キングスマン:ゴールデン・サークル

ミサイル攻撃でキングスマンの拠点が壊滅!
米国の同盟機関とともに麻薬組織に立ち向かう
英米スパイのアクション・エンターテインメント

  • 2017/12/11
  • イベント
  • シネマ
キングスマン:ゴールデン・サークル© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

2014年にヒットした英国紳士のスパイ映画『キングスマン』の続編が完成。出演は『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、前作で映画デビューしたタロン・エガートン、舞台や映画で活躍するマーク・ストロング、そして新キャストとして『アリスのままで』のジュリアン・ムーア、『ローガン・ラッキー』のチャニング・テイタム、『クレイジー・ハート』のジェフ・ブリッジス、『チョコレート』のハル・ベリー、TVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のペドロ・パスカルなど、オスカー俳優4人を含む充実のメンバーに加え、ミュージシャンのエルトン・ジョンも。監督・製作・脚本は前作に引き続きマシュー・ヴォーン、脚本・共同製作は『スターダスト』『キック・アス』などでもヴォーン監督とコラボしているジェーン・ゴールドマンが手がける。謎の敵から激しい攻撃を受け、キングスマンの拠点が壊滅。生き残ったエージェントのエグジーとメカ担当のマーリンは、アメリカの同盟機関であるステイツマンへと向かう。イギリスとアメリカの個性的なキャラクターたちとユニークな悪役、派手なアクションにスパイらしいガジェット、コミカルな会話や陰謀阻止へのストーリーで引きつける、アクション・エンターテインメントである。

ジュリアン・ムーア

人類抹殺計画から世界を救って1年後、ストリートの青年だったエグジーは、仕立ての良いスーツを着こなすキングスマンのエージェントに成長していた。恋人のスウェーデン王女ティルデと彼女の両親と会食中、ロンドンのエグジーの自宅やキングスマンの基地、組織に関わるすべての場所がミサイル攻撃を受ける。その攻撃により友だちや愛犬JBを亡くしたエグジーは茫然としながらも、生き残ったメカニック担当のマーリンとアメリカに渡り、同盟機関であるステイツマンへと向かう。一方でキングスマンを攻撃した世界的な巨大麻薬組織ゴールデン・サークルでは、一見すると優しくてチャーミングな女性ながら残忍なサイコパスであるポピーが、世界を陥れる陰謀を企てていた。

表の顔はロンドンの高級テーラー、実際はどの国にも属さない世界最強のスパイ機関であるキングスマンのエージェントを描く第2弾。前作の戦いで死んだと思われたコリン・ファース演じるエース・エージェント、ハリー・ハートの再登場も注目だ。今回は高級スーツを着こなす英国紳士による激しいアクションに加え、アメリカの同盟スパイ機関ステイツマンのエージェントたちがカウボーイ風のワイルドな着こなしと戦いぶりを披露。イギリス人とアメリカ人のキャラクターや文化の違いを、やや大げさにコミカルかつスタイリッシュに描いているのが特徴。ヴォーン監督はもともと続編を考えていたものの同じことはしたくないと思い、アメリカとイギリス両方のエージェントを描いたことについて、このように語っている。「アメリカとイギリスは同じ言語を使うが、文化的には大きく違っている。この特別な関係を扱ってみたかった。前作で人々が気に入ったのは、ハリーとエグジーの異質な世界がぶつかり合う部分だった。アメリカ文化とイギリス文化の衝突で、その点を継続したいと思ったんだ」

タロン・エガートン

ストリートあがりのキングスマン、エグジー役はタロンがハリーのエージェント名“ガラハッド”を継いだいっぱしのエージェントとして。荒削りですべてがスマートには決まらない様子や、恋人を大事にする好青年ぶりがいい感じだ。生き延びていたエージェントのハリー役はコリンが記憶を亡くした状態で、メカ担当のマーリン役はマークが頼もしく、キングスマンの女性エージェント、ロキシー役はソフィー・クックソンが有能に。アメリカを拠点とする同盟スパイ機関ステイツマンのメンバーは、最初に出会うエージェントのテキーラ役はチャニングが熱血の剛腕として、メカ担当のジンジャー役はハル・ベリーが知的に、組織のボスであるシャンパン役はジェフ・ブリッジスが豪快に、エース・エージェントのウイスキー役はペドロ・パスカルがレーザー投げ縄の名手として。また世界的な巨大麻薬組織のボス、ポピー役はジュリアンが’50年代の裕福な奥様ふうの風貌でありながら平然と残忍な処刑をするサイコパスとして、キングスマンの試験に不合格となった元候補生でゴールデン・サークルの手先となるチャーリー役はエドワード・ホルクロフトが凶悪なロボットアームの暗殺者として、それぞれに演じている。
 さらにポップスターのエルトン・ジョンは、ポピーに誘拐されステージで演奏を披露する本人役で出演。個人的に本作で一番笑ったのがエルトン・ジョンのシーンの数々で、彼は1シーンのカメオ出演ではなく、狂言回しとしてたびたび登場しそれなりに活躍している。時には宝塚ばりの羽をしょって、時には目がチカチカするほど光るスーツ、そして主張が伝わるレインボーカラーとコテコテに盛った衣装で名曲のさわりを歌い、監禁状態にイラついて悪態をつき、2Dでも3Dなみに画面から浮くほどの存在感と絶妙の間合いでおいしいところをさらっていく感じがたまらない。

そして激しいアクションとカラフルな美術セットは本作の見どころのひとつ。現実離れしたアニメレベルのアクションに独特のカメラワークを駆使する、冒頭でエグジーがロボットアームのチャーリーに襲撃されるシーンでは、特注のロンドンタクシーを用意。特殊効果スーパーバイザーのスティーヴン・ワーナーはこのスタントについて語る。「マシューはタクシーをドリフトするレーシングカーのように動かしたいと思った。それで、特注の車を作った。オリジナルのタクシーのボディを特注のシャシーに載せ、シェヴロンのV8エンジンと680ブレーキ馬力を搭載した。スタントマンたちは楽しんでいたよ」
 またいかにもスパイ映画らしい雪山のアクション、イタリアのアルプスでのシーンでは、1分間に最高30回転する仕様のケーブル・カーを製作。エガートンとパスカルは実際に回転し壁に張り付いているとも。
 そしてカラフルでかわいく邪悪なポピーの隠れ家兼テーマパーク“ポピー・ランド”は、ロンドン郊外にあるロングクロス・スタジオに実際に建築。撮影の5ヶ月間、ヴォーン監督はそこに住んでいたとも。プロダクション・デザイナーのダーレン・ギルフォードは語る。「ポピー・ランドの設計はとても楽しかったよ。マシューはラスベガスとディズニーランドを足して2で割ったようなものを、古い廃墟のなかに造りたいと言い、あらゆるディテールまで彼が指揮したんだ。『ポピーはどんなビジネスを望むか?』と考えて、ボーリング場や美容室、ホットドッグ店を作った。風変わりで楽しいものばかりだ。彼女のイメージを考えてマーサ・スチュワートの雰囲気を混ぜ込んだんだ」

タロン・エガートン

今回はアメリカン・スパイの活躍が目立ち、“英国紳士スパイのハードなアクション”という基本コンセプトがゆらいでいるようにも見えて(ここは薄まっていくのだろうか? それとも3時間以上あったという本編を2時間台に短縮したせいか)。一般的なスパイ・アクションとなると作品の個性としてやや弱く感じる面もあるものの、前作から本作にかけて、ハリーとエグジーの師弟関係やエグジーの恋愛などキャラクターの状況や関係性がちゃんと進んでいるところが味わいとして面白い。そして本作では冒頭でキングスマンの拠点が壊滅し、このままで終わるはずがない、という感覚がありありと伝わってくる。ヴォーン監督は続編について、キングスマンとステイツマンが活躍するシリーズ第3弾の構想があると語っている。「本作では第3弾で起こることの種まきもしているんだ。すべてが一体となる、すばらしいアイデアがある。まったく新たな世界を期待してほしい」

作品データ

キングスマン:ゴールデン・サークル
劇場公開 2018年1月5日よりTOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2017年 イギリス映画
上映時間 2:21
配給 20世紀フォックス映画
原題 Kingsman: The Golden Circle
監督・脚本・製作 マシュー・ヴォーン
脚本・共同製作 ジェーン・ゴールドマン
原作 ”ザ・シークレット・サービス”マーク・ミラー
デイブ・ギボンズ
出演 コリン・ファース
ジュリアン・ムーア
タロン・エガートン
マーク・ストロング
ハル・ベリー
ペドロ・パスカル
エドワード・ホルクロフト
ソフィー・クックソン
エルトン・ジョン
チャニング・テイタム
ジェフ・ブリッジス
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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