スター・ウォーズ/最後のジェダイ

フォースに目覚めたレイは伝説のジェダイへのもとへ
激しい戦闘のなか“光”と“闇”の間で揺れる彼らの選択は?
伝説が新世代へと継がれてゆくさまを描くエピソード8

  • 2017/12/18
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スター・ウォーズ/最後のジェダイ© 2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

1作目の『スター・ウォーズエピソード4/新たなる希望』の全米公開から40周年を迎える2017年、丁寧に作りこまれたシリーズ第8作が完成。出演は2015年の前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に引き続きデイジー・リドリー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、本作が遺作となったキャリー・フィッシャー、そして1作目を含む“旧3部作”で主人公ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルほか。監督・脚本は映画『LOOPER/ルーパー』のライアン・ジョンソンが手がける。フォースに目覚めたレイは、惑星オクトーに身を潜めていた伝説のジェダイ、ルークに会いに行くが……。レイは強力なフォースを正しく用いることができるのか、暗黒面が不安定であるカイロ・レンの心情、そしてルークが隠遁していた理由とは? 前作『フォースの覚醒』の直後からメインストーリーを描くSWエピソード8であり、伝説の世代から若い世代へと継がれてゆくさまを丁寧に描く新3部作の第2章である。

アダム・ドライバー

遠い昔、はるか彼方の銀河系で……。ダース・ベイダーを崇拝し、暗黒面に傾倒するカイロ・レンら帝国軍の残党であり銀河の独裁をもくろむファースト・オーダーと、レイア・オーガナ将軍率いるレジスタンスの戦いは激化。砂漠の惑星で家族を待ち続けていた女性レイは、伝説のジェダイ=ルークを探すレジスタンスたちに巻き込まれ、カイロ・レンとの死闘を経て、フォースの強い力に目覚めた。そして惑星オクトーで暮らすルーク・スカイウォーカーに会いに行ったレイは、そこで過ごすうちにある真実を知る。一方、ファースト・オーダーから激しい攻撃を受け続けるレジスタンスは、メンバー内で今後の作戦について意見がわかれる。そしてレイとカイロ・レンの2人は、フォースの強い力にある“光”と“闇”の間で揺れ動く。

「ジェダイは滅びる」というルークの言葉と、“最後のジェダイ”というタイトルのほか、内容についてはほぼ完全な秘密主義でまったく明かされず、公開前にさまざまな憶測が飛び交っていた本作。刻々と動いてゆく状況、登場人物やキャラクターたちの感情や会話や行動、過去や動機などがよく描かれ、非常に楽しめる仕上がりとなっている。子どものころからの筋金入りのSWファンを公言しているライアン監督だけに、脚本と演出に愛と思い入れがいい形で生きているのだろう。2017年12月12日(現地時間)にイギリスで行われたロンドンプレミアにて本作を手がけたことについて、44歳のライアン監督はこのように語った。「恐ろしかったです。人生をかけた大きな仕事という意味でほかのことでも同じかもしれませんが、一歩ずつ前に進むしかなかった。とにかく必要だと思われる物語を真摯に語っていく、ただただ面白い物語を語るんだ、という思いでやってきました」

マーク・ハミル

レジスタンスのメンバーでありフォースが覚醒した主人公レイ役はデイジーがひたむきに、ファースト・オーダーの一員としてダース・ベイダーの意志を継ごうとするカイロ・レン役は、身長189cmのアダムが迷いや野心や執着など混沌とした感情をくっきりと。“伝説のジェダイ”ルーク・スカイウォーカー役はマーク・ハミルが、フォースと人生の光と影を表現し、レジスタンスを率いる将軍でありカイロ・レンの母親であるレイア・オーガナ役はキャリー・フィッシャーが威厳とやさしさとユーモアをもって。
 レジスタンスの仲間たちは、ドロイドR2-D2の相棒でプロトコル・ドロイドのC-3PO役はアンソニー・ダニエルズが、ハン・ソロのもと相棒の一等航海士で副操縦士のチューバッカ役はヨーナス・スオタモが、ファースト・オーダーの兵士トルーパーからレジスタンスの戦士となったフィン役はジョン・ボイエガが、性急ながら飛行大隊の勇敢なリーダー、ポー役はオスカー・アイザックが、整備士のローズ役はケリー・マリー・トランが、人々の命と防衛を重んじるホルド中将役はローラ・ダーンが、銀河系裏社会の生き字引であるマズ・カナタ役はルピタ・ニョンゴが、そして銀河を独裁しようともくろむファースト・オーダーのメンバーは、絶対的な力で支配するスノーク最高指導者役はモーション・キャプチャーの達人として有名なアンディ・サーキスが、ハックス将軍役はドーナル・グリーソンが、トルーパー軍団を指揮するキャプテン・ファズマ役はグウェンドリン・クリスティが、また得体のしれない裏稼業の男DJ役はべニチオ・デル・トロが、それぞれに演じている。また本作からの新キャラとして、惑星オクトーに生息するつぶらな瞳の生き物ポーグが登場。クスッと笑わせてくれる新しいキャラクターを登場させたいという思いから、ライアン監督がロケ地となったアイルランドの世界遺産スケリッグ・マイケル島に棲む海鳥ニシツノメドリにヒントを得て生まれたそうだ。

また本作は、2016年12月27日に急逝した女優キャリー・フィッシャーの遺作となった。本作はレイア姫として愛された彼女にとって、とても素晴らしい内容となっている。2017年12月7日に行われた来日記者会見にて、ルークの妹レイアを演じたキャリー・フィッシャーについて、マーク・ハミルはこのように語った。「キャリーと出会ったのは彼女がまだ19歳の時だった。彼女は唯一無二でかけがえのない存在だよ。もちろんファンにとってもね。愛さずにはいられない存在だった。今でも生きているような気がしてならないよ。本作での演技も素晴らしいけれど、彼女が映画に出ている姿を見ると余計に亡くなったとは思えない。キャリーのモットーだった“毎日を精一杯に生きること”を心に、ぜひこの映画を楽しんでほしい。僕たちはしょっちゅう喧嘩をして実際の兄妹のようだったけど、今でも僕にとってかけがえのない存在だ」
 そして4歳からSWファンであるライアン監督は、2017年9月11日に来日して開催されたスペシャル・ファンミーティングにて、彼女への思いをこのように語った。「キャリーに出会えたことはこの作品でのすべてのハイライトでした。彼女がこの世にいなくて残念で仕方がありません。少しでも時間を共有できて本当に嬉しかったです。最後に会ったのは彼女の60歳の誕生日で、彼女からはこの映画に関わった体験を聞き、僕は早く本作を見せたいと話したんだ。一人のファンとして、そして彼女を知っていた一人として、世界中の人がどれだけ悲しんだかわかっています。この作品で彼女の美しい姿を見られることは素晴らしいことだよ。キャリーに出会えたことは、この作品にとって素晴らしい意味をもっています」

BB-8

SW40周年を迎えるアニバーサリー・イヤーとして、アメリカのフロリダで2017年4月13日(現地時間)から4日間行われた[スター・ウォーズ・セレブレーション]にて、シリーズの生みの親ジョージ・ルーカスは『スター・ウォーズ』への思いをこのように語った。「最初はほんのアイデアだった。土曜日の午後に見るアクション・テレビシリーズに神話的なものを組み合わせて、心理的なテーマのある冒険ものを書きたかった。映画『アメリカン・グラフィティ』の後に職を失い、もう次はないかなと思ったけれど、同作の試写に来た20 世紀フォックスのアラン・ラッドJr.にスペースオペラのアイデアがあると話したら、それを彼が通してくれたんだ。物語は12 歳の子どもたち向けに、将来がまだ見えなくて恐ろしくても、友情や信頼、正しい行い、ダークサイドを避けるなど、メッセージにあふれているものにしたかった。批評家は厳しい反応だったけれど、子どもたちがたくさん手を伸ばしてくれた顔を見ただけで十分だったよ」

物語としてダイナミックなドラマ性があるなか、伝説を宙ぶらりんにせずに筋の通った道を示し、旧3部作のメインキャラクターを添え物にせずに新世代へと受け渡す側としてしっかりと描くところ、R2-D2やC3-POやチューバッカなどの人気キャラがほんの少しの出番でもその性質がよく表現されているところ、フォースと人との関りや光と闇についての哲学的なテーマ性、大義や人々のために自身の命を懸けようとする人たち、愛する人や仲間たちの命を絶対に守ろうとする人たち、ユーモアが小気味よく入っているところなど、惹きつけるところが満載の本作。SFが好きでSWシリーズをずっと観ている筆者も、旧三部作をのぞく5作品のなかでは本作が個人的にいちばん好みだなと。
 また米ウォルト・ディズニー・カンパニーが20世紀フォックスの買収を2017年12月14日に正式に発表。ルーカスフィルム自体は2012年からすでにディズニー傘下にあったものの、それまでの6作品の権利はフォックスがもつという複雑な状態にあったものの、これからはSW作品すべての権利をディズニーがもつことに。今後は、若き日のハン・ソロの逸話や、チューバッカとの出会いを描く『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(ロン・ハワード監督)が2018年6月29日に日本公開予定。次作となるエピソード9はもろもろを経てJ.J.エイブラムス監督に決まり、さらに新たな3部作をライアン監督が手がけるという発表も。この3部作はスカイウォーカーとは関りのないまったく新しい世界として展開するという。いずれにしても、本筋のSWエピソードもライアン監督による新ストーリーも、世界中のファンとともにとても楽しみにしている。

作品データ

劇場公開 2017年12月15日よりTOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2017年 アメリカ映画
上映時間 2:32
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 Star Wars: The Last Jedi
監督・脚本 ライアン・ジョンソン
製作 キャスリーン・ケネディ
ラム・バーグマン
製作総指揮 J.J.エイブラムス
出演 マーク・ハミル
キャリー・フィッシャー
アダム・ドライバー
デイジー・リドリー
ジョン・ボイエガ
オスカー・アイザック
ルピタ・ニョンゴ
アンディ・サーキス
ドーナル・グリーソン
アンソニー・ダニエルズ
ヨーナス・スオタモ
グウェンドリン・クリスティ
ケリー・マリー・トラン
ローラ・ダーン
べニチオ・デル・トロ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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