インフェルノ

ダン・ブラウン×ロン・ハワード×トム・ハンクス
ラングドン教授が暗号解読に挑む人気シリーズ第3弾
リミットは48時間、生化学者が企てた非道な計画とは?

  • 2016/10/31
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インフェルノ

『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』に次ぐ、ダン・ブラウンのミステリーを映画化した人気シリーズ第3弾。出演はシリーズ3作すべてで主役を務めるトム・ハンクス、『博士と彼女のセオリー』のフェリシティ・ジョーンズ、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のイルファン・カーン、『最強のふたり』のオマール・シー、『パニッシャー』のベン・フォスターほか。監督はシリーズ全作を手がけるロン・ハワード。数々の謎を解き明かしてきたハーバード大学の宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授は、48時間以内に暗号を解かなければ大勢の人々が死ぬ、という事態に直面。非道な計画を企てた生化学者ゾブリストが、詩人ダンテの叙事詩「神曲」<地獄(インフェルノ)篇>に隠した暗号とは? イタリアのフィレンツェ、ヴェネツィア、トルコのイスタンブールを舞台に、歴史的な建造物や各地の名所の美しい映像とともに展開するミステリー作品である。

トム・ハンクス,フェリシティ・ジョーンズ

ロバート・ラングドン教授は、フィレンツェの病室で目を覚ます。怪我と一時的な記憶障害により混乱するラングドンは状況がつかめないまま、病院に乗り込んできた謎の女に殺されそうになるも、女医シエナの助けにより危機を回避。ラングドンの上着のポケットにあったレーザー・ポインターを投影すると、イタリアの画家ボッティチェリがダンテの叙事詩「神曲」を描いた作品「地獄の見取り図」の映像が。2人は絵の中の文字から生化学者ゾブリストの名前を判読する。ゾブリストは人口過剰問題を懸念し、その抑制策として“ウィルスを感染させ人口を半分に間引く”という非道な計画を企て、ウィルスの起爆スイッチについて、詩人ダンテの「神曲」≪地獄篇:インフェルノ≫に隠したのだ。そして彼自身はラングドンが目覚める3日前に自殺。ラングドンとシエナは、ゾブリストの暗号に挑みながら、<今、人類を半分に減らすか> もしくは <100年後に滅びるか>という判断を迫られる。

現代社会が抱える人口過剰問題を問いかけつつ、ラングドン教授の暗号解読といういつもの展開へ。ただし今回の教授には、怪我と一時的な記憶障害により知力・体力ともにいつもの余裕がないなか、選択しがたい難題をつきつけられ、48時間というタイムリミットとともに緊迫した内容となっている。また前2作(特に第1作)は歴史や文化・芸術にまつわる説明や解釈の側面がしっかりと楽しめる内容だったものの、今回はイタリアやトルコの歴史的建造物や街の風景をとらえた美しいヴィジュアル、スピード感のあるストーリー展開となっていて、比較的若い世代へのアピールを重視しているようだ。個人的にはじっくり味わうかのようなミステリーである第1作のほうが好みなものの、世界の伝統的な文化や芸術、原作の小説(読書)などに若い世代が興味をもつきかっけになるかもと思うと、それもまた素敵だなと。イタリア・フィレンツェの現地時間で2016年10月6日、ヴェッキオ宮殿の五百人広間で行われた記者会見にて、ハワード監督は本作についてこのように語った。「この映画のようにスリルあふれる物語を作り上げるには、まず世界のことを考えて、そして新たなストーリーを作ることが大切だと思っている」

トム・ハンクス,フェリシティ・ジョーンズ

ラングドン教授役はハンクスが、厳しい状況を知性と判断力で切り抜ける学者として期待通りに好演。担当医師のシエナ役はフェリシティが怪我人の教授をサポートする女性として。また逃亡する教授を追う監視・対応支援チーム(SRS)の隊長ブシャール役はオマール・シーが、同じく教授を追う謎の組織の最高責任者シムズ役はイルファン・カーンが、ダンテの叙事詩「神曲」に暗号を隠した天才生化学者ゾブリスト役は『パニッシャー』のベン・フォスターが、それぞれに演じている。

この映画は全体の7割がロケーション撮影で、イタリアのフィレンツェ、ヴェネツィア、トルコのイスタンブールにあるいくつもの名所を美しくとらえていることが特徴。フィレンツェのピッティ宮殿に隣接する広大なボーボリ庭園では、暗殺者や組織に追われ、ラングドン教授とシエナが逃げ込むシーンを撮影。またユネスコ世界遺産に登録されたフィレンツェ歴史地区にあり、700年以上の歴史をもち現在は博物館やフィレンツェ市庁舎として親しまれているヴェッキオ宮殿では五百人広場を、ゴシック様式が美しいドゥオモとともにサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂として知られ、1059年より建設が始まった町で最古の建物のひとつであるサン・ジョヴァンニ洗礼堂などを映している。そしてヴェネツィアではサンマルコ広場〜ドゥカーレ宮殿、トルコのイスタンブールでは世界で唯一、キリスト教、異教徒、イスラム教に捧げて6世紀の東ローマ帝国時代に建てられたアヤソフィアにて撮影。後半にあるアヤソフィアの地下の水槽のシーンは、ハンガリーの首都ブダペストのスタジオにレプリカを作り撮影したそうだ。

ベン・フォスター,ほか

ダン・ブラウン原作、ハワード監督、ハンクス主演によるシリーズ作品として安定して人気を集めている本作。前述の記者会見にて、原作者のダン・ブラウンは映画化と小説の執筆についてこのように語った。「初めてこのシリーズを書いたときは、映画化されるなんてとても想像していなかったし、もちろんトム・ハンクスが主役のラングドンを演じてくれるとは思っていなかった。でも最初の映画(『ダ・ヴィンチ・コード』)が公開されてからは、このシリーズを書くときは、トムたちのことを24時間いつでも頭に描きながら書いているんだ」。そしてハワード監督は続編の製作について、このようにコメントしている。「ダン・ブラウン次第ですね。彼の草案であり、語り手でもありますから。我々は彼の作品を映画化できることを本当に光栄に思っています」
 そしてブラウンによるラングドン教授のシリーズ最新作である第5弾の小説『Origin』は、2017年9月26日に北米で出版が決定。これから映画でもラングドン教授の物語が続いていくのかどうか、2016年10月8日に歌劇場「オペラ・ディ・フィレンツェ」で行われたワールドプレミアにてブラウンはこのように語った。「もちろん続いていくよ。僕の裁量ではないけれど、映画の制作は楽しい。さて、どうなるかな?」

作品データ

インフェルノ
公開 2016年10月28日よりTOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2016年 アメリカ
上映時間 2:01
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題 INFERNO
監督 ロン・ハワード
原作 ダン・ブラウン
脚本 デヴィッド・コープ
出演 トム・ハンクス
フェリシティ・ジョーンズ
イルファン・カーン
オマール・シー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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