スター・ウォーズ/フォースの覚醒

ヒットメーカーでありSW信奉者であるJ.J.エイブラムスが
充実のスタッフ&キャストと放つSWエピソード7にして、
あの決戦から30年後の世界を描く、新たな3部作の第1弾

  • 2015/12/21
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スター・ウォーズ/フォースの覚醒© 2015Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

ジョージ・ルーカスが生み出し6作で完結した伝説が新たな3部作として始まる。出演は女優活動を始めて約1年で本作のヒロインに抜擢されたデイジー・リドリー、映画『アタック・ザ・ブロック』のジョン・ボイエガ、『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』のオスカー・アイザック、『奇跡の2000マイル』のアダム・ドライバー、『アバウト・タイム〜愛おしい時間について』のドーナル・グリーソン、そして旧シリーズ“スター・ウォーズ”エピソード4〜6より、ハン・ソロ役のハリソン・フォード、レイア・オーガナ役のキャリー・フィッシャー、ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミル、全エピソードに登場するドロイド・コンビのC-3PO役のアンソニー・ダニエルズとR2-D2役のケニー・ベイカー、そしてソロの相棒チューバッカ役のピーター・メイヒューというミラクルな顔合わせが実現。監督・脚本・製作はJ.J.エイブラムス、脚本は監督の熱望によって決まった『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』のローレンス・カスダン、音楽はSWテーマ曲をはじめすべてのエピソードを担当するジョン・ウィリアムズ、音響はやはりSW前作を担当するベン・バート、製作はルーカスフィルムの社長キャスリーン・ケネディが手がける。
 『ジェダイの帰還』から約30年後、フォースを巡る“家族の愛と喪失の物語”とは。自身もSWシリーズを崇拝するJ.J.エイブラムスが、充実のスタッフとキャストたちとともに放つ“スター・ウォーズ”エピソード7にして、新しい3部作の第1弾である。

アダム・ドライバー

ルークとダース・ベイダーの決戦から30年。宇宙では帝国軍の残党がファースト・オーダーと名乗り、共和国の人々を暴力と恐怖で支配しようとするなか、“最後のジェダイ”ルークは姿を消し、ルークの双子の妹レイア・オーガナ将軍率いるレジスタンスたちが抵抗活動を続けていた。レジスタンスのパイロット、ポー・ダメロンは得たばかりのルークの所在を敵に奪われるのを避けるため、ボール型ドロイドのBB-8にその情報を託して逃がし、自身は十字のライトセーバーの使い手カイロ・レンに囚われる。BB-8は砂漠の惑星ジャクーで部品狙いの輩に捕まり困っているところを、凛とした女性レイに助けられる。彼女はこの星でひとり家族を待ち続け、廃船などから部品を回収するささやかな稼ぎでその日暮らしをして孤独な毎日を過ごしていた。一方、いち兵士ストームトルーパーである1人の青年はファースト・オーダーの残虐さに耐えかねて、拘束されていたポーを開放し自身も宇宙船で一緒に脱走。男はポーからフィンと名付けられ、追手からなんとか逃れて惑星ジャクーに不時着するも、気づいた時にはフィンはひとりきりだった。そして砂漠をさまよいレイとBB-8に出会うが……。

SW信奉者であるJ.J.エイブラムスの監督・脚本・製作だけに、旧シリーズへの愛と敬意に満ちている本作。ジョージ・ルーカスが生み出した伝説的なキャラクターたちを存分に生かしながらも古臭くならず、若く新しいフレッシュなキャラクターたちとともに壮大な叙事詩ののなかの新しいエピソードとして楽しめる内容となっている。これまでに“ミッション・インポッシブル”シリーズの『M:i:III』『ゴースト・プロトコル』、“スター・トレック”シリーズのリブートなどを成功させてきた監督の辣腕が今回も生き生きと揮われている。
 ルーカスフィルムが2012年にディズニーに買収された後、はじめてのSWということでも注目されているのは周知のとおり。クリエイティブ面はしっかりと尊重されているとキャスリーン・ケネディが語っている。余談ながら、オープニングにこれまでずっとあったドラムとファンファーレでおなじみの20世紀フォックスの映像と音楽が当然なくなって。もしやあれが、と思いきや、シンデレラ城がキラキラと映るディズニーのロゴと映像もオープニングには表示されない、という気遣いがなされている。

デイジー・リドリー,ジョン・ボイエガ

生き別れた家族といつか会えると信じて生きる孤独なヒロイン、レイ役はデイジー・リドリーが少年のようにタフでキュートに。彼女は水泳やスケート、ダンスなども得意とのことで身体能力の高さ、生命力が強そうですこやかな様子が頼もしい。ストームトルーパーの脱走兵フィン役はジョン・ボイエガがややお調子者のごく普通の青年として、レジスタンスのメンバーで凄腕パイロットのポー役はオスカー・アイザックが信念をもち行動する大人の男性として、冒頭で奇襲のなかポーを逃がそうとするロー・サン・テッカー役は現在86歳のマックス・フォン・シドーが演じている。そして赤い十字のライトセーバーを操る、強力なフォースを持つ男カイロ・レン役はアダム・ドライバーが影のある青年として、ファースト・オーダーの軍を指揮するハックス将軍役はドーナル・グリーソンが、トルーパーを率いるキャプテン・ファズマ役は身長191cmのイギリスの女優グウェンドリン・クリスティが、銀河宇宙の支配を目論むファースト・オーダーの最高指導者スノーク役はモーションアクターとして有名なアンディ・サーキスが、ならず者たちがたむろする店の女主人マズ・カナタ役はオスカー女優のルピタ・ニョンゴがモーションキャプチャで演じている。マズ・カナタのキャラクターは肝っ玉ばあちゃんであり裏社会の生き字引、ヨーダの女性版をイメージしているふうだ。個人的には、ポーから大事な情報を預かる小ぶりのボール型ドロイドBB-8は、劇中で観るよりも来日記者会見の時に、実際に肉眼で見たときの方がかわいかったような。まるっこい立体感や小動物のような好奇心いっぱいのキュートな動きがより感じられたせいかもしれない。またカメオ出演しているという噂のサイモン・ペッグやダニエル・クレイグの姿を筆者は見つけられず……劇中のどこにいるのか、気になるところだ。

「おお…!」と本作でなによりシビれるのは、旧シリーズのキャラクターたちがオリジナルの俳優で登場するシーンだ。ヴィンテージふうに古びた宇宙船ミレニアム・ファルコンにハン・ソロ(ハリソン・フォード)とチューバッカ(ピーター・メイヒュー)がごく当たり前のようにひょっこり現れるシーンでは、「うわあ」とゾクゾクするものが。本作のプロデューサー、キャスリーン・ケネディはこのシーンを撮影した時、ハリソンがミレニアム・ファルコンに入った瞬間、約200人のスタッフがじいっと見入ったと語っている。「彼は、ハン・ソロ以外の何者でもなかった。だから皆、静まり返ったのよ。彼を一目見た瞬間、『うわっ、帰ってきたぞ!』ってね」(アメリカの雑誌『ENTERTAINMENT WEEKLY』2015年8月21日号より)
 さらにさらに、守られる側のレイア姫からレジスタンスを率いる将軍となったレイア・オーガナ役はキャリー・フィッシャーが品よく、C-3PO役のアンソニー・ダニエルズとR2-D2役のケニー・ベイカーのドロイド・コンビは出番が少なくとも相変わらずいい感じの存在感で、そしてルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルは果たして? 旧シリーズの出演者たちはほぼ60〜80代になっているそうで、チューバッカ役以外は基本的に俳優活動をしていないピーターを含め、よくこれだけのオリジナル・メンバーが再び集結したなとしみじみ。旧シリーズの俳優たちの出演に対しては賛否もあるようだが、彼らの持ち味が楽しめるよう、J.J.の感性と思い入れにより新しい物語にもいい塩梅でなじみ、いろいろな意味で作品を盛り上げているのではと個人的に思う。

ピーター・メイヒュー,ハリソン・フォード

撮影はCGに頼りきるのではなく、アブダビの砂漠、アイルランド、ウェールズ、イギリスの空軍基地などでのロケ撮影や、実際にセットを使った撮影にこだわったとのこと。ちなみに2015年12月11日の来日記者会見でJ.J.が語った“大事な秘密”がある。「(この作品には)“タコダナ”という星が出てくるんだけれど、実は僕が初めて日本に来たときに高田馬場のホテルに泊まったから、それをもじってつけたんだ(笑)」
 これだけの伝説的なシリーズを引き継ぐ第1弾という重責を、監督はよく引き受けたな、と誰もが思うのではないだろうか。そもそも最初にキャスリーン・ケネディから新しいSW映画の監督を、とオファーを受けたときJ.J.は一度断ったそう。それもひとえに旧シリーズを深く愛しているがゆえに。ただケネディ女史と話すうちに、ただの続編ではなく登場人物や情感を重視した新しい3部作を始める、という方向性があると知り、『ジェダイの帰還』のラストから30年の間にいったい何があったのだろうと考えるうちに、「その世界の一部になりたいという猛烈な欲求をおさえられなくなっていった」と語っている。(アメリカの雑誌『Vanity Fair』2015年6月号より)
 またJ.J.エイブラムス監督はSWという作品、そしてこの映画について、このように語っている。「スター・ウォーズのようにとてつもないものを創り上げるということは、それがスタート時には製作者のものだったとしても、やがて製作者以上に偉大な存在になって、世界のものになっていくのです。私は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が、世界中の人々の心に響くことを願っています。ジョージ・ルーカスが創り出した世界のパワーを、もう一度、皆さんに信じてもらいたいのです。“善”VS.“悪”のパワー、そして、フォースのパワーを」(イギリスの映画雑誌『EMPIRE』2015年10月号より)

作品データ

スター・ウォーズ/フォースの覚醒
公開 2015年12月18日18時30分より全国一斉公開
制作年/制作国 2015年 アメリカ
上映時間 2:16
配給 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
映倫区分 PG-13
原題 Star Wars: The Force Awakens
監督・脚本・製作 J.J.エイブラムス
脚本 ローレンス・カスダン
マイケル・アーント
製作 キャスリーン・ケネディ
ブライアン・バーク
視覚効果&アニメーション インダストリアル・ライト&マジック
音楽 ジョン・ウィリアムズ
出演 ハリソン・フォード
キャリー・フィッシャー
アダム・ドライバー
デイジー・リドリー
ジョン・ボイエガ
オスカー・アイザック
ルピタ・ニョンゴ
アンディ・サーキス
ドーナル・グリーソン
グウェンドリン・クリスティ
アンソニー・ダニエルズ
ケニー・ベイカー
ピーター・メイヒュー
マーク・ハミル
マックス・フォン・シドー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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