北野武監督初のシリーズプロジェクト最終章
日本と韓国を舞台に裏社会の激しい抗争と
因縁にケリをつけ筋を通す男の生き様を描く
北野武監督初のシリーズプロジェクト『アウトレイジ』の最終章となる第3作が完成。出演は前作から引き続きビートたけし、西田敏行、塩見三省、白竜、名高達男、光石研、松重豊、中村育二、金田時男、そして新たに大森南朋、大杉漣、ピエール瀧、岸部一徳、原田泰造、津田寛治、池内博之ほか充実の顔合わせで。以前の巨大抗争後、韓国に渡っていた大友は、あるトラブルを機に因縁に決着をつけるべく日本へ戻る。“全員悪人”の面々が、出世や派閥、死んだ仲間の仇討や裏切りへの報復を巡り、日本と韓国を舞台に激しい抗争を展開。北野武の監督・脚本・編集により、シリーズ最大のスケールで裏社会の男たちの抗争を描くバイオレンス作品である。
関東【山王会】と関西【花菱会】の巨大抗争後、大友は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長のもとにいた。済州島の歓楽街を裏で取り仕切るなか、取引のため韓国滞在中だった【花菱会】の幹部・花田が大友の仕切る店がらみでトラブルを起こし、張会長の手下を殺害。これを機に、韓国の国際的フィクサー【張グループ】と日本の巨大暴力団組織【花菱会】が一触即発の状態となり、花田のやり口に激怒した大友は、すべての因縁に決着をつけるべく日本へと戻る。そのころ、【花菱会】では内紛が起こり……。
2010年の第1作『アウトレイジ』、2012年の『アウトレイジ ビヨンド』から5年を経て、最終章を迎えた本作。第74回ヴェネツィア国際映画祭にて2017年9月9日(現地時間)にクロージング作品として上映されたことも話題に。また上映後に現地で行われた記者会見にて、北野監督は三部作で完結することについてこのように語った。「『アウトレイジ』は最初に1本作ったんですけど、かなり営業的な評価がよくて、では2をつくろう、となった。3があれば4がある、というように深作(欣二)監督の『仁義なき戦い』になりそうだったんで、『アウトレイジ ビヨンド』という2番目の映画の脚本を書いた時に、3番目で終わらせようと思って、同時に書いたところがあって、3本で終わろうという脚本を書いていったんです」
関東を仕切る暴力団組織【山王会】の配下にあった、もと大友組の組長・大友役は、ビートたけしが昔ながらのヤクザとして、大友を慕う韓国・済州島グループの市川役に大森南朋、張会長の側近・崔役に津田寛治、同じく側近の李役に白竜。関西【花菱会】の面々は、古参の幹部で若頭の西野役に西田敏行、若頭補佐の中田役に塩見三省、若頭補佐の森島役に岸部一徳、前会長の娘婿でもと証券マンの新会長・野村役に大杉漣、韓国でトラブルを起こした花田役にピエール瀧、花田の手下・丸山役に原田泰造。関東【山王会】の面々として会長・白山役は名高達男が、若頭・五味役は光石研が、その配下の木村組の組長・吉岡役は池内博之が、また抗争による事件を取り締まる警視庁組織犯罪対策部の刑事・繁田役は松重豊が、それぞれに演じている。韓国で大友が身を寄せる張会長役は、北野監督と10数年の付き合いの友人で実業家の金田時男氏を起用している。
オフィス北野の社長であり本作のプロデューサーである森昌行氏は、今回のストーリーと監督の意図について語る。「監督の中には明確に、前作のような禍根を残さず、大友を中心とした群像劇を完結させたいという意図がありました。権力闘争が暴走し欲と欲がぶつかり合う、サスペンスを感じさせる深い内容になっています。誰もが自分の筋を通すためなら他者を平気で亡きものとする。もはや組織v.s.組織ではなく、個人の業がむき出しになっている。そこが、最終章独自の魅力につながっているのではないでしょうか」
また北野監督は前述の第74回ヴェネツィア国際映画祭の記者会見にて、裏社会の抗争を描くストーリーについてこのように語った。「世界的な傾向だけど、バイオレンスな映画は、世界情勢もあって、あまりよく評価されないんだけど、自分の描くつもりでいるヤクザ映画というのは実は、拳銃と一方的な暴力を除けば、現代社会の普通の企業の構造にかなり似ていて、私が演じた大友というヤクザも、古いタイプのサラリーマンであって、今の世の中では犠牲になる、というような話に言い換えることもできる。エンターテインメントとしてのバイオレンス映画として考えると、古いヤクザの抗争を描くのは面白いなと思います」
また北野監督は、2017年9月22日には書き下ろしで自身初となる純愛小説『アナログ』(著者:ビートたけし)を発表。もともとは映画のプロットとして書き始めたそうで、「恥ずかしい話、まともな恋愛なんてしたことないんだけど……」と言いながらも執筆のきっかけをこのように語っている。「俺の映画は暴力だけで『たけしは男と女を描けない』なんて言ってる野郎がいやがって。腹立ったんで男と女の話を撮ってやる! って書き始めたら純愛小説になっちゃった」(新潮社HP、又吉直樹氏との対談より)
2017年9月25日に東京で行われたジャパンプレミアでは、監督が小説『アナログ』の映画化の可能性に触れつつ、「チャレンジして失敗したら、バイオレンス映画に戻ろうと画策しております」とユーモアを交えつつコメント。さらに「これが区切りとなっていますが、また何年か経ったら日本の役者オールスターでとんでもない映画を撮ってみようと思っています」とも。純愛かバイオレンスか、もしくはまったく違うタイプの物語か。映画に小説にアート、さまざまな芸能活動に、現在70歳の北野武監督とビートたけしがどのような表現をしていくのか。世界中のファンとともに今後も楽しみにしている。
劇場公開 | 2017年10月7日より全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2017年 日本映画 |
上映時間 | 1:44 |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 オフィス北野 |
監督・脚本・編集 | 北野 武 |
音楽 | 鈴木慶一 |
出演 | ビートたけし 西田敏行 大森南朋 ピエール瀧 松重 豊 大杉 漣 塩見三省 白竜 名高達男 光石 研 原田泰造 池内博之 津田寛治 金田時男 中村育二 岸部一徳 |
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