ヒュー・ジャックマン=ウルヴァリン最終章
超人パワーを失いつつある彼は最後に何を守るのか?
男の生き様や疑似家族のような結びつきを描く人間ドラマ
2000年の映画『X-メン』から17年、ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じる最後の作品が完成。共演は両親とも俳優であり本作で映画デビューした現在12歳のダフネ・キーン、舞台俳優としても知られる『X-メン』シリーズのパトリック・スチュワートほか。監督・製作総指揮・原案・脚本は、『ウルヴァリン:SAMURAI』のジェームズ・マンゴールドが手がける。ミュータントの大半が死滅した2029年。ローガンは長きに渡る激闘に疲れ果て、治癒能力を失いつつあるなか、謎の少女と出会う。『X-メン』のキャラクターのシリーズ作品であるものの、ミュータントの闘いを描くSFアクションというよりも、家族のような結びつき、男たちの生きざまを描く人間ドラマである。
ミュータントの大半が死滅した2029年。ローガンは治癒能力を失いつつあるなか、雇われのリムジン運転手として働き、メキシコ国境近くの廃工場でひっそりと暮らしている。そこで、かつてはミュータントたちを率いていたプロフェッサーXであり、今では年老いてスーパーパワーを制御できなくなったチャールズ・エグゼビアの世話を、ミュータントの仲間であるキャリバンとともにしている。ある日、ローガンは見知らぬヒスパニック系の看護師ガブリエラから、ローラという少女をカナダ国境に接するノースダコタまで送り届けてほしいと依頼され……。
2017年の第67回ベルリン国際映画祭のワールド・プレミアにて、コミック映画として初めて上映されたことも話題の本作。本国アメリカをはじめドイツや台湾など各国でドラマ性が高く評価されている本作は、最初からあえてR指定として製作したという。マンゴールド監督は語る。「これは家族を描いた映画であり、誠実さや愛情、そしてローガンというキャラクターについての映画だ。彼はこれまで人と親密になることを避けてきたが、ついに受け入れることになる。R指定を受けたことで、万人に向けた映画を作るプレッシャーから解放されたし、より大人向けのテーマの映画を作ることができたんだ」
そして「本当に全力を出し切った」というヒューは、この映画についてこのように語っている。「本作で我々が目指したことのひとつは、ファンに向けたラブレターにするだけでなく、“アメコミ映画を一度も観たことがない人”、“アメコミ映画を観たいとは思っていない人”にも観てもらえる映画にすることでした」
不死身の治癒力と高い戦闘力を失いつつあるローガン役は、ヒューが熱演。ミュータントのウルヴァリンとしてアダマンチウム(超金属)の爪で敵を切り裂く戦闘シーンはいつもよりも少なく、ローガンというひとりの人間として、不器用でも義侠心に厚く大切な人たちを守ろうとする生きざまを表現している。ローガンとチャールズの父と息子のようなやりとりも沁みるものが。2017年5月25日に東京で行われた来日記者会見にて、ウルヴァリンを17年間で9度演じてきたことについて、ヒューはこのように語った。「イギリスの演劇界で有名な演出家トレバ―・ナンに『舞台に出る人間は5つくらいのルーツを持つべき』と言われたことがあります。キャリアを振り返り、ローガンこそが僕のルーツのひとつだと思いました。この作品をキャリアだけではなく、人生の喜び、決定版にしたいですね。いつか孫が生まれ、『おじいちゃん、どの“X-MEN”を観たらいいの?』と聞かれたら、『これを観ろ!』と言える作品にしたかったのです』
そして監督は本作のテーマについて語る。「伝説的なヒーローたちの恐れや弱点を探求できるようなキャラクターが中心のストーリー、彼らの人間らしさを見せる作品にしたかったのです」
プロフェッサーXこと今は年老いてスーパーパワーを制御できなくなったチャールズ・エグゼビア役はパトリックが、廃工場でローガンとともにチャールズの世話をしているキャリバン役はスティーヴン・マーチャントが、少女ローラを執拗に追うドナルド・ピアース役はボイド・ホルブルックが、遺伝子学者のドクター・ライス役はリチャード・E・グラントがそれぞれに演じている。
そして謎の少女ローラ役はダフネ・キーンが好演。彼女はもともと体操とエアリアル・アート(シルク・ドゥ・ソレイユの舞台などで知られる空中パフォーマンス)の経験があるそうで、本作での激しい格闘シーンのほとんどを自分でこなしたという。陰のあるタフな大人の男の横に立つブルネットの美少女という組み合わせから、個人的には映画『レオン』で少女マチルダを演じたナタリー・ポートマンを思い出した。撮影当時は11歳でそれまでの経験はドラマ出演のみ、映画デビューとなる本作で準主役級のキャラクターを堂々と演じきったダフネについて、マンゴールド監督もヒューも、才能あふれるすばらしい俳優、と称賛。今後の活躍も楽しみだ。
アメリカを縦断するロードムービーでもある本作。撮影自体は“ふたつの州のわずか数か所のロケ地だけ”だったそうだがスタッフの尽力により、エル・パソやメキシコの乾燥した砂漠から、ニューメキシコ、テキサス、オクラホマ、カンザス、サウス・ダコタのバッドランズという多様な風景を感じさせる映像となっている。また高齢の家族への中年世代の思い、厳しい社会でたとえ行き場がなくとも力を合わせてたくましく生きる少年少女、次世代の子どもたちを見守る疑似家族のような結びつきを描き、ストーリーに現代社会への思いが描かれているところも特徴となっている。最後に、前述の来日記者会見でのマンゴールド監督とヒューのコメントを紹介する。
マンゴールド監督 「ヒューとどのような作品を作りたいかと話し合った際、このキャラクターを称える、名誉を与える作品にしようと話しました。そのためには従来の作り方や伝統を壊し、新しいものを作る必要があり、私たちは自分を解放し今までとは異なる、違った作品にしようと望んで作りました」
ヒュー・ジャックマン 「『ウルヴァリン:SAMURAI』を撮った直後に監督とこの映画の話をしました。この映画を作るならマンゴールド監督と一緒に最高のものを、ウルヴァリンの最終章としてふさわしい映画を作りたいと思いました。またシリーズの続きというだけではなく、新鮮で新しく、深いものを作りたいと。そして今、とても満足しています。皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです!」
劇場公開 | 2017年6月1日より全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2017年 アメリカ映画 |
上映時間 | 2:18 |
配給 | 20世紀フォックス映画 |
原題 | LOGAN |
監督・製作総指揮・原案・脚本 | ジェームズ・マンゴールド |
脚本 | スコット・フランク マイケル・グリーン |
出演 | ヒュー・ジャックマン パトリック・スチュワート ボイド・ホルブルック スティーヴン・マーチャント ダフネ・キーン リチャード・E・グラント |
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