キセキ ーあの日のソビトー

夢、現実、なりたいもの、できること。
デビュー秘話のみならず恋や友情、家族について
GReeeeN風味のあたたかく爽やかな青春ドラマ

  • 2016/12/22
  • イベント
  • シネマ
キセキ ーあの日のソビトー© 2017「キセキ ーあの日のソビトー」製作委員会

2007年にメジャーデビューして以来、顔出し一切ナシでメンバー全員が歯医者と音楽活動の両方を続けているボーカルグループ、GReeeeNの実話をもとに描く物語。映画『真田十勇士』の松坂桃李と2016年の映画『デスノート』の菅田将暉がW主演、共演は『女が眠る時』の忽那汐里、映画『青空エール』の平 祐奈、映画『オオカミ少女と黒王子』の横浜流星、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の成田凌、ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の杉野遥亮ほか。監督は是枝裕和監督などの助監督を経て、'08年の映画『ちーちゃんは悠久の向こう』で監督デビューした兼重淳、脚本は映画『黄泉がえり』などの斉藤ひろし、劇中の音楽はGReeeeNが、音楽プロデュースはメンバーHIDEの実兄でGReeeeN のプロデューサーであるJINが手がけ、制作協力として是枝裕和氏の参加も。医者である厳格な父に音楽活動を反対され、兄ジンは半ば勘当状態で家を出る。弟ヒデは歯医者になると家族に宣言し歯科大に合格するも、仲間との音楽活動が楽しくなり……。GReeeeNの音楽や人物像のみならず、恋や友情、家族との対立と和解、夢や仕事についてなど、少年から青年へと成長し自立していくなかで多くの人が経験する葛藤やエピソードを描く。GReeeeN風味のあたたかく爽やかな青春ドラマである。

インディーズのメタルバンド「ハイスピード」のボーカル・ジンと、医大を目指す受験生の弟ヒデ。厳格な医師の父・誠一と控えめで明るく優しい母・珠美のもとで、兄弟は幼い頃から厳しく育てられてきた。ヒデの浪人が決定した年、ジンのバンドはメジャーデビューのオファーを受け、父に伝えるが猛反対されたため、ジンは半ば勘当状態で家を出て音楽活動を本格化する。一方、浪人中に自らの学力の限界に向き合ったヒデは、母の歯が弱いと知ったこともあり、歯医者になろうと決意し翌年には歯科大に合格。ヒデは歯科大の仲間と歌ったり踊ったり音楽を自由に楽しむうちに、友だちのナビ、クニ、ソウとともに音楽ユニット「グリーンボーイズ」を結成。オリジナルの曲をみんなで作り始める。その頃、兄のジンは自分たちのやりたい音楽とレコード会社の求める路線がかけ離れていることからモメて、バンドが解散状態に。弟のヒデから「グリーンボーイズ」のオリジナル曲のアレンジを頼まれたジンはデモテープを聴き、技術的には拙くとも彼らの音楽の本質的な魅力を実感。彼らの初ライブでその音楽性に確信をもったジンは、プロデューサーとしてグリーンボーイズをサポートしようと決意する。

松坂桃李,菅田将暉

顔出し一切ナシのままメジャーデビューから10年、デビュー翌年の’08年に発表したシングル「キセキ」が、ギネスに「日本で最も売れたダウンロード・シングル」として認定されたことをはじめ、これまでのシングルとアルバムの総売上枚数は500万枚を超えるなどファンから熱く支持され続けているGReeeeN。彼らのデビュー秘話について実話をもとに描く。夢に生きるか現実的な選択をするか、この2択はフィクションでもノンフィクションでも普遍的なテーマであるものの、「どっちも!」とミュージシャンと歯科医師というまったく異なる二足のわらじを履きこなし、セオリーを超えた究極の選択を実現し維持し続けているというのは本当にすごい。本人たちの能力と努力と奮闘と人望に加え、縁、運、タイミング、技術の進歩……あらゆることがいい具合に巡り続けるという流れはどのように始まったのか、という彼らの心情がドラマとして描かれている。

弟ヒデたちの音楽プロデューサーとして腕を揮う兄ジン役は、松坂桃李が葛藤しながらも道を見出す姿を熱く、歯科大で医師になるため勉強しながら仲間たちとの音楽活動に夢中になるヒデ役を菅田将暉が明るく素朴に。2012年の映画『王様とボク』で共演した松坂と菅田は相性が良く、実際にJINとHIDE本人と会って話したことを演技に生かし、兄弟役をともに楽しんだそうだ。ヒデの恋人・理香役は忽那汐里がかわいく凛として、ヒデの歯科大の友だちでグリーンボーイズのメンバーとなるナビ役を横浜流星、クニ役を成田凌、ソウ役を杉野遥亮が、ジンとヒデの両親役は小林 薫と麻生祐未が、医師である父の患者・結衣役は平 祐奈が、ジンの親友のギタリスト・トシオ役は奥野瑛太が、レコード会社のディレクター売野役は野間口徹が、それぞれに演じている。

横浜流星,杉野遥亮,菅田将暉,成田凌

見どころは俳優たちが歌うシーンの数々。撮影前に俳優たちはボイストレーニングを受け、グリーンボーイズを演じる4人はGReeeeNの曲を歌うため、本物のメンバーの歌い方や動き方のレクチャーをスタッフから受けて演技に取り入れたとも。劇中で菅田、横浜、成田、杉野の4人はGReeeeNがインディーズ時代に作った「声」、デビュー曲「道」、ヒット曲「キセキ」を歌い、気分がアガる楽しいシーンとなっている。また松坂は「歌は苦手なものとしてずっと避けて通ってきた」とのことで、ハイスピードのボーカリストとして映画の冒頭でハードな曲を歌う貴重なシーンはお見逃しなく。

この映画は、GReeeeNのプロデューサーであるJINと本作を手がける小池賢太郎プロデューサーが出会い、GreeeeNが今に至るまでの逸話を聞き感銘を受けたことから始まったとのこと。そして兼重淳監督が決まり、映画『余命1ヶ月の花嫁』などで実話ベースのフィクションを執筆してきた脚本家の斉藤ひろしが、「キセキ」の誕生にまつわる物語として本作の脚本を書き上げたそうだ。小池プロデューサーは今回の映画化への思いを語る。「GReeeeNの『キセキ』は今まで一番、聴かれている歌かもしれません。でも彼らは顔を出していないので、彼らの実態は誰にも知られていません。ほかにも名曲がたくさんあるのに、とても不思議なことに思いました。ですので、私が幸運にも聞くことができた物語を現実に映画にできたら、そしてみなさんに紹介できたらと思いました。顔も分からない彼らの音楽が、なぜ、こんなにみんなに届くのか? たくさんの人の心に届く音楽の素をこの映画で表現できたらと思います」
 そして兼重淳監督はこの物語に込めた思いについて語る。「誰もが、子供のころは『なんにでもなれる』と思っている。歳を重ねるごとに家庭環境や自分の才能に悩み、いつの間にか『なれるもの』を探すようになる。ただ、『なりたいもの』を諦めない、立ち上がる、そして突き進む。こんな想いをカタチにしたかった。観た人の、魂に訴えかけるような映画にしたいと思った。GreeeeNの楽曲の様に、明るく、楽しく、そして、ただただ真っ直ぐに。『未来へ向かう、すべての人へ』この物語を贈ります」

菅田将暉

本作のサブキセキ ーあの日のソビトーの“ソビト”とは、GReeeeNによる造語【素人・空人】であり、自由に新しいことに挑戦していく人を指すとのこと。主題歌「ソビト」は「10年以上前に作り、世の中に出すタイミングを見計らっていた」曲であり主題歌はこれ!と即決したとも。GReeeeNのメンバーたちはこの映画と主題歌への思い、観客へのメッセージとしてこのようにコメントしている。「映画『キセキ ―あの日のソビト―』にある、仲間との葛藤も、日常にある大事な人との愛情も、全てがこの曲にあるように思います。全ての大事な人へ、皆様の心に残るような曲になっていける事を願ってます」
 またGReeeeNがメジャーデビュー10周年を迎える2017年1月24日に、グリーンボーイズのデビューシングルとして菅田、横浜、成田、杉野の4人が歌う「声」「道」「キセキ」を収録したCDの発売が決定。GReeeeN のHIDEはこのCD発売について、このようにコメントしている。「このたび『道』『声』『キセキ』をカバーしていただきますが、僕らにとってとてもとても大切な曲たちをグリーンボーイズならではのパワーで新たに皆さんにお伝えてしていっていただけたらと思います!」
 ちなみに本格的な歌に俳優として今回初挑戦した松坂は、2016年12月6日に東京で行われた完成披露舞台挨拶にて、「初めはプロデューサーの役と聞いていたのですが、台本みたら最初のシーンから歌ってて……騙されました(笑) CDは出しません」と笑顔で話した。

最後に完成披露舞台挨拶にて、菅田と松坂が観客に伝えたメッセージをご紹介する。
 菅田「GReeeeNさんに敬意を表してこの作品を作りました。二兎追うものが二兎を得るという本当にあった話を描いた作品で楽しんでほしい!」
 松坂「勇気づけられる作品で、完成した作品を観て今自分がやっている事、またこれからやる事、自分で選択したからこそそれが正解だと後押しされる気持ちになりました。皆さんにも何か受け取っていただけたら幸いです」

作品データ

公開 2017年1月28日より丸の内TOEIほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2017年 日本
上映時間 1:51
配給 東映
監督 兼重淳
脚本 斉藤ひろし
音楽 GReeeeN
プロデューサー 小池賢太郎
音楽プロデューサー JIN
出演 松坂桃李
菅田将暉
忽那汐里
平祐奈
横浜流星
成田凌
杉野遥亮
早織
奥野瑛太
野間口徹
麻生祐未
小林薫
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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