・脚本/ナンシー・マイヤーズ
■出演/ロバート・デ・ニーロ
アン・ハサウェイ
レネ・ルッソ
アダム・ディバイン
アンダーズ・ホーム




プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。